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あなたの好きより少しだけ多い好きを

あなたの性格なんて自分の中でつくりあげればいい。十年以上も前に初めて聞いたとき、衝撃を受けた曲の歌詞。細かい言葉は覚えてないけど、そんなニュアンスの歌だった。

あの頃を思い出して書いている。

僕はあなたのことを勝手に妄想してた。きっとこういう人なんだろうって。おしゃれで、優しくて、よく笑って、少し弱い。

そして勝手に好きになって、眠れない夜に寂しくなり、何度もメールの受信ボックスを確認して。返信のないメールが怖くて疑問符をつけたこともあった。書きながら蘇る苦すぎる感情は、砂糖とミルクを入れても飲めやしない。

頑張るほど、うまくいかなかった。

僕は容姿で勝負できるタイプではない。かといって親を恨んでもいない。

好きになってくれた人たちが教えてくれた。ウラオモテのない性格とワクワクして話している時の茶色の瞳があなたの良さだよって。

ウラオモテのない性格も、ワクワクしながら話すことも、自然体で過ごす時間の中じゃないと伝わらない。だから頑張っている時点でうまくいかない。

あの曲を聞いて、好きになるなんて勝手な思い込みだと思った。
好きになれそう人と付き合って、具体的で確かで小さな好きを積み上げればいいと。

それまではあなたが僕を好きになってくれた量より、僕はちょっとだけ多い好きを返す。

だいぶ前の思い出。僕の場合はそうだった。

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