アメリカの大学でstudent athleteになる
最近、甲子園でも活躍された花巻東高校の佐々木麟太郎さんがアメリカのStanford大学へ野球で進学する話が話題になったので、アメリカの大学でのスポーツ事情についてお話したいと思います。私たちには実際には経験がないのですが、周りの友人たちから学んだことを少しだけ。
アメリカの大学スポーツはかなりの人気で、特にフットボール、野球、バスケットボールなんかは大学が大観衆を収容できる大きなスタジアムやコートを持っていて、盛り上がりはプロスポーツ並みです。
NCAAー全米大学体育協会
アメリカの大学スポーツを運営管理する団体の中で最も大きいのがNCAA(National Collegeate Atheltic Association)、全米大学体育協会という団体です。レベルの順にDivision I, Ⅱ, Ⅲと3つに分かれていて、それぞれのスポーツを大学対抗で競い合います。Fall, Winter, Springと3つのシーズンがありプレーするスポーツがそれぞれ違います。
Division Ⅰは最も入るのが難しいですが、予算が他より多く設備が整った環境でプレーできます。高校時代に全国大会で上位に入るような選手の感じでしょうか。大学生活は時間的にはスポーツ優先となります。休み期間中も練習で忙しくバイトやインターンシップ等の時間も取れないかもしれません。確率は低いですが、アスリートとしてスポーツのfull scholarship(全額奨学金)が出る可能性があるのもDivision Iです。Ivy leagueの大学はDivision Ⅰのメンバーですが、full scholarshipはスポーツ奨学金としては出ません。
Division Ⅱはもう少し学業とスポーツのバランスが取れている感じ。全額ではなく一部の奨学金は期待できます。Division Ⅲは学業が優先で、他にも課外活動なんかの時間も作れる環境でスポーツを楽しむことができます。こちらはスポーツ奨学金は出ません。
NCAAの選手になるには
スポーツでアメリカの大学に行くならやはりDivision ⅠまたはⅡを目指すと思うので、その前提でお話しします。
まずは学業のrequirementsがあります。大学へ進学するのですから、勉強についていけるだけの学力が必要です。↓のように高校時代に取得すべき科目と単位数、それと成績がDivisionごとに決められています。日本の高校の成績をGPA(Grade Point Average, 成績、4点満点)に変換する計算方法もちゃんと書かれています。これを満たさないとNCAAでプレーすることができません。冒頭で話した高校生がすぐに試合に出ずにまずは1シーズン練習してから2025年から本格始動とされてたのは、これらと関係があるのかな?と思ってます。redshirtという救済があるようですが、詳しく知らないので触れません。
NCAAへの道のり
高校時代からどのようにNCAAへの準備を進めるかが↓になります。
NCAA Eligible CenterのWebサイトからアカウントを作ったのち、そこに学業成績を送ってやっと可能性が始まります。友人から聞いた話では、試合の出場経験・成績・プレーしているビデオなども送るそうです。でもそれで待っていただけではリクルートはされません。大学側から直接リクルートされるのはかなりのレアケースです。友人のお子さんは、志望の大学チームが参加しているshowcaseと呼ばれるイベントに参加したそうです。夏休み期間を利用して、お父さんと一緒にアメリカを数ヶ所旅して廻ったとか。そこで大学のコーチの目の前でプレーをしてやっと可能性が出てくるという感じ。showcaseはいくつかの団体が主催しているようです。参加費用が必要です。
また、IMG academyというテニスの錦織圭選手の母校としても有名な世界的なスポーツのボーディングスクール(全寮制の学校)があるのですが、リクルートの可能性を上げるためにそこのキャンプに参加する子もいました。このアカデミーでもshowcaseが行われているようですね。
日本からshowcaseやキャンプに参加するのはなかなか難しいと思います。日本で所属しているクラブのコーチがアメリカの大学と繋がりがあれば可能性は出てきます。また、全国大会レベルの選手をアメリカの大学へスポーツ留学させるのをサポートするエージェンシーもあるようです。
NCAAの選手は学業も大切
NCAAの選手であり続けるためには、Divisionに関係なく学業に関するrequirementsがあります。大学ごとに違うと思いますが、学期ごとの単位数やGPAやら↓。これらを満たさないと試合には出られません。
NCAA選手ではあるけど大学生なので勉強もおろそかにはできません。意外にもNCAAではDivision Ⅰの生徒が最も大学の卒業率が高いようです。
以上、知っていることをまとめてみました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?