『ペンギン・ハイウェイ』編のおまけ〜おっぱい一考〜【閲覧注意】
森見登美彦作品にはある程度共通言語がある。
「おっぱい」もそのひとつだ。
『ペンギン・ハイウェイ』での少年が語る「おっぱい」は他作品で大人が語る「おっぱい」とはひとあじ違う。
人生は不可逆だ。
おっぱいは神秘的なものではなく、性的なものだと見てしまったが最後であった。
他作品に出てくる大人の男がおっぱいを語ってもアホだなぁとニヤニヤする程度だ。
それは、登場人物も私含め男性読者も、おっぱいを性的に見た経験がないわけがないからである。おっぱいは素晴らしい。だがそれはエロいからであって、神秘的だからではない。
だが、少年にとっての「おっぱい」は違う。
ああ、少年に近づきたい。
世界の果ては世界の内側にあるように、神秘的なものは時間の奥底にあるのだ。
不可逆性は十分に残酷性足りうる。
こんな大人にはなりたくなかった。
深夜におっぱいに関する文章を書くような大人には。
少年がいらいらを抑えるためでなく、むらむらを抑えるためにおっぱいのことを考えたとき。
僕は彼にとびきり苦いチョコレートをあげよう。