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柴山順子
2020年1月30日 15:11
スマホのタイマーが鳴る。今日は10時から会議がある。遅刻して10時出社しようかな?ムリ、むり、無理…… 景子はベッドから抜け出すと、そのままバスルームに向かいシャワーを浴びた。長い髪に入念にコンディショナーをなじませる。シャワーから出ると、全身にボディーローションをつける。肌の弱い景子は香りの強いものは合わない。なるべく香りの少いオーガニックローションを愛用している。 最近は肌の乾燥が気に
2020年1月31日 13:51
お昼休み。景子は同僚の香織とランチに出た。「いいお天気。気持ちがいいね。」 東京はやっと夏の暑さから解放され、過ごしやすい季節を迎えていた。「やっぱりコンビニで何か買って行かない?」香織がいきなり景子をコンビニに引っ張り込んだ。何?景子の視界にヒロキの姿が一瞬写った。 ヒロキは香織の彼氏で、最近香織とモメている。香織はヒロキに二股かけられていたのだ。「彼、一人だった?」香織が景子
2020年2月3日 11:46
今日は定時で帰れるかと思っていたが甘かった。景子は3時あたりから残業を覚悟した。むしろこうなると慌てず騒がず、かえってのんびり仕事するようにしないと途中でモチベーションが切れてしまう。仕事の能率としては落ちるよな。と、思いながらペース配分を考える。しかもまだ水曜日だ。とりあえず7時で仕事を切り上げた。「大西さん、ちょっと……」上司に挨拶して帰ろうとすると、課長が景子を呼び止めた。「佐野君
2020年2月4日 12:11
景子はクリスマスイルミネーションで輝く表参道を小走りに急いでいた。景子の彼、雄大がブルーノートのライブチケットを用意してくれたのだ。 憧れのディーバ、レイラ・ハサウェイのクリスマスディナーライブ。舞い上がる気持ちを抑えようとしても自然と笑みがこぼれてしまう。ブルーノートの入口には今日のアーティスト、レイラの写真が掲げられていた。「わぁお!」景子は人目もはばからず撮りまくると、弾む足取りでロ
2020年2月5日 15:47
大晦日。景子は茅ヶ崎の実家に帰った。「ただいま。」海に近い景子の実家は、日当たりの良い庭のある二階建ての一軒家だった。「おかえり。」父と母が玄関で出迎えてくれた。ラブラドールのハナが大喜びで景子に飛び付いてきた。「ハナ!会いたかったよ。」 リビングのソファーに座ると、母がお茶を出してくれた。「お父さん、お土産。」景子は早速、神川酒造の日本酒を父に渡した。「景子が日本酒を持って
2020年2月6日 11:34
金曜日。週末に雄大と出掛ける予定だった景子は、仕事の帰りに美容院に寄った。年末は仕事が忙しくて、ほとんど自分をケアしてこなかったのだ。毛先のパーマは残していつものカラーだけにしてもらっても2時間以上かかってしまった。美容院を出ると家に向かう電車に乗った。「あと二駅。」つり革につかまってスマホを見ながらホームの駅名を確認した時だ。 ホームに雄大がいた。隣に若い女性が一緒にいる。雄大がうつむい