RWC QuarterFinal1 ウェールズ vs アルゼンチン戦を前に
ジャパンが勝ち残りたかった、クォーターファイナルの第1ゲームが、15日(日)0:00にK.Oを迎えます。
ジャパンは残念な結果でしたが、ノックアウトトーナメントに入ると、ギチギチに緊張感の高い熱戦が繰り広げられるでしょう。
ジャパンを破ったアルゼンチンとイングランドには、ぜひベスト4、さらに先へと勝ち進んでもらえるよう応援したいと思います(ウェールズ vs アルゼンチンは、かなり面白くなりそうです)。
それにしても、ジャパンの高速アタックはアルゼンチン・レベルのチームにも、充分に通じるものでした。
前半16分のファカタヴァ選手の個人技と俊足が光ったトライで同点に追いついたシーンや、同38分の齋藤選手のトライで1点差まで追いついたシーン、そして後半16分のレメキ選手のドロップゴールで2点差まで追い上げたあたりは、「イケる!」と思った方も多いはずです(E.ボフェリ選手のコンバージョンがあり得ないほど不調だったことも、接戦の一因ですが)。
特に前半38分のトライは、右タッチライン近くのスクラムを基点に、中央付近での堀江選手の突進でできたポイントから左ラインへ展開、ひとりひとりがギリギリまでパスを我慢して複数のディフェンダーを引きつけていくことで、タックルにいけなくなる選手を増やしていき、松島選手をケアし過ぎたことで開いた穴をフィフィタ選手が見逃さずにイッキにラインブレイク。最後はフォローしていた齋藤選手がトライするという、ジャパンらしい連動性の高い一本でした。
スリークォーターバックスをフォローしてトライを獲ることが上手な齋藤選手ですが、うん十年前のへっぽこSHとしては、改めて彼のフォローコースの素晴らしさを感じたトライでもありました(俊足ゆえか、ラストパスがもう少しでスローフォワードになりそうだったのはご愛嬌です)。
このあと松田選手のGKが決まり、14-15の1点差で前半を終えた時には、「後半の10分間を無失点で乗り切ることができれば、そして先に3点でも獲ることができれば、アルゼンチンに勝てるゾ」と、期待に胸が高鳴ったものでした。
ただ、やはりというべきか。
後半のK.Oの瞬間から、アルゼンチンの各選手は、目の色が違っていました。フィジカルを前面に押し出し、「カタチなんてどうでもいい」と言わんばかりの強引なまでの突進を繰り返し、個人の強さと速さを武器に、ジャパンをじわじわと追い詰めました。
イングランド戦も同様でしたが、パワーむき出しで縦突破してくるランナーに対すると、少しずつでも確実に押し込まれていき、ペナルティを繰り返していくという、ジャパンが長く抱える弱点を突いたアタックの連続に、完全に受けに回ってしまったことが残念でした。
それでも、レメキ選手(今大会におけるジャパンの中の最優秀選手ですね)の見事なDGには、思わずナイスゴールと叫んでいましたし、後半25分の、皆で攻めて攻めて、最後はナイカブラ選手が飛び込んだトライの際には、「もしかしたら、アルゼンチンも疲れてきたかも」と、淡い期待を抱いたものでしたが…。
疲れていたのはジャパン戦士の方でしたね。
やはり前半のひとり少ない時間帯のダメージが影響した点もあったと思われますが、よくいわれるように、終始受け止めてきたアルゼンチンのフィジカルが、ボディーブローのように徐々に我々の代表の脚を止めていき、最後の10分は完全に屈してしまったというところでしょう。
選手層の薄さから、アルゼンチン戦の前にはかなり疲れが溜まっていた選手もいたという旨の談話がありましたが、これは日本大会でもいわれていたことであり、前回の反省点が改善されなかったようです。
来年からはNZとの間で、フル代表だけでなくさまざまなレベルのテストマッチを定期的に行うという発表があり、さらにオーストラリアとも同様の計画があるという話しも耳にしますが、ハイパフォーマンスユニオンの立場を上手に使って多くの強豪国との定期的な対戦を実現して、速さに加えて、フィジカル面の強さもアップしたジャパンを目指して欲しいと思っています。
加えて、噂にある何らかの国際大会への参加もぜひ実現して欲しいですし、サンウルブズのようなチームを再度編成して、多くの若い選手達にタフな経験を積んでもらうことで、ハイパフォーマンスユニオンとして恥ずかしくない、永続的に強いと評価されるジャパンを創り上げて欲しいと思っています(ジェイミーHCが仰るように、高校、大学、企業という組織の中でしか行われないラグビーを変え、ジュニアから一貫したピラミッド型のシステム造りも、長い時間を掛けてでも実行して欲しいところです)。
次回大会は、季節は真逆とはいえ時差がほとんど無く、フライトの所要時間もフランスに比べると少ない、オーストラリアでの開催。
2027年こそは、ベスト8はもちろんその先のベスト4、そして決勝戦へと突き進む、華麗で強いジャパンを応援したいと願っています。
そのためには、ぜひ後戻りするようなHCのセレクションではなく、進化を加速させ、新しい未来を切り開くような選択を、協会が行ってくれることを望んでいるのですが、さていかがなりますでしょうか。