【パワポ時代の情報整理術】つめこみすぎなスライドがこれでスッキリ!
昨今、情報量がとにかく多く、理解しづらいパワーポイント資料が溢れています。「ポンチ絵」や「曼荼羅」などとも呼ばれるこの手の資料。パワーポイントを作る方も、読み解く方も大変です。
でも、わかります。一枚の資料に収めないといけない事情があることを―。会議の配布資料、提案資料、体制図、システムの構成図…。シンプルな資料が良いとわかっていながら、どうしても情報量を落とせない場合もあります。
そこで今回は、掲載する情報量はそのままに、デザインの力で資料をわかりやすくするテクニックをご紹介します。
【Before】元のスライドはこちら
お題にするのはこちらのスライド。体制やネットワークを表す図です。一枚のスライドあたりの情報量が多く、色々な要素が詰まっています。
出典:厚生労働省「医療・介護制度改革について」P.1
www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001gj87-att/2r9852000001gl5u.pdf
このスライドを改善してみましょう。
【After】情報量を減らさずに整理したスライドはこちら
文字や図の要素を減らさず、整理して見た目だけを変えました。
色や配置を変えるだけで、ずいぶん違う印象になります。
やりがち!元のスライドがわかりづらい原因は?
BeforeとAfterの違いは、何でしょうか。
元のスライドがわかりづらいのは、以下のような点が原因だと考えられます。
・色を使いすぎている・・・
・線を使いすぎている・・・
・デザインの規則性がなさすぎる・・・
・全てが主張しすぎている・・・
これらの問題を解決するために、具体的にどうすれば良いのか見ていきましょう。
色を使いすぎている・・・
元のスライドは文字の色、イラストの背景色、矢印の色、とにかくカラフルです。「AとBは別の要素だから」と色を変えていくと、スライド全体がだんだんカラフルになってしまい、見ている人には色分けの意図が伝わっていない恐れがあります。
始めは黒やグレーなどの無彩色でスライドを作っていき、目立たせたいところや、どうしても意味を分けたいところに、色を塗っていきましょう。そうすれば、必要以上に色を使わずに済みます。
線を使いすぎている・・・
枠線が多いと、スライド内の図の要素が増えて、ごちゃごちゃと複雑に見えてしまいます。
要素と要素の間の余白を取ったり、色の付いた図形を背景に敷いたりすることで、枠線を使わなくてもまとまりを表現することができます。
デザインの規則性がなさすぎる・・・
デザインの規則性とは、例えばどういった点でしょうか。今回例にしたスライドを見ると、イラストのテイストが揃っていない。背景色はベタ塗りとグラデーション、不透明と半透明が混在している。矢印の線の太さが一定ではない。四角形と角丸四角形、一重の枠線と二重の枠線があって不統一。文字が左揃えか中央揃えか、決まっていない。などの点が挙げられます。
スライドを作る側からすると、「時間がないし、自分はデザイナーじゃないから、細かいところまで気にしていられない」と思うかもしれません。ですが、ちょっとした図形の違いやデザインの違和感は、スライドを複雑に見せてしまいます。
図形の形や色、フォントサイズなどの規則を最初に自分で決めて、使っていくことが重要です。
全てが主張しすぎている・・・
元のスライドを見ると、どこを目立たせたいのかわかりづらくなってしまっています。全てが主張しすぎているのは、文字の大きさが一定であること、全体的にカラフルな色が付いていることなどが原因です。
情報を詰め込みすぎのスライドだからこそ、スライドを見たときに伝えたいメッセージが一瞬で判断できるようになっている必要があります。
改善するには、目立たせたい部分のフォントサイズを大きくする・太字にする・色を変えるなどの手段が有効です。目立たせたい部分のフォントサイズを大きくした場合は、その他の補助的な文章のフォントサイズを思い切って小さくしたり、色を白黒にしたりして、メリハリを付ける必要があります。
今回題材にしたBeforeのスライドを作った方にお話を伺ってみないとわかりませんが、例えば「医療提供体制の効率化・重点化と機能強化」の文章が重要だと仮定すると、Afterのように「Point」のアイキャッチを付けて、図とは少し位置を離すことで、少し目立たせることができます。
必要なのはセンスではなくシンプルなルール
情報量の多いスライドを「デザイン」で解決するとはいえ、飾り付けの美的センスは、あまり必要ではありません。時間を掛けて、カラフルな色を付けたり、3D効果を付けたりして、作り込む必要もありません。ただ、シンプルなスライドになるように、ルールを決めて作っていけばOKです。
誰かに伝えるためのパワーポイントの資料。より多くの人に、素早く、正確に伝わるためのヒントになれば幸いです。