letter1 ポストグローバル

世界の変化の方向性が定まろうとしているようです。「個別にグローバル」という表現がしっくりくる気がします。従来のグローバル化は新たな段階に進化し、ポストグローバル:グローバル2.0、あるいは新たな可能性を示すパラレルグローバル:グローバルBへ移行しているように思えます。

確かに「脱グローバル」とも言えますが、鎖国的な孤立主義に向かっているわけではありません。また、アメリカ民主党的な価値観から離れつつある一方で、共和党的な主張を支持する流れとも異なります。

1990年代から2010年代にかけては、経済の無国籍化が進み、国境を超えた経済活動が活発化しました。しかし、現在はその延長線上ではなく、政治的な国境の薄れが進んでいるように感じます。

冷戦後のアメリカは「グローバル社会で何かを成し遂げたければ、まずは俺を通せ」という態度を取っていました。しかし、現在の世界はそのアメリカ中心の構造から離れ、各国が直接つながる動きへとシフトしているように思います。

一見すると良いことのように思えますが、これは諸刃の剣です。20世紀の大戦は、中核的な力の崩壊が原因とも言えるからです。

追記:
ネットを通じた市民活動が「問う・判断する」ことで世界を良くするという夢に限界が訪れています。法的には黒ではないがグレーであるものについて、ある程度諦めざるを得ない場合もあるでしょう。しかし、黒に近いグレーに対しては、もはや言い逃れができない時代になったと言えます。従来、政治は法的な行動をして、道徳を訴えるのは宗教や教育の現場だったと思います。どうなるでしょう?

また全体を書き終えてから、ネットメディアやAI の影響が感じられてきました。選挙と政治は離れていくのでしょうか。ひとまずこれに関しては今回は書きません。


各国の動きだけでなく、広告やアピールに対しての反動も起きていると思います。GAFAの中でもかつてGoogleは無敵のように感じられていましたが、今は最も終わりの想像できる企業になってきました。

ネット上ではもう、YouTubeなどのメディアやメールなどのビジネスツールに頼るしかないのではという見方もあります。ネット検索をしても、知りたい知識とは違う商品が画面いっぱいに表示されることが増えました。Googleマップでの検索がうまくないと、飲食店が多すぎて地図が見えなくなるほどで、商業用の検索機械になろうとしているように思えます。

AIの普及により、こうしたストレスから逃れる手段が増えました。他にもAppleのSafariでは広告ブロック機能を使うことで、かなりのストレスを軽減できます。そのため、今もGoogleやアプリを使い続ける人は、10年代の良い印象を引きずっている人々が主ではないかとも思えます。


デジタル化によって情報が双方向になった今、本来は消費者が必要に応じて情報を取得する形が理想的です。しかし現実には、売る側が情報を押し付ける力を強めており、この圧力的な構造はSNSにも通じています。SNSは一見「共有」の場に見えますが、実際には上下関係の仕組みにも似ています。

こうした状況は、世界各国の動きとも関連しています。セールスや広告への反動は、言葉巧みに他者を制御してきたことに対しての反動です。今回のアメリカ大統領選での民主党の苦戦や、TikTok規制の動き、さらには昨年末に話題にされた色恋営業禁止法案も、この流れの一環と考えられます。

現在の社会では、「他人を言いくるめる技術」が極端な段階に達しています。他者のドーパミンを制御することが当たり前になっている現状は、大きな問題です。

この現象を広く見れば、「推し活」もその一例と言えるでしょう。また、セールストークやネット上の過剰なアピールも同じ流れに属しています。これらは、他者をコントロールできる立場にある者が、それを利用し、問題視されることなく放置されてきた数十年の結果なのです。

そしてAIの普及によって、次の段階が見えてきました。しかし同時に、日本の政府、官僚、財閥企業が権力を維持するために生じる非効率が問題として浮き彫りになってきます。

日本の大企業の経営管理部門はAI/デジタル化により、真空管回路のような巨体からICチップのようにコンパクトにできるでしょう。しかし、天下り先を維持しようとする力が働いているため、その変革を避けているように見えます。この結果、国際金融での地位が低下し、国家権力を利用して大企業を守る代わりに、国民に税負担が強いられる状況が続いています。

海外では、インボイスやマイナンバーのような制度は珍しくないようですが、それらは国家運営がデジタル化され、無駄を省き効率化された結果として成り立っています。

一方、日本では煩雑な手続きを通さなければならない状況が続いています。これは明らかに非効率です。本来、無人レジのように簡単で効率的な仕組みを目指すべきでしょう。しかし、弱体化した大企業を守るための市場作りのようなことになり、国民に時間や労力の負担すら押し付けられているのが現状のようです。

今年後半、AIの浸透によってこうした問題がより表面化してきたことは、いくらか救いといえるかもしれません。

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