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ファブラボ鎌倉が、プレシャスプラスチックを通じて目指す循環型社会とは?

はじめまして、「プレシャスプラスチック鎌倉」という何やら楽しそうなプロジェクトに参加させてもらっている、ファブラボ鎌倉の渡辺ゆうかです。普段は、ファブラボ鎌倉という3Dプリンタやレーザーカッター、プログラミングや電子工作などテクノロジーを使ったものづくりの実験工房を運営しています。

オランダから始まったプレシャスプラスチックの存在は知っていたので、鎌倉でもやりたいなと思っていたところに、発起人の瀬藤さんからのお声がけ。瀬藤さんによるプロジェクト立ち上げの経緯はこちらをご覧ください。

渡りに船はないですが、出産間近に控えながらもやって来た船に飛び乗りました。ですが、やっぱり出産間近に控えていたので、できることは限られており、ファブラボ鎌倉の心強いメンバーである、山本さんや心強い仲間にも加わってもらい、ファブラボらしくマシン作りを担当していくことになりました。

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マシンづくりを担当したファブラボのメンバー。左上から私、 テクニカルサポーターの山本さん、北海道栗山町地域おこし協力隊の岡さん、土山さん

山本さんは、リタイア後にファブラボ鎌倉の朝ファブというオープンラボに参加して以来、今では欠かせないメンバーとなっています。小学校4年生からはんだごてを握る、筋金入りのエンジニアです。山本さんについてはぜひ「鎌倉の''コンピュータおじちゃん''たちの挑戦」をご覧いただけると嬉しいです。

そして、私が産休で不在の時に山本さんと一緒にプレシャスプラスチックマシン制作に関わってくれたのが、北海道栗山町からやって来た地域おこし協力隊の岡さんと土山さんの二人です。日本最北端のファブラボ設立を目指しファブラボ鎌倉で研修をしていました。そんな二人についての詳細は、「栗山と鎌倉」地域を越えた人材育成プロジェクトにてご覧いただけます。

この3人の力で主にプレシャスプラスチックマシンの心臓部である加熱の制御装置や外装作成を行なっていきました。

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ファブラボでのマシン制作の様子

全体の進捗やエレクトロニクスの部分を山本さんが担当し、安全や機能性を考えた外装などの造作を協力隊の二人が行っていきました。

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コントローラーを配置し、レーザーカッターで穴開け、用途を表示した文字を彫刻して制作もいよいよ終盤。

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こちらが今回完成したエクストリュージョンマシン。プラスチックのチップを溶かして細い線状に押し出し、自由に成形することができます。加えて、プラスチックキャップを細かく粉砕してチップにするシュレッダーも加わりました。

粉砕機、成形機マシンが完成してお披露目というところで、コロナ禍となり、完成したマシンたちは少しの間お蔵入り状態に。

コロナ禍で改めて考えた、なぜ今、プレシャスプラスチック?

完成後すぐに、マシンのお披露目会や体験などの活動は出来なかったのですが、オンラインで改めて立ち上げメンバーと深く対話を重ねていきました。なぜなら、メンバー間でも「つくる」ことに重き置いて始めたこの活動に対して、誰かに伝えるための共通言語の掘り下げはできていなかったのです。この活動がブレていかないためにも、関係者で想いを言語化し、伝えるために何をすべきかを議論していきました。今思うととても重要な通過点だったように感じています。それぞれの想いを整理し落とし込んだのが、プレシャスプラスチック鎌倉のWEBサイトでも掲載している下記の図です。

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もともとファブラボ鎌倉では「テクノロジーを活用した循環型社会」を目指すファブシティという考え方を提唱しており、鎌倉市は、2018年にファブシティ宣言をしました。

FabCityの特徴として、20世紀型の一方通行の社会構造に対して、21世紀型の循環型社会を目指しています。モノのデータはグローバルに共有し、地域素材や資源を活用してモノが作られ、循環するライフスタイルを提示している。ファブラボがある都市と連携しグローバルにノウハウを共有してく取り組みとなっている。FabCity公式サイト

ファブシティは、大量生産、大量消費といった20世紀の製造方法から、地域資源やデータが循環し21世紀らしいやり方で自給自足型社会を目指す取り組みです。一方で、なかなか実感しにくいという課題があります。

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20世紀の製造が一直線(LINEAR)なら、21世紀は循環(CIRCULAR)を目指す / FabCity Prototypes @ Fab Lab Barcelona

ファブシティの取り組みについて色々と説明するよりも、目の前で役目を終えたペットボトルキャップが粉砕され素材となり、熱が加えられ再度成形される。「百聞は一見に如かず」ではないですが、「百聞は一体験に如かず」でコンセプトを伝えていくことはできないかと考えました。

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シュレッダーで粉砕されるプラスチックキャップ

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細かく粉砕したプラスチックキャップのチップ

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押し出し機から粉砕したチップが溶けて出てきている様子

プレシャスプラスチックマシンを通じて、直感的に「素材の循環」を作りながら感じ、未来に対して何かを考えるきっかけを持ってもられればと思い活動しています。根本的な課題に取り組んでいくためにも、このマシンを介して同じ想いを持った人と出会うことができるのではないかという仮説をたてました。

プレシャスプラスチックマシンは、ゴツい機械に見えるかもしれません。実際、ゴツいです。そんな無骨で愛らしいマシンが紡いでくれる、未知の出会いに希望を込めて「感度の高いヘンタイ(褒め言葉)ホイホイ」と呼んでいたりします。実際、どんな人が、どんな理由で集まるか、わからないことの方が多いことにワクワクしながら。

次は、この謎のマシンに集う方々の様子をご紹介していきますね。



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