見出し画像

“リーダー”って何をする人のこと?

世の中には、リーダーになかなかなれず悩む人と、若くして割と簡単にリーダーを任される人がいます。
何が違うのでしょうか。

「あなたはなぜリーダーになれたのか?」なんて質問してもピンとくる回答は返ってこないし、まるでリーダーとそれ以外とでは人種が生まれついて違うと言いたげですらあります。

いったい何と何ができれば、“その人はリーダー業務ができる” と判断しうるのでしょうか――?

いつもお読みいただきありがとうございます。
または初めての方も、この記事を見つけてくださって嬉しいです。

私は長らくエンジニア業に身を置いております、中島と申します。
ここ最近は秋も涼しく、仕事帰りにちょっと寄り道したくなる時期です。
僕の場合は近所の中古品店に寄って面白いものを探し、目を引くものを見つけるのが楽しみの1つ。
面白いものを見つけ、家族に自慢するつもりで買って帰り、最後に嫁に無駄遣いを叱られるところまでが一連のルーチン。。。

さてさて、この 絶対バグらないシステム作ろうぜの会 では、バグの出ないシステム・問題を起こさないチーム運営・AIには作れない設計論などのコラムを、なるだけ面白く・分かりやすくお伝えする主旨で記事を配信しております。


1. リーダーの存在意義

ところで、リーダーとは何のために存在するのでしょうか。
だって実作業をするわけでもなく、ただ後ろで見ているだけの人ですよね。
そしてメンバーが成果を出すと、それをぜ~んぶ持っていって自分の手柄にしてしまう。

中には、「そんなの本当に社会に必要なの?」と思う人もいるようです。

とはいえ “リーダー” なる概念それ自体は、数千年・数万年前からあるもの。
現代人がどれだけ声高にリーダー不要論を掲げようとも、一向に影が薄まる気配はありません。
ということは、リーダーはちゃんと理由があって、必要だから存在しているのだってこと。

リーダーはなぜ必要なのか?
それは、人間という生き物が、もともと『リーダーからの指示がないと動けない』ものだからです。
だからリーダーは必要なんです。

人間というのは、どんなに優秀な人でも、リーダーがいなければ指先1つ動かせないものです。

、、、って言い方をすると、

「そんなことない、オレは動ける!」
「リーダーから指示されなくても動くのが正しい!」

このように思う人はいるかもしれません。

、、、でも本当にそうでしょうか?

想像してみてください。
新入社員(または中途入社)として新しい会社に入り、今日は初出勤日。

いざ会社に行ってみたら、誰もこちらのことなんて見向きもしないし、誰も話しかけてこない。
こちらから声をかけても会釈だけされて去られてしまう。

そんな状態で、自身のリーダー(になるはずの人)からの指示なしに、勝手に仕事をし始めることが本当に正しいことなのでしょうか。
そんな完全放置の状態では仕事をするどころか、椅子に座ることすらできないのではありませんか?

なぜ動けないのか。
これは簡単なことで、指示がなければ何を達成すればいいかが分からないからです。

達成すべき目標もへったくれもない状態で、トンチンカンな成果を出しても意味がありません。
ですからどんなに優秀な人材でも、自ら能動的に動くためにはリーダーから達成すべき目標を教えてもらう必要があるわけで、そのためにリーダーはいるのです。

2. リーダー不要論に対する誤解

ですが、ここで1つ疑問が浮かびます。

リーダーとは、達成すべき目標をみんなに周知する人です。
だとすると、“周知したら仕事が終わってしまう” のでしょうか。

これをリーダー不要論者の論調に書き換えると、

「目標とはチーム全体のものであって、リーダー個人のものではない」
「ならば目標がチーム全体で共有できていれば、リーダーは不要である」

そういう理屈になってしまいそうです。

もちろん、リーダーがダメ人間なら、たしかにその通りかもしれません。
トラブルに右往左往してばかりで対応せず、すぐ保身に走るリーダー。
目標に対して統一見解がなく、状況に流されてばかりのリーダー。

そんな人が上に立つくらいなら、たしかにリーダーなんていない方がいいのかもしれません。
でもそれはあくまで『ダメなリーダーならいない方がいい』だけ。
『リーダーという概念がそもそも不要である』のとは話の次元が違います。

つまり、これらの理屈から、目標を全員が理解していればリーダーは不要、という結論を出すことはできないのです。

だとすると、目標の周知が終わったリーダーは、次に何をすべきか。
それは、メンバー各員が持つ最適解を1つに統一すること。
つまり全員の行動を見て、それが道筋からズレてないかを見ることです。

たとえメンバー全員が目標を完璧的確に理解していても、その達成方法には色々な考え方があります。
プランAの方が最適だと思う人もいれば、遠回りでもプランBの方がいいと考える人もいるでしょう。

1人1人がそれぞれ個別に最適解を勘案した結果、メンバー間で齟齬が出ることは、メンバーが優秀であればあるほど多くなります。

宇都宮で最高に美味い餃子を買う”という目標に対し、
1人が『最高評価のレストランを探す』という行動をとったのに、
もう1人が『最高評価の餃子の皮を探す』という行動をとってしまったら、
この2人の行動を後から統合することはできなくなります。

たとえメンバー各人が、「自分のやり方こそ一番いい」と考えていたとしてもです。
人間にはいろんな考えがありますから、目標に対する最適解は決して1つではないのです。

それらの行動1つ1つを掲げられたチーム目標と照らし合わせ、どの方針でいくのかを決定する。
これがリーダーの役割です。

最高に美味い餃子は、別にレストランで食べてもいいし、自分で手作りしてもよいのであって、それはどっちがいいとかはないんです。
どっちでもいいんです。
どっちでもいいからこそ、どっちにするのか決める人が必要なんです。

従って、メンバーが超優秀な天才ばかりのチームだったとしても、やっぱりリーダーはいなきゃいけないことになります。
“意思統一”という業務が本質的に特定個人に俗人化せざるをえないものである以上、誰がリーダーをやっても問題ないチームならありえても、リーダー不在でも問題ないチームはありえないのです。

2. リーダーを目指す人が身につけるべきスキル

1. 目標の管理技術

従って、これからリーダーを目指したいと思う人は、まずはともかく“目標の管理技術”が必要ということになります。
目標を決め、タスクを洗い出し、的確にスケジュールし、それをメンバーに割り振る仕事です。

無論、個人的な目標管理であればエイヤでやっつけることも理屈の上では可能ですが、これがメンバーも含めた管理となると急に話が複雑になります。
方針1つ1つに対し、“それで関係者は納得するのか?”という議論が発生するからです。

最高評価の餃子を個人的に食べるときは行き当たりばったりでよくても、
それ仕事となれば関係各所へのお伺いが必要です。

そして、自分自身を納得させるときとは違い、他人を納得させるためには何にでも根拠資料が必要であって、何ごとも根拠なく納得する人はいません。

根拠資料としてもっとも基本的なものの1つは、昔からスケジュールであると相場が決まっています。
キーパーソンの説得のために必要な資料は他にも色々ありますが、多くの場合はスケジュール表の提出は必須のことも多いでしょう。
作られたスケジュールがしっかりしているように見えるときには、あなたの上司もゴーサインを出しやすいというものです。

ただし1つ注意しないといけないのは、『しっかりしたスケジュールとは何か』の定義の部分です。
とりわけスケジュールを組むのが苦手な人の中には、いわゆる『しっかりしたスケジュール』と言うと、細かくて細密なスケジュールのことだと思っている人もいるようです。

これは当然ながら誤ったイメージで、ここではしっかりしたスケジュールとは、『いかにも巧くいきそうに見える』スケジュールのことです。
巧くいきそうに見えなければ、どんな優れたスケジュールも実際に巧くいくことはないでしょう。

なおかつ、どんなスケジュールであれば「これは巧くいきそう」と感じるかは人それぞれで、

  • 必要になるはずのタスクが網羅されている

  • タスクが整理されている

  • 期日が規定範囲内

  • 工数に対して期間が十分

  • メンバーに分担しやすいタスク単位になっている

  • ステークホルダー間で情報共有しやすそう

などなど、重視する項目は人やプロジェクトの状況により様々です。
なのでどんなスケジュールであれば周りが納得してくれるか、上司・部下とコミュニケーションをとってあらかじめ調べておく必要があります。

それらをしっかり調べたうえで、「今回はこの方針でいきます」と言えば、やはり納得もしてもらいやすいでしょう。

2. トーク技術

それからもう1つ、リーダー業務をやっていく上で重要なのがこちら。
トーク能力。
まぁ、今さら言うまでもないことですが。

  • 関係者に巧く説明し、全員の意思を統一する

  • 上下にいる関係者達と折衝する

  • トラブルの際に仲間を守る

こうしたやり取りを巧くこなしていくためには、トーク能力が不可欠です。

ここでいうトーク能力とは、《カリスマ性》または《リーダーの器》と言い換えてもいいかもしれません。

いわゆる《器が大きい》とは、『トラブル等への対応力・適応力が高い』って意味ですから、つまるところトーク能力が高ければ何とかなるわけです。
逆にいえば、口先ばかりで何の能力もないカス野郎だったとしても、とりあえずトーク能力が先立っていなければその後のチャンスも得られません。

なぜなら、会話が成立しない相手に難易度の高いビジネスチャンスを差し出す人はいないからです。
何よりもリーダー業務って、背中で語ってできる仕事じゃないですから。
エンジニア等の製造の仕事とは違って。


目標を決め、それをみんなに守らせる。
言ってみればリーダーの業務はそれだけです。

でも、だからこそリーダーはチームに不可欠です。
かつ、生まれつきの才能だけでは不可能な業務だからこそ、できる人とできない人とに分かれてしまいます。
もちろん、そんなものになりたくないなら無理になることもないとも思うものの、リーダーになりたいと思うなら、相応の努力は必要です。

あとね、、、個人的に常々思うのは、これは日本全国どこの会社に行ってもほぼ一緒だと感じてることなんですけど、、、
日本の会社の上層部は、もう少し「我が社のリーダー業務は、これとこれができればできます」と、せめて幹部候補生に周知する努力はすべきだと思います。

“そういうのを空気で察せる人にこそリーダーを任せたい” って方針であればそれはそれで別にいいんだけど、そうじゃない会社までどこもかしこも空気に任せすぎ^_^;
『どうしてほしいのか』『どうしてくれたら嬉しいのか』がサッパリ分からん会社、世の中に多すぎるとです。
(そういうところ今の会社はだいぶマシな方ではあって、特に前職・前々職なんかは上層業務がかなりブラックボックス化しててねぇ、、、)

今の日本で出世欲が低下してる問題にしても、ようするにリーダー層の人達のそういうところが原因なんじゃないかなと、私なんかは思うわけです。

ではまた。

いいなと思ったら応援しよう!