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【感想】M-1グランプリ、一夜明けて。

12月20日。敗者復活戦から本戦までしっかり堪能した。
私はできうる限り毎年リアルタイムで観ることにしている。
しかし、これまでわざわざネットにまで個人的な感想を
書くということをしてこなかったが、
今回は書いておきたいと思った。
あくまでも個人的な感想であり、
「批評」ではないことをご理解いただきたい。

●全体的な感想

今年の【M-1グランプリ 2020】(以降:M1)は例年と少し
趣が違うように感じた。
というのも敗者復活戦から、本戦まで一貫して
「感動」ポイントがいくつも存在した。

私の涙腺がことごとく崩壊したポイントを5つ紹介する。

1.敗者復活戦、「祇園」の欠場
2.ニューヨーク 屋敷、雪辱を晴らす?
3.マヂカルラブリー 野田クリスタル、あの人との和解
4.おいでやすこが、おいでやすの勢い
5.インディアンス たぶち、祇園木崎への優しさ。

1.「祇園」の欠場
わざわざなぜ欠場かはあえて書かない。
ただがんばってきた漫才師がこのM1を欠場することになったというのは
本当に悔しかったろうと思う。
敗者復活戦とは言え、あの場にいられない悔しさと悲しさは計り知れない。
来年こそ、しっかりと本戦へとのこってほしいと願うばかりである。

2.ニューヨーク 屋敷、雪辱を晴らす?

ニューヨークらしいブラックなネタでかなりすてきだった。
ニューヨークのつっこみの屋敷さんは去年、松本さんに
つっこみに関して厳しい言葉を受けていた。

“つっこみの子が笑いながらつっこむのは好みじゃない”

この言葉をずっと気にしていて今回、ネタ終わりのコメントでも

“ぼくはもう笑っても大丈夫ですか?”
“ずっと笑わないように気をつけていて・・・”

としっかし回収している。

そして点数が発表されるとき、巨人師匠から中川家礼二さんまでは
うなづきながらモニターを見つめていた。

そして、松本さんの点数が発表されると。

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このガッツポーズである。そして松本さんのコメントは

“ちょっと腹立つんですけど、おもろかったですね”

そのコメントを受けた屋敷さんは

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“1年越しのリベンジ!!!”


と叫んでいた。まさに念願かなって、
あの松本さんにおもしろいと言ってもらえた。

私もテレビの前で、興奮していた。
ほんとうによかった。リベンジできてほうんとうによかった。

今度は“つっこみがこわい”と去年と逆のことでしっかり笑いも回収
されていた。

3.マヂカルラブリー 野田クリスタル、あの人との和解

やはり今回の見どころと言えばこの二人だろう。
3年前“あの人”=上沼さんに厳しい言葉を受けて、
放送事故のような(本人談)事態を作ってしまっていた。そして今年。

一本目のネタの掴みが、

“どうしても笑わせたい人がいるおとこです。”

もうこれでグッときた。がんばったなぁ。

ネタ終わりのコメントで司会の今田さんに3年前のことを聞かれ、

“あの時は本当にすいませんでした。”

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と謝罪した。上沼さんの点数が発表されると

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これである。ほんとうによかった。念願叶ってよかった。

上沼さんは3年前のことを覚えていない、と言った。
この方も相当お優しい。

“ばかばかしさが突き抜けるっていうのはもう芸術や”

上沼さんのこのコメントはマヂカルラブリーだけの話だけでも
この「M-1グランプリ」という大会だけでもなく、
「漫才」や「お笑い」という箱庭だけの話ではなく、
もっと大きな【芸術】というもののあり方を支えるものではないか。

上沼さん、すばらしい。
マヂカルラブリー、ほんとによかった。

4.決勝でのおいでやすこが、おいでやすの勢い

一本目のネタ終わりのけコメント、点数が発表された瞬間。この顔である。

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まさか1位とは・・・。

・松本さん
“単純明快だけど笑っちゃう・・・”

・礼二さん
“お二人とも力があるんで・・・(中略)お二人のよさが出た”

・塙さん
“強いつっこみが・・・(中略)つっこみを十何年やってるとできないつっこみで・・・つっこみは強い方がおもしろい・・・”

20年やってきているというまぎれもない実力。
R1ルール改訂で出場権を失うも、漫才に賭けるふたり。
この勢いにはほんとうに感動した。

5.インディアンス たぶち、祇園木崎への優しさ。

敗者復活戦でのネタの冒頭、インディアンスたぶちは
欠場したコンビ 祇園の木崎のつかみを引用した。

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“お待たせしました、木崎です。”

この場にこれなかった祇園はうれしかったろう。
この後祇園の木崎はTwitterで感謝していた。

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「芸人」とは、「漫才師」とは、こういうものである。

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今大会の感想としては、ネタはもちろんどのコンビもおもしろかった。
ただ今回は各コンビのバックボーンがすごく滲み出ていたと思う。

そしてもうもうひとつ。
去年、「ぺこぱ」が出場した際に【誰も傷つけない笑い】や
【優しいツッコミ】が話題になった。
どついたりしない、否定しないつっこみがいいと言われた。

今回はどうだろう。
インディアンスのようなしゃべくり系、おいでやすの絶叫ツッコミや、
ウエストランドやニューヨークのブラックなネタ、
マヂカルラブリーや錦鯉などのシュール系、
はたしてそこに【誰も傷つけない】というのはあっただろうか。

ぺこぱは決勝にはいけなかった。

これは【おもしろさ】を競う大会である。

その【おもしろさ】を競う大会で【誰も傷つけない】という要素は
必要ないのである。

事実上記のとおり、【強いツッコミ】と【強いボケ】を持っているコンビが今回決勝に残った。

観ている人間は、【誰も傷つけないつっこみやボケ】より【強いツッコミ】と【強いボケ】が観たいということの表れではないだろうか。

私は今回のM1に対してはこの【誰も傷つけない】というワードを引きずってしまうことが心配だった。
しかしやはり観ている側は正直だった、
今回の出場者たちは「笑い」がどういうものかを
身を持って証明してくれたと思う。

この件に関してもいつか深く書くつもりである。

M-1グランプリ 2020。
たのしく観れました。携わった方々、芸人のみなさん、
おつかれさまでした。
また来年もたのしみにしています。

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