僕と君と夏と秋と。
「さむっ」
まだ、明け方6時前なのに目が覚めた。
ちょっと前までは、暑くて目が覚めていたのに。
あと、30分は寝られたのに。
もう、秋か。
とりあえず、スマホを手に取る。
朝だけは、画面が通知で埋め尽くされている。
朝だけは。
いいねされました、
通販サイトのメール、
仕事関係のライン、
ゲームアプリの通知、
今日もいつも通りかと思っていると
一つの通知が目に留まった。
”新着メッセージがあります”
おもむろにそのメッセージを確認してみた。
彼女からだ。
”寒い!”
”?”
”だから、寒いの!”
”それは僕のせいじゃないんですけど”
”寒くて起きたの、てか早起きね今日”
”いや、今日は特別”
”おれも寒くて起きた!”
”私も”
”最近急に寒くなったよね”
”寒いから、今日仕事いやです”
”じゃあ、ウチ来る?(笑)”
”ちょっと何言ってるのかわかんないです”
”てか、最近どうよ?”
”浮気とかしてない?”
”仕事ばっかの毎日です”
”同じく”
”最近、会社と家をただ往復してます”
”同じくです”
”え、じゃあウチ来る?”
”しつこい(笑)”
”まぁ、仕事終わったら考える”
”連絡お待ちしてます”
”は~い!”
ちょっと幸せな気持ちになってスマホを置く。
彼女とは夏から少し離れた場所で
別々に暮らしている。
彼女がいないから、
部屋でタバコがどうどうと吸える。
夜遅くまで、友人と飲める。
ちょっとエッチなサイトだって好きなだけ見れる。
お互いに連絡をまめにするほうじゃないから、
連絡もお互いに何かあったときだけ。
そういえば、
付き合い始めてから電話をした覚えがない。
そう思った時には、すでに電話をかけていた。
「なに?」
彼女はいつも朝、機嫌が悪い。
でも今は電話越しに彼女がいる。
そう思うとうれしくて...
「いや、声が聞きたくなって。」
「え、気持ち悪いよ。なんかあった?」
「いや、別に。付き合い始めてから電話したことあったっけと思って。」
「いや、最初の方はほとんど毎日電話くれましたやん、あなた。」
「そうだっけ?」
「そうゆうとぼけたところ、好きよ(笑)」
「俺も好き」
「とりあえず今日、仕事終わったら”電話”するね!」
「あ、ありがとう。今日も一日頑張りましょう!」
「頑張りましょ。またね!」
ツー、ツー、ツー...
その音だけが薄暗い部屋の中に響く。
「よし」
小さくつぶやいた後、仕事の支度を始めた。
こんなにワクワクしながら
支度をしたのはいつぶりだろうと、
自分って単純だなと思いながら、
いつものシャツにそでを通す。
「いい時間だな、いってきます!」
誰もいない部屋にそう言い残して
仕事に向かう。
夏が終わった。
秋が来た。
冬が来るまでに
また一緒に住めたらいいな。
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