殺せない感染物質〈プリオン〉
殺せない という物騒な始まり方をした今回だが、
これからここで話をする内容は、非常に物騒であることを、
ご容赦いただきたい。
(見なければよかったと思う部分が発生する可能性がある)
人間と同じように、畜産でも病気は起きる。
私たち人間と同じで、
胃があって、肺があって、腸があって、心臓がある。
脊椎動物というところまでは同じだが、
鶏は鳥類だし、
牛や豚、人間は哺乳類ではあるが、
”プリオン”というものが今回の話の主題である。
動物の病気は様々あるが、
家畜伝染病や届出伝染病として、定めている。
日本では各都道府県に設置された、家畜保健衛生所が主体として、
畜産等で発生した病気などに対応している。
家畜のかかる病気
そう一括りに出来るのだが、
原因は様々ある。
・細菌
・ウィルス
が主流であった。
しかしながら、これに加えて感染物質として発見されたのが、
”プリオン”である。
さて、このプリオンによって、
どんな病気が発生するのかというと、
人間だと、クロイツフェルト・ヤコブ病であり、
日本では、指定難病の1つである。
(指定難病事態も338種ある)
クロイツフェルト・ヤコブ病自体は、
名前もあまり知られていないような病気だと思う。
そんな、プリオンが関係している、畜産での病気が、
牛海綿状脳症、いわゆるBSEなのである。
人間において、プリオンを原因とした、クロイツフェルト・ヤコブ病は珍しかった。
しかし、牛海綿状脳症(以降、BSE)は、大々的にニュースにもなったし、
恐れられた。
それは、BSEにかかった牛の肉を食べることで、
クロイツフェルト・ヤコブ病にかかり、死ぬのではないか、
とされたからだ。
プリオン、プリオン言っているが、
プリオンはたんぱく質である。
たんぱく質なので、細菌と違って殺せないし、
ウィルスのように、免疫器官で抗体を作れるように、
ワクチンを作ることもできない。
だからこそ、殺せない。
いつ、発症するかもわからない。
発症したら、治す方法がない。
そういったわけで、
BSEは恐れられているわけだ。
日本では、2009年以降、発生したことはない。
BSE発生以降、制度を改正し、
牛のエサについて厳しい規制を敷いたからだ。
(これが飼料安全法を制定するきっかけとなった出来事である)
しかし、海外では年に1度か2度、発生が報告されている。
この、殺せない感染物質であるプリオンが原因となる動物の病気は、
BSEだけではない。
ヒツジ、ヤギ、ウシのほか、ヘラジカ、シカ、ミンク、ネコにも発生する。
日本では、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
のインフルエンザ・プリオン病研究センター
なる部署で、今でも研究を進めているらしい。
動物のエサに対して、規制を設けた、飼料安全法によって、
牛・豚・鶏などの畜産において、安全確保しようと奔走しているのである。
飼料安全法のプリオンに対する問題提起は、
また別の機会に…