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過ぎてく日に走り書き

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#父と娘

娘の築いた時間と父

「おとうは出てこないで」 小学二年生の娘は、その体に不釣り合いな大きな掃除機を抱えて、せっせと掃除に励んでいる。自分がこれから使うところだけ。 秋晴れの清澄な空気がカーテンレースをほどよく揺らす。ずっとそこに居座るように見えた入道雲はいつの間にか姿を隠していた。 娘が友達を家に招待した。 学区内の保育所に入れず、彼女は誰も友達のいない小学校に入学した。周りは既に友達のコミュニティが出来上がっているなかで、他人なのは彼女だけだった。 学区が違ってもすぐに友達はできるか

赤い自転車と優しい嘘

小学校で初めての参観日。 校庭狭しと並ぶ保護者の車と、鮮やかな緑の葉をつける桜の下にぽつんと置かれた色褪せた赤い自転車。 授業が終わり、娘はできたばかりの友達に「一緒に歩いて帰る?」と聞いた。 その子は「お母さんと車で帰るんだ」と笑って答えた。 娘は「じゃあ私も車で。」と言ったあと「あっ。おとうさん、自転車だった」と声を落としながら言った。 校庭に向かう人の流れからゆっくりと離れ、娘と赤い自転車に向かう。 僕が「自転車で来たの、恥ずかしい?」と聞くと、娘は「全然そんなこ