プレシャスプラスチックマシンをファブラボ鎌倉で公開してみた
こんにちは、「プレシャスプラスチック鎌倉」で、プラスチックごみをリサイクルするマシンづくりを担当したファブラボ鎌倉の渡辺ゆうかです。前回に引き続き記事を担当させて頂きました。今回は制作したマシンに集まる方々についてご紹介していきます。ファブラボ鎌倉がなぜこのプロジェクトに参加しているのかは、ぜひ前回の記事をご覧ください。
コロナ禍の中で完成したプレシャスプラスチックマシンですが、日の目を浴びるのが今か今かととウズウズする日々。第一回の緊急事態宣言が発令されてから半年以上経過し、感染対策を取りながら2020年11月から月に2回、ファブラボ鎌倉でプレシャスプラスチックマシン体験会を開始して行こうとなりました。事前予約制で人数制限もしてましたが、正直誰も来なかったらどうしようかなとも思っていたり。蓋を開けてみると心配は取り越し苦労で、全回満席という状況でした。ほっ
謎のマシンに集う人って、どんな人?
これまで実施した体験会には、地元の高校生、 大学生 、社会人、 専門家 (プラスチックの関連会社)、鎌倉在住のクリエイター (陶芸家、ニットデザイナーなど)らが参加してくれました。
体験会の様子をダイジェストでご紹介しますね。
参加者は、はずはじめに材料となるペットボトルキャップを素材化するため、シュレッダーで粉砕します。跳ね返りに要注意です。
粉砕すると右のような細かいチップ状になります。
チップ状にしたペットボトルキャップを中央の箱に入れて、熱をかけ横からニョロニョロと樹脂が出てくるところを、すかさず型に納めていきます。話す余裕も持てないので、終わるまで声をかけるのはNGです。
事前にどのように手を動かすかをシュミレーションしておくと、それなりの形になります。その逆も然り。
クリスマスオーナメント風なオブジェにも見えたり
とある参加者は、そうきたか! と思える工夫をしていたり
固まる速度を逆に造形時間として利用した試犬?
「これ、編めませんかね」とモジュールを作るニット作家さん。この発想はなかったです。(ニヤリ)
円形の紙管を利用してバネ作りに挑戦する参加者
陶芸教室を営むご夫婦は、事前に陶器で型を作成して参加してくれました。
焼く前の陶器の粘土で型を作成して、プレシャスプラスチックマシンから出てくる樹脂を巻き付けた試作。水に浸すと粘土が溶けてなくなるためひょうたん型の造形もこの通り。陶芸されているだけあり、一発勝負でも落ち着いた手さばきは見事なものでした。
毎回、マシン体験会は、なんとも発見や気づきの多い時間となっています。課題も含めて、自分にはなかったアイデアに出会える刺激が楽しいです。今は、2回目の緊急事態宣言も発令され少しお休み期間となっています。
今後の展開に向けて
鎌倉の特徴の一つは、なんといっても海が近いということ。砂浜をよく見ると、米粒大のカラフルな破片があちこちにあります。これは、貝殻でも砂つぶでもなく、海の生態系に大きな影響を及ぼしているマイクロプラスチックです。自分たちが地域内で出したゴミではなくとも、日々海洋プラスチックは海辺に打ち上げられています。
鎌倉材木座海岸 / 海辺のマイクロプラスチック
プレシャスプラスチック鎌倉の活動で使用している素材は、地域で集めたペットボトルキャップを利用しています。その理由として、ペットボトルキャップに使われているポリプロピレン(通称:PP)は、成形がしやすく、不純物も少なく、比較的集めやすいからです。塩素系の素材が入っている場合は(塩化ビニルなど)、熱分解する際に有毒物質を含んだガスが発生する場合があります。熱加工時の安全性を担保するということは、最優先で考えなければないため、どのような素材であるか担保できるかどうかが非常に重要です。
そういった理由から、扱う素材に関しては、今は限定的かつ慎重になってしまいますが、もう少し体制を整えてから浜辺に流れ着くプラスチックゴミの素材化も進めていきたいです。
現状の「プレシャスプラスチック鎌倉」の活動は、各所との連携体制を構築しながら、作ったマシンで試行錯誤している段階ですが、今後は以下のようなことを考えていきたいと思っています。
1. イベントで終わらない仕組みづくり
非日常でなく日常に落とし込むためにどうするか
2. 活動の体制 づくり
専門分野を持つ方や地域の方々との連携、継続のため活動資金についてなど
3. 素材の収集と分別方法
地域編 / 海洋プラスチック編
新型コロナの第三波がやってきており、マシン体験会は一旦お休みしてますが、水面下では3つの課題をどうしようかとあーだこーだと活動を続けていきますので、コロナが落ち着いた頃に、ぜひ鎌倉にてお会いできるのを楽しみにしてます。
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