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捨てられないお花

ずっと、捨ててもらえてないお花がある

別れるかもしれない時期があった
その前に彼にプレゼントした花束
部屋を彩るために、彼のバンドを応援するために、
そんな気持ちの花束

気づけば3ヶ月、3ヶ月もずっと部屋で枯れてる
このままじゃだめだ、捨ててあげないと可哀想だって、初めて思った
カスミソウも茶色くなってる
一輪一輪下を向いている
花瓶の下は抹茶色に澱んでいる

花瓶ごと捨てたいな
別れてないし、仲は良いし、来週は彼の誕生日にディズニーに行く
なんなら前より仲良くできてるかもしれない
それなのに捨てられない
このお花を渡したとき、純粋な気持ちで彼のバンドを応援できていたか、分からなくなる
真っ直ぐな気持ちで戦ってる人を
真っ直ぐな気持ちで応援できてない自分が確かに居る

日が回ったため、明日の土曜日はインディーズバンドの中でも大きなサーキットに彼のバンドが出る日だ
結成前から恋人だったため、ずっと見てきた
ずっと見てきて、前のバンド時代から見てきて、
そんな自分だからこそ、自分だけだからこそ、
すっごく嬉しい
素直に嬉しい
本当にすごい
おめでとうって、きっと初めてかもしれない
インディーズだし大きな箱ではないけど
そこに出れたことがすごいって、きちんと明日伝えたい

彼のライヴの日は決まって花束と手紙を渡していた
かれこれ5回くらいライヴを観に行ってるけど、
毎度ファンにバレたらダメだからって理由で写真もあまり撮れず、花束とお手紙を渡してすぐ解散
でもそれで良かった
そのお花は2人のお家に来るのだから
結局私が花瓶に詰めてあげるんだから
そう思ってた
別居するようになってからも私は彼の家に頻繁に居てる
今日も、明日も、きっと明後日も
それでも何も言わない彼の優しさに甘え続けてる自分に呆れる、
でもまだ溺れてたい、ここに居たい、
外でプレゼントしたお花をここに持って帰ってきた彼にお疲れ様と言って花瓶に詰めたい
全て自分のエゴなのかもしれない

明日には
明日には、花瓶ごと捨てて
新しい花瓶を買って新しいお花たちをお迎えして生けてまっておこう
もう外で花束を渡すのは辞めよう
きっとずっと彼の優しさだった
プレゼントしてくれる私には言えなかったのだろう
2人の世界があるんだから
お花も2人の世界にしまっておこう
お手紙もお家で渡そう

誰かに見てもらえないと保てないような恋愛はもうしたくない
2人で2人を強くして味方であり続けたい

捨てられるかなー

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