新米★猫店員 デュークとの出逢い
『le premier quartier猫用品専門店』は、5匹の猫’s➕1名(下僕)で立ち上げた「猫好きの猫好きによる猫のためのショップ」です。
立ち上げた・・・とはいっても、「下僕」である「ヒト」は普通の会社員なので、今はまだ密かに、極力ひかえめに活動中です(お察しください)。
記事第2回目は、わが家の(そしてショップの)末っ子との出逢いを綴りたいと思います。わが家の先住猫4匹に迎えられ、彼が家族になったのはちょうど1年ほど前のことです。
2年前に家を建て、マンション暮らしから一軒家ぐらしになり、庭に大好きな薔薇を植え、綺麗な花が咲き始めた頃。ある日を境に、薔薇の花だけが、鋭利な刃物で斬られ、無惨にも葉っぱと茎だけが残る事件が相次ぎました。引っ越したばかりで、誰かに相談をすることもできず、近くの交番に助けを求め、現場を観てもらいうことにしたのです。
警察官:「切り口を見ると・・これはかなり鋭利な刃物で切られていますよ。これは・・奥さん!あなた、怨恨の可能性はないですか?思い当たる人物は?」
私:「引っ越してきたばかりですし、恨まれるようなことはしていません・・」
なかなか事件はおさまらず、ついに「セ●ム」なる警備のプロを頼ることにしました。システムと防犯カメラを設置し、犯人を捕まえるべく「セ●ム」と契約。
設置してすぐに、人感センサー付きカメラが、ある真夜中の犯行をキャッチ!!
どんな輩が薔薇を刈っていくのかと、目を凝らして画面を見つめる私と夫。
そこには・・薔薇の花を頬張り、赤や黄やピンク色を猛スピードで吸い込む犯人の姿が映っていました。まん丸い目、よく動く頬、咲いたばかりの花を掃除機のように吸い込み、あっという間に、私の庭から「色彩」を奪うモシャモシャの・・・。
夫婦:「・・・。」
暫く沈黙が続き、録画された犯行の様子をリピート再生。
夫:「野うさぎが犯人でした・・って、今さら警察に言えないよね」
自然はところどころに残されてはいるものの、近くに線路も道路もある、普通の新興住宅地。野うさぎが出ることは、想定外でした。
もちろん、薔薇の花よりも、うさぎの命の方が大事です。それ以来、野うさぎへのオモテナシとして薔薇を育てることにしましたが、今はもう訪ねてきてはくれません。うさぎは薔薇の花が好物だと知ったのは、この時です。
「薔薇どろぼう」の訪問をチェックするのが楽しみになった頃、「薔薇どろぼう」の代わりに頻繁にカメラに映るようになったのは、ひどく痩せて汚れた仔猫の姿でした。木枯らしがカメラを揺らし、日に日に寒さが増すというのに、日に日に痩せていく知らない仔猫。ただただ、カメラの前を横切るだけ。
心配で、毎日カメラをチェックする私。野良猫だろうから、保護することも容易ではないし・・。まして、あんな痩せっぽっちなのに、どこかのお宅の飼い猫だったら・・。でもあれだけ痩せていたら、この冬を越すことはできないないだろうに・・と。
ある日の夕刻。
窓辺で秋風を受けながら、毛繕いに忙しい長男(ショコラ)が、ふと窓の外に目をやり、何かをじっと見つめていました。長女(ラムネ)も一緒に窓辺に陣取り、おなじく窓の外を見つめ、何かに目を奪われている様子。
窓の外に目を凝らすと、玄関の前に小さく佇むあの仔猫の姿がありました。
玄関のドアと、窓辺に陣取るわが家の猫たちを交互に見つめる仔猫。
お腹を空かせているに違いなく、力なく佇みながらも、時々背筋をピンとさせ、座り直しては、玄関のドアを見つめる健気な姿・・・。知らない人間の住む家の前に、突然居座るリスクをなぜ冒すのか・・。警戒心の強い、鋭い眼差しの仔猫だけれど、まだ1歳にもなっていないのだろう。
その日から、仔猫のカメラに映る頻度は増し、ついには玄関先に居座って、私たちの帰りを待ち始め、玄関のドアの前に座り込んでは、ドアを見つめる日が続きました。
(↑防犯カメラに映った映像)
「うちの子たちの残り物だけど・・・良かったらどうぞ。」
驚かせてしまっては可哀想なので、玄関のドアを少し開け、小さなお皿にのせたお裾分けを差し出しては、防犯カメラ越しに見守る日々が数日続きました。
お裾分けを平らげてもなお、冷え込む夜の庭から、羨ましそうに、窓の奥の暖かな部屋と、冷たく重い扉を見つめ続ける仔猫。
(もしかしたら・・・)
「寒いよね・・・良かったらどうぞ・・」小さく開けてみた玄関のドア。
しばらく開けたまま、放って置くことにしました。
どのくらい過ぎたか覚えていませんが、いつの間にか庭先の仔猫も姿が見えなくなり、家の中に入ってくれたのか、それともどこかへ行ってしまったのか・・判らないまま、夜も遅いのでドアを閉めることに。
その頃、デュークは2階へ上がり、わが家を気ままに探検し、わが家の「図書室」を自分の部屋と決めた様子。
(↑ひどく痩せ、風邪もひいていました)
その日から、暖かな窓辺に寝転んで、庭先を見つめる生活を、先住猫4匹と共に送ることになったのです。
ひどい風邪と栄養失調状態で、暫くは動物病院通いだったけれど・・・、今ではちょっとポッチャリの、新米猫店員として、モデルも務める頼もしい子に成長してくれました。元気でいてくれることに、そばにいてくれることに、ただただ感謝。
(↓現在のデューク ネパールフェルトのCATベッドに入って)