6月5日ベイスターズvs楽天で起きた捕手とバッターランナーの接触について

 今回タイトルの件について、誤解をしている方が多いため久しぶりに筆をとる。このnoteでスポーツを取り扱うのは初めてだが、よりにもよって初めてがこんな内容である。
 今回の一連のプレーについての審判の判断と、嶺井選手が行った判断、三浦監督の行動など、それぞれどういう問題があったのか、そしてなぜ守備妨害は宣告されなかったのか、明らかにできたらと思う。

まず第一にあれは守備妨害だったのかどうか


 6回の表楽天の攻撃、先頭打者の辰巳選手が四球を選び一塁へ出塁。続くバッターのマルモレホス選手を三振に打ち取り1アウト一塁の状況で迎えたバッターは8番打者の太田選手。
 ここで初球をバントした太田選手、打球は転がらず捕手の嶺井選手が捕球。二塁で辰巳選手をフォースアウトにしようと送球動作に入ったところで嶺井選手の背後を走っていたバッターランナーの太田選手に振りかぶった腕が接触。このことを受け嶺井選手は送球動作を止め、球審に接触による守備妨害をアピールした。一度審判が集合し話し合った後、球審は守備妨害を認めず、三浦監督によるリクエストにも応じず、1アウト一塁、二塁で試合は再開された。

とまあこれが一連の流れだ。

今回のプレーについては、下記のルールが適用されたと思われる。

2021年度公認野球規則 88Pに

公認野球規則6.01(a)(10)【原注】
捕手が打球を処理しようとしているときに、捕手と一塁へ向かう打者走者とが接触した場合は、守備妨害も走塁妨害もなかったものとみなされて、何も宣告されない。
打球を処理しようとしている野手による走塁妨害は、非常に悪質で乱暴な場合にだけ宣告されるべきである。

という訳でここのプレーの裁定は、太田選手も捕手の後ろを走っており、悪質な妨害という形にはならず、インプレーのまま続行されたというところだろう。


ではそれぞれ何が問題だったのか

第一の問題は審判の裁定

 とまあルールブックを読み解けば、ここがインプレーで続行されたことはわかるものの、実はこのプレーには正確には「何も宣告されない」ではなく「何もなかったことを審判は宣告する」ことが必要なのである。

それが「ナッシング」と呼ばれるものである。

 通常ならば、打者走者と守備側の選手が接触した場合、どちらかによる妨害行為が取られ、その時点でボールデッドが宣告され、審判の裁定に移る。

 しかし今回のルールが適用される際は、守備妨害でも走塁妨害でもないと宣言する「ナッシング」を宣言し、インプレーであることを両者に示す必要がある。

 どうやらこの場面を見直すと、球審は嶺井選手と太田選手の接触に気付かずナッシングのジェスチャーを行っていない。(ナッシングのジェスチャーはセーフの際と同様の両手を広げるものだが球審はこのとき二塁を指さすジェスチャーを行っている。)
 恐らく接触に気付かなかったため、嶺井選手からのアピールの後、他の審判を集め接触の確認を行ったと思われる。

 審判に落ち度があるのだとすれば、「嶺井選手と太田選手の接触に気付かずナッシングを宣告しなかったこと」だ。最終的には各審判が気付かない程度の接触→悪質や乱暴なものではないという風に見なされたか、接触自体なかったという風に判断されたのだろう。どちらにせよインプレーである。

では捕手である嶺井選手の対応はどうだったか

 嶺井選手は送球動作に移った際に腕に太田選手が接触し、送球動作を止めて球審へ接触のアピールを行った。先述の通りこの時点で球審は接触の事実に気付いていないため、守備妨害やナッシングなどの裁定は一切行っていない。そのためこの状況ではどう転んでもインプレーのままだ。

ちなみに守備妨害についてのアピールプレイは存在しない
 

 つまりこの場面は嶺井捕手の独断による自己満足のアピールプレイもどきにしか過ぎない。
 そもそもアピールプレイであるならば、次の打者への投球までアピールの猶予があり、一連のプレーを終了したのちアピールを行えば、審判の判断によりランナーを戻す裁定などが下される為、ランナーが走ってる最中にアピールを行う必要がない。なので嶺井選手は一塁へ送球し一塁アウトを取ってからでも良かったのである。(今回SNSでこの部分について勘違いしている人が多数いたため、見かねてこのnoteを書いている)
 そもそもこの場面でアピールプレイが存在しないからアピールする意味がないため、ただランナーが一塁セーフになるのをよそ見していた捕手ということになる。

今回のプレーで一番悪いのはルールを把握していない捕手


 そしてリクエストのジェスチャーをしながら出てきた三浦監督だが、守備妨害についてはリクエストの対象外のため、当然リクエストは通らない。
 つまるところ監督がリクエストの適用範囲を知らなかったということがわかってしまった場面でもある。これは三浦監督に限った話ではないが、リクエストの適用範囲外でリクエストのアピールをする監督が他にもいる、自分の仕事の重要場面なんだからそれぐらい把握しておけといいたい。

 リクエスト拒否ではなくリクエストができる場面ではないということを見ている側も把握した上で拒否と騒ぐべき。今回の件はリクエスト拒否では無く、リクエストできないのにしようとした謎の人間が現れたということ。

 そりゃ球審も説明の時なんといえばいいのかわからなくなって笑うよな。ルールわかっていない人間二人が抗議してきているんだから。ルール通りに進めますとしか説明できない。

最後に


今回は嶺井選手の判断が悪いと結論づけたが、一連のプレーについては明確な判断基準を示すべきであると思う。
嶺井選手が守備妨害と勘違いしたのも、過去に似たようなケースで守備妨害をとってもらったことがあったからだろうし、悪質であるかどうかの判断基準が明確に示されていないため、見ている側も接触=妨害という認識でしかないのだ。このルールが無ければ極端な話右バッターによるバントがそもそもできなくなりかねないのでこのルールができたのだろうが、審判も場内に説明する際は根拠をちゃんと説明してくれるとありがたい。





 

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