
~ 40年後に同じ場所で集大成 ~ 「下駄」と「愛錠」
2022.02.02_記
2022年1月30日(日)
私は京都市美術館別館(旧:京都会館別館)の前にいた。

(旧:京都会館別館)
どうして今、ここにいるのか。
それをお話しする前にちょっと思い出話にお付き合いください。
それでは…
時を遡ること44年
1978年4月4日
キャンディーズ解散
芝居に始まり芝居に終わった私の大学生活4年間は、そんな年から始まった。記憶が正しければ、入学式の日も4月4日だったはず(笑)

(1978年4月4日/後楽園球場)
・小学生の時はエースで4番の野球少年
●「ほんまかいな」
・中学生の時は体操部から英語研究部
●「なんでやねん」
・高校生の時は野球部、バレーボール部から天文部
●「なんでやねーん!!!!!」
・高2の時にハマったフォークギターは中途半端なまま現在に至っている。
私「ホンマはElectric Guitarがほしかったー」
つまり、芝居にはまったく興味なし。
そんな私が大学でどうして芝居にハマったのか!?
きっかけはとっても不純極まりないものでした
2年の予備校生活を経て辿り着いた大学は、京都大学・産業学部・山の上分校。
通称、京都産業大学。
●「素直に京都産業大学って言えば~」
私「これ、初対面の可愛い女の子に使ったお気に入りのフレーズです~」
●「面白いかなぁ?」
私「けっこう受けたんよね~」
●「へぇ~」
私「京都産業大学の地理的状況の知識があることが前提かな」
●「京都産業大学って山の上にあんの?」
私「山の上じゃないけど…」

ちょっと話は逸れるが、1回生か2回生の冬、試験当日。
京都市内としてはかなりの大雪に見舞われた。その頃の私は電車とバスを乗り継ぐ自宅通学生。自宅は宇治市。そう、10円玉に刻まれている平等院のあるところ。
宇治市は京都市の南部に位置するため、自宅を出た時の雪はそれほど深刻ではなく、雪は降っているけれど、交通量がある幹線道路は積もるほどではなかった。
いつも通り、電車を乗り継いで京都市内の京阪三条へ。
いつもなら、ここから路線バスの京都バスで大学へ向かうんだけれど…
辺り一面の雪景色~♫
いい感じ~♫
でも、バスが来ない!
試験に間に合わない!
考えることは誰も同じで、タクシー乗り場はいつになく大盛況~(笑)
歩いて河原町方面へ行き、何とかタクシーを捉まえて行き先を告げる。
私「京都産業大学」
タクシーの運転手の顔が一瞬で曇る。
え? 乗車拒否?
私「今日、試験なんやぁ。お願い!」
この時、彼の口から発せられた言葉は今でも鮮明に覚えている。
「今出川(いまでがわ)越えたら長野県やで!」
とりあえず、行けるところまで行ってくれることになり無事乗車。
今出川通りを無事越え加茂街道へ。
でも、この辺りまで来ると道路も含めて360°白銀の世界。
若干の横滑りを感じながらも順調に走り続けるタクシー。
●「それって順調なん?」
私「一応、前に進んでたからなぁ」
●「…」
私「何かご不満でも?」
●「…どうぞ続けて」
とある交差点にさしかかった時のこと。
信号は赤。タクシーはゆっくりだけれど止まらない。
私「赤やで!」
そして、今でも覚えている彼の口から発せられたもう一つの言葉。
「ブレーキなんか踏めるかいな!」
なんやかんやで、とりあえず無事到着したけど、間に合ったか間に合わなかったのか記憶にございません。良い想い出です。
結局、大学側の配慮で、この日の試験は再試験が認められましたとさ。
で、
話が随分それたので戻します。
その頃の京都大学・産業学部・山の上分校は…、もうええか。
入学式を前にして、私より先に京都産業大学の学生生活を謳歌している友人たちから、応援団の新入生勧誘に関する不穏な噂を面白おかしく聞かされていた。
どんな噂かというと、新入生が応援団の勧誘につかまると、とっーーーーーても断りにくい状況に追い込まれ…、ピッカピカの応援団員が誕生するのだとか。
私 「勧誘を逃れる方法はないんか?」
友人「ない」
私 「なんかあるやろ」
友人「ない」
私 「そんな事言わんと」
友人「目を合わさんことやな」
その後、色々聞いてみたところ、確実に勧誘を逃れられる唯一の方法が分かった。その方法とは、勧誘を受けた時、既にどこかへ入部済みであること。
どう言う事かというと、応援団というのは、すべての部の活動を応援するために活動をしているのだから、既にどこかの部に属している人の勧誘はしないとのことだった。
私 「そうか、だったら勧誘を受けた時、どこかの部へ入部済みだと言えばいいんだ」
友人「応援団はすべての部と繋がっているから確かめに行くかもよ」
私 「…」
友人「嘘だとばれると…」
私 「どうなるん!?」
友人「…知ら~ん」
やっと手に入れた薔薇色の4年間を我が物にするために、一心不乱にありったけの知識を振りかざして考えて考えて考えた。そして出した答えが、もう完璧! これ以上ない素敵なものでした。
その答えとは、
私が予備校生活を送っている間に、既に京都産業大学で大学生になっている中・高時代の同級生がいるではないか!しかもその彼は「演劇集団 努努(どど)」というサークルで座長(クラブで言うところの部長)をしている。
こんな超恵まれた環境、フル活用しなければ!
ああ、2年間の予備校生活は無駄じゃなかった~♫
と言うわけで、入学式前に彼と綿密な打ち合わせをし、もし、応援団から問い合わせがあった時には、確かに入部済みだと言ってくれることの約束を取り付けたのでした。めでたしめでたし。
でも、それだけでは何が起こるか分からない!
そこで私は入学式当日から、演劇集団 努努の人たちがたむろしている場所へ行き、一緒に新入生勧誘チラシを配るという暴挙…ならぬ快挙に出た。
まさか、新入生が新入生勧誘チラシを配っているとはお釈迦様でも気がつくまい。
●「何、その表現」
私「お釈迦様でも…のくだり?」
●「そう」
私「たまには良いんじゃない?」
●「こう言う使い古された表現は使わないんじゃなかったの?」
私「節足動物や爬虫類の一部、両生類の一部などを指す言葉で…」
●「???…虫?」
そして、この行動は絶大なる効果を発揮し…
●「無視かよ」
私が応援団はおろかクラブの新入生勧誘を受けることは一度もなかったのでした。これはこれでちょっと寂しかったけど…。
そしてその半年後、私はある出来事がきっかけで芝居の世界にズブズブとはまり込んでいくことになるのだけれど、そのお話しは別の機会に譲るとして…
こんな感じで始まった私の「演劇集団 努努」での4年間。
メインイベントは年に一度の12月公演。
その場所こそが
京都会館別館
(今の京都市美術館別館)
だったのです。
言わば私にとっての聖地と言っても過言ではありません。
それほどまでに思い入れのある大切な場所でした。
時は戻って
2022年1月30日(日)
私は京都市美術館別館(旧京都会館別館)の前にいた。
下の子の4年間の集大成を見るために。
まさか40年後に、
私にとっての聖地とも言える場所が
下の子の大学生活での
集大成の場所になるとは!
何がどこでどう繋がるか
そんなことは誰にも分からない
人生って面白い!!!!!
成安造形大学 卒業制作展 2022
日時:2022年1月27日(木)~30日(日)
10:00~18:00
会場:京都市美術館別館(旧:京都会館別館)



京都産業大学 演劇集団努努 12月公演
演題:愛錠
~よろしかったら I LOVE YOU~
日時:1981年12月1日(火)~2日(水)
会場:京都会館別館(現:京都市美術館別館)

