3spoons vol.6『貯金箱』the 3rd spoon_UNI
文芸ユニット「るるるるん」によるツイッター400字小説 3spoons
いつかぁこん貯金箱があんたを助けてくれなるでなぁあと、大婆さんが久しぶりに入れ歯をはめて喋ったのには、驚いた。大婆さん、入れ歯ありんさったか。いつものように、私は話の枝葉のその先ばかりを見てしまう。
ドクダミの花の焼酎漬、ダナキャランの薄灰色のワンピース、大婆さんの黒い貯金箱を入れると、鞄はいっぱいになった。
東の海へ嫁ぐという実感はない。私と彼は双頭の赤べこや、でんでん太鼓の左右の紐、尻と尻でつなが