言語学入門書を深堀りするシリーズ#5

今日は語の構造をやります。PMSで異様な眠気に襲われています。頑張れっていってください。アリガトウ。

このシリーズの参考のメインは中島&外池(Eds)「言語学への招待」(1994)です。
今回は第八章「語の構造(河東)」です。

今更ながらにほえーってなった部分を。これも絶対知ってなきゃおかしい部分なんですが、何故私はこんなに概念系を放置していたのかなこれまで??

単語を構成する基本単位を形態素という。単語はいくつかのそれで成り立っていたりするが、その中で意味の中心的な部分を決定するものを語幹という。語幹は単語全体の品詞(範疇)を決定する。語幹前につく接頭辞は意味決定、後の接尾辞は範疇を示す。(語幹が範疇を決定するんじゃないんかいとツッコミたかったんですが、それはどうやら語幹で終わる単語の場合らしい。接尾辞があるなら基本それによって範疇が示されるんでしょうね。)

形態素の中でもそれだけで単語となり得るものは自由形態素、他の形態素と結びついて単語になることができるものを拘束形態素という。語幹や接辞も後者に含まれる。接辞は接頭辞、接尾辞、接中辞とあるが、これらは語幹に加わって他の語を派生するので派生接辞と呼ばれる。一方、動詞の活用を変えるものとか、名詞を複数形にするような接辞は活用接辞屈折接辞と呼ばれる。

語の構造として、形態素をテキトーに組み合わせても単語として成り立たない。そこには一定の規則がある。
単語内部の構造を可視化すると、どう並べると語になるのかが浮かび上がる。これは元々統語論のXバー理論という、単語をどう並べれば句になり、句をどう並べれば文になるのかということを分析する理論であり、文の階層構造を規定するのに貢献する。これをアプライしたってわけだねぇ。
句の構成に関して三つの規則がわかっている(中心となる語;主要部を核に形成され、その性質や範疇は句全体に反映される。主要部は言語ごとに左端または右端に現れる。主要部と一緒に現れる要素の種類は主要部の語に基づいて決まる)のだが、それは語の構成についても当てはまるという。
範疇については、その語が「接頭辞+語幹」なのか「語幹+接尾辞」なのかで語幹が、あるいは接尾辞が範疇になる。どちらにせよ、右端の形態素が全体の範疇を決定するので、右端の形態素が語の主要部ということにもなる(主要部右端の原則)。さらに主要部がどのような形態素と一緒に生じるかは主要部となる形態素ごとに決まっているのだ。

語幹に屈折接辞が加わると、それは基本的に右側につくことになっている。これは屈折辞が一種の主要部であり、主要部右端の原則に則った結果である。(英語の複数fishなどの例外の場合は、ゼロ形態素がついているとみなす。)

語形成のプロセスには形態素を付加するようなタイプだけではなく、造語、借用、合成、混成・混合、省略・刈り込み、転換、頭字語などあるが、私が面白いと思うのは逆成。editorはedit+orの二つの形態素に見えるけど、実は一つなんだよね。それを、むしろ接尾辞を見立てられる部分をポイして語幹と見立てられる部分を独り立ちさせるプロセスのことをいう。edit(編集する)という動詞にしちゃった、という。

早い。終わり。今回のは結構メモ程度になっちった。

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・河東.(1994). 語の構造. In 中島&外池(Eds.) 言語学への招待. pp. 95-105. 大修館書店.

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