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スタートアップで働く人が知っておいた方が良いと思う「キャズム理論」Part4 ー ホールプロダクト

この記事は以下の記事の続きとなる、第4弾の記事となります(マガジンとしてもまとめています)。

スタートアップで働く人が知っておいた方が良いと思う「キャズム理論」
Part1 ー 前提知識
Part2 ー ニッチ市場から攻める
Part3 ー 具体的にどこを攻めるか

上記の続きとなる、このPart4 では、「ホールプロダクト」について記載していきます。

ホールプロダクト・マーケティングでは、特定のターゲット・カスタマー、特定の業務にとって、自分たちの製品が唯一の選択肢となるような市場を作り出すことが重要です。

その為には「購入の必然性」が存在するマーケット・セグメントをターゲットとしなければなりません。その次に「購入の必然性」に応えていく上で、他社の追随を許さないような独占状態を確立する必要があります。

独占状態を保持するには、
・ホールプロダクトの構成要素
・自社製品を中心としたホールプロダクトをどのようにして市場に供給していくか
について、十分理解する必要があります。

ホールプロダクトの考え方

企業が顧客に説明する製品の機能、価値命題(バリュープロポジション)と、製品が実際に発揮する機能との間には差があります。つまり顧客が求めているものとの差を埋めるために、本来の製品に各種のサービスや補完的な製品をつけ加えて、ホールプロダクトを作り出すことが重要なのです。

コアプロダクトは4つのレベルに分類されます。

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コアプロダクト
実際に出荷される製品であり、購入契約書に記載されている機能を発揮
期待プロダクト
顧客がコアプロダクトを購入するときに、「こうであるはずだ」と考える製品。顧客の購入目的を満足させるために最低限揃っていなければならない製品とサービスの集合体

例えば、タブレットを購入した時に通信接続が必要となるが、タブレットと別に契約しなくてはならない。この場合、通信機能まで含んだモノが期待プロダクト
拡張プロダクト
数多くの付属品をつけてコアプロダクトの機能を拡張したもの。顧客の購入目的を最大限満たす製品。

タブレットの例だと、メール、ブラウザ、カレンダー、検索エンジン、アプリ等がこれにあたる
理想プロダクト
さらに多くの補完的な製品が市場に出てきたり、あるいは、製品に顧客独自の機能強化が施されたりしたときに、顧客に提供される機能の理論的上限を表す

タブレットの例だと、iPad の利用価値を更に高めるために、約200万の豊富なアプリが理想プロダクトの一部となっている

戦場が初期市場の場合には、コアプロダクトが主役となり、メインストリーム市場に近づくにつれ、コアプロダクトの機能はどれも似た様なものになり、戦場は同心円の外側に向けて拡大していきます。

ホールプロダクトとテクノロジー・ライフサイクルの関係

ライフサイクルが左から右に移動するにつれて、ホールプロダクトの図では外側の円の重要性が徐々に増していきます。ホールプロダクトを一番必要としないのは、テクノロジー・マニアで、自分たちで製品の不備や不具合を修理し、自分なりのホールプロダクトを作ってしまうからです。

しかし実利主義者は、ホールプロダクトがいつでも利用可能であると信じており、また、必要としています。としています。

コアプロダクトの類似商品が市場に出回るようになったら、そこから更にR&D費用を投入してコアプロダクトを強化しても満足なリターンは得られません。むしろ期待プロダクト、拡張プロダクト、理想プロダクトを充実させる分野に資金を投入する方が大きなリターンが期待出来るのです。

ホールプロダクト構築計画

よく見落とされる、初期市場とメインストリーム市場の決定的違いは、初期市場は、顧客がホールプロダクトを自分で作って競争力を高めようとするのに対し、メインストリーム市場は、顧客がそのようなことをしない、というところにあります。つまり、メインストリーム市場では、ホールプロダクトを制するものが戦いを制するのです。そして、キャズムを越えるために必要なホールプロダクト、というのは、顧客の「購入の必然性」に応えるホールプロダクト、ということでもあるのです。

ホールプロダクトの簡略モデル

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ホールプロダクトの簡略モデルにみられる製品カテゴリーは、

・コアプロダクト
・顧客の購入必然性に応えるため、コアプロダクトの他に必要とされるもの

の2つです。後者は、「受注するために、顧客に暗に約束した、あるいは期待させた機能」となります。受注後、提供する義務はないのですが、顧客との良好な関係を維持するためには提供するのが望ましいです。というのも、顧客の期待を裏切ると、マイナスの口コミとして市場に知れ渡り、製品の売れ行きにマイナスの影響を与えます。

ターゲット・マーケットが満足するホールプロダクトを提供しさえすれば、マーケットを拡大するための最大の難関を克服したことになります。なので、ホールプロダクトを決めた後は、それを素早く作り出すための提携関係を戦術的に推進すること=「部隊の集結」が重要です。部隊が侵攻する「力」は顧客の「購入の必然性」の強さによって決まります。そのため、ホールプロダクトによって、この力を大きくし、キャズムを越えてメインストリーム市場に到達する確率を高める必要があります。

ホールプロダクトを構築するときの留意点

ホールプロダクトの簡略モデル図を作成し、ホールプロダクトを決定します。その中で、自社で作る部分を決め、それ以外を顧客、あるいはパートナーや提携企業に頼ることを決めます。

その時にホールプロダクトが必要最低限に絞り込まれていることを再確認します。機能を盛り込みすぎたホールプロダクトを維持・管理するのは困難なためです。

また、ホールプロダクトに関わっている全てのパートナー・定型企業が便益を受けていることを、特定の不公平な扱いを受けていないことを再確認します。


ホールプロダクトに関してはここで終了となります。次のPart5では、「ポジショニング」について書いていく予定です。

【前提】この記事の元になっている書籍

以下の書籍に書いてあるものにちょっと自分の経験や意見などをまとめたのがこの記事となっております。興味が出てきたのでもっと詳細に知りたい、ということでしたら書籍の方を読むことをオススメします!


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