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「見つけてもらい」「選んでもらう」デザイン制作
こんにちは。プレマテックス株式会社のインハウスデザイナーのコジマダです。弊社は業務用建築用塗料の開発・製造を行うBtoBメーカーです。
今回は自社製品が開発され流通していくまでの過程の中で、私たちチームが特に深く関わっている領域、マーケティングミックス4Pの「Product」の取り組みについて紹介していきます。
狭い業界の自社業務に過ぎませんが、一連の流れは業種・業界問わずどの分野でも通じるところがあると思います。
名前なき新製品、まだ「液体」。
![](https://assets.st-note.com/img/1648195825161-ReW8ygDTNr.jpg?width=1200)
名前こそありませんが、製品は「設計目標」なくして開発できませんので、この段階である程度この製品の市場での「立ち位置」(STP)はほぼ決定しています。
とはいえ、どれだけこの製品がスペックやポテンシャルが高かろうと、どれだけコスパに優れていようと、この時点では見た目には「缶に入った液体」にしか過ぎず、それ以上の情報は何も伝わってきません。
この「液体(塗料)」にブランディングという価値を与えて、「差別化」していくのが私たちチームのミッションになります。
具体的には
ネーミング
ロゴ
キービジュアル、キャッチコピー
パッケージ
パンフレット、その他販促品
などを順に、時に並行して進めて行きますが、全ての工程に共通するアイデアやデザインの考え方があります。
製品の特性をストレートに表現してみる
製品の特性を「暗に」表現してみる
製品が叶えるベネフィットを表現してみる
いずれの場合も、まだ製品を触れることができていないユーザー(ターゲット)に、いかに「“良い妄想”を描いてもらえるか」を意識します。
目指すは「刺さる」のその先、ユーザーがそれ(製品)を手に入れたことで好転・上昇している未来を”妄想”していただけたならサイコーです。
ネーミング(製品名)
ネーミングは商品がヒットする重要な要素のひとつですが、弊社製品はプロが使う業務用という性質上、インパクトだけで押し切るようなネーミングは信頼性という面で微妙な反応になりそうですし、そもそも名前だけでヒットするほど甘くはありません(泣)
先程の通り、製品の持つ特性や個性をもじってみたり、また、業界で通じるワード=「製品名を聞いただけでそれが建築用塗料と分かるようなワード」を用いた複数単語の造語など、思いつくままに羅列していきます。
その際必ず行うことが2つあります。
WEB検索=カブってないか
商標検索=商標登録の可能性が高いかどうか
リスクの高いものは却下もしくは再考します。
ロゴ(シンボルマーク・ロゴタイプ)
あくまでも自分の進め方になりますが、シンボルマークは製品の特性などを醸し出すイメージから考えることが多く、ロゴタイプはシンボルマークとのバランスを見ながら整えることが多いです。
ネーミング決定→ロゴ作成の時もありますし、ネーミングがなかなかひとつに絞れない時は取り敢えずロゴを作ってみて、その「出来」や「しっくり感」で判断することもあります。
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キービジュアル+キャッチコピー、パッケージ
SNSで気になる商品の投稿を見かけて「後で調べよう」と商品名を頭の中で念仏のように唱え一旦脳内メモリー。
その後、ブラウザアプリを立ち上げいざ検索バーに商品名を入力しようと…「あれ、商品名なんだったっけ?」
もっとひどい場合、
「あれ、自分は何を検索しようとしてたんだっけ…」
このような事はないでしょうか。
ええ、自分のことです。
96%の情報は「消費されていない」
少し古い情報ですが、平成18年度 総務省「情報流通センサス報告書」によれば、2005年度に各メディアが発信した全情報量のうち96%は消費されていないのだそうです。
今から17年前(2022年現在)の報告書ですから、今現在は果たして……怖
そんな情報過多の現在、スマホを2、3スクロールしただけでも膨大な情報が目に脳に入ってきます。商品名をきちんと覚えられなくても無理はありません(自分を慰め)。
前置きが長くなりましたが、そこで「キービジュアル+キャッチコピー」のアシストの出番になります。
製品やロゴに合わせることで、より強いメッセージと記憶を相手に残すことができます。
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さらに、言葉に表しやすいキービジュアルをもってくれば、先の「商品名覚えられない問題」の解決に繋がる可能性もあります。
例えば弊社製品で「タテイルα(アルファ) プレミアムエディション」という塗料があるのですが、まず製品名が舌がちぎれそうなくらい長い。
α(アルファ)を直ぐに読めない方や、一度耳にした位では製品名を覚えられない方もおそらくいらっしゃるでしょう。
ですがこの製品、取引先とのやり取りでは
「ライオンの塗料」
これで通じ合えるのです。
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この場合、キャラクターイメージに近い使い方になりますので、受け手がミスマッチと感じてしまった場合大ヤケドする危険性も秘めていますが、「ハマった」ときはなかなかの威力を発揮します。
パンフレットなどの販促品
製品ブランディングもいよいよ大詰め、パンフレットのデザインです。
弊社製品はBtoBですので、このパンフレットが渡るのは取引先(施工店・リフォーム店など)です。
ですが以前の記事でも述べたように、私たちが製品づくりで常に描いているものは「エンドユーザーから逆指名される製品」です。
業界では常識とされることでも、世間一般の人には珍紛漢紛(ちんぷんかんぷん)だったりすることはよくあることです。
機能や性能の説明はどうしても専門用語が多くなりがちですが、イラストやコピーなどを熟考しなから、どこまでエンドユーザー目線に変換できるか、アタマと手をフル稼働させて取り組みます。
同時に、用紙や加工などの仕様、表紙デザインなど、製品の魅力や価値を最大限に発揮できる最適な方法を選定します。
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おわりに
自社製品の開発プロセスにおける、私たちインハウスデザイナーの取り組みについて、駆け足で紹介しました。
正直申し上げますと、実際にはもっと紆余曲折してます。。
それに、「まだまだやれることはある」といつも感じています(じゃあ、やれ)。
各成果物の詳しい取り組みについては、またいつか紹介したいと思います。
すごい余談ですが、「ちんぷんかんぷん」に中華料理みたいな漢字があることを今回初めて知りました。