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過ぎてく日に走り書き

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#好き

娘の築いた時間と父

「おとうは出てこないで」 小学二年生の娘は、その体に不釣り合いな大きな掃除機を抱えて、せっせと掃除に励んでいる。自分がこれから使うところだけ。 秋晴れの清澄な空気がカーテンレースをほどよく揺らす。ずっとそこに居座るように見えた入道雲はいつの間にか姿を隠していた。 娘が友達を家に招待した。 学区内の保育所に入れず、彼女は誰も友達のいない小学校に入学した。周りは既に友達のコミュニティが出来上がっているなかで、他人なのは彼女だけだった。 学区が違ってもすぐに友達はできるか

そして夫婦になっていく。たぶん。

「私は君に優しさを全くあげていない」 何の脈絡もなく妻が僕にいった。 付き合って十年、結婚して八年を経た妻からの言葉だからなかなか痺れた。 「あげていないと思う」 妻はくりかえした。 「確かに少ないな」 僕は笑った。 「私は人のために生きられない。あなたに寄り添ってあげられない」 妻は寂しそうにいった。 夫としてはなかなか衝撃的なカミングアウトを受けたわけだが、僕が感じたことは違うところにあった。 「僕もそれ思ったことあるな」 妻は不思議そうに僕をみた。 「人

あなたの好きより少しだけ多い好きを

あなたの性格なんて自分の中でつくりあげればいい。十年以上も前に初めて聞いたとき、衝撃を受けた曲の歌詞。細かい言葉は覚えてないけど、そんなニュアンスの歌だった。 あの頃を思い出して書いている。 僕はあなたのことを勝手に妄想してた。きっとこういう人なんだろうって。おしゃれで、優しくて、よく笑って、少し弱い。 そして勝手に好きになって、眠れない夜に寂しくなり、何度もメールの受信ボックスを確認して。返信のないメールが怖くて疑問符をつけたこともあった。書きながら蘇る苦すぎる感情は