![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/160578580/rectangle_large_type_2_c0885a27b84370b7b52b1916fd983793.jpg?width=1200)
『地球星人』村田沙耶香【読後脳内】
お久しぶりです。
noteに飽きたんだと言われればそれまでですが、書きたいと思ったら書くし、その衝動がなければ書かないだけです。
本作を読んで、読後感を1人で抱えるのはあまりに無理でした。
衝撃作という言葉が、月並みではありますが、最も似合うのではないかと思います。
ポハピピンポボピア星人(煩雑なので以下異星人とします)の考え方は、一般的な視点から見れば怪奇なものなのでしょうか。
異星人は、地球星人の「人は働き繁殖すべき」という思想を嫌います。
少し逸れますが、異星人の考えが地球星人の考えに対してアンチテーゼ的である時点で、異星人の考えはそれ単体で存在できるものではありません。
その時点で、異星人の考えの絶対的な正誤は別にして、舞台が地球である以上は誤った考えであると解釈しました。皮肉ですね。
僕自身の話をします。
僕の中にも、わずかながら「異星人の目」なるものが存在していると感じました。
僕は大学生です。男女問わず、セックスに躍起になっている人間の様を見てきました。
なんだか僕にはそれが不思議だった。
初体験が遅い人は遊びがちな傾向があるらしいですね。僕は19歳です。
それが早いか遅いかは別として、僕は遊びやすい大学生という環境下で初体験を終えました。
僕の場合は、金と時間と関係性というリスクに対するリターンが気持ちいいだけというのが釣り合わないと思って、積極的に遊ぶことはしていません。
そのリスクを犯して(実際に女性絡みの失敗談というのはこのリスクに起因する話がほとんどでしょう)セックスに躍起になる人々が、どこか本人の意思の外から操られているように見えないと言えば、嘘になります。
本作では「洗脳」や「工場の部品」という言葉で表現されています。
プログラム的であるという点で、腑に落ちる表現です。
実際に、種の保存のために脳に刻まれたものが性欲でしょうから。
ラストのラストまで、地球星人が滑稽に見えてくるように描かれています。
ただ、ラストがあまりにも破滅的というか衝撃的というか。
それを破滅的で衝撃的に感じることに、「ほら、お前は地球星人だ」と言われているような気がしてなりません。
ほとんどの人は、セックスは気持ちよくて魅力的だと感じながら、その欲にとらわれている人を嘲笑します。
嘲笑しながら、パートナーと肉体的関係がない人を奇妙だと言います。
パートナーとの行為であるとなった途端に、それは精神的繋がりのために必要だと、即物的な魅力を身体で理解しながら諭しはじめる。
これを洗脳だと指摘されて、反論できるでしょうか。
筋が通っていないと言われて、否定できるでしょうか。
おすすめという言い方が間違っていると思いながら、読んでみてくれと心から思います。
あなたの「地球」が揺るがされますよ。
きっと。