飲食営業から飲食体験の提供に事業の軸足を変えていく時代に必要なのは徹底した顧客思考 #新レストラン考 イベントレポート

3月10日水曜日19:30から行われた日経COME MOさん主催によるトークイベント『当たり前が変わる、新レストラン考』の最速レポートである。

https://eventregist.com/e/comemo202103shopping03

日本経済新聞大岩編集委員をファシリテーターに、カゲン子安大輔さんとお話しするのはコロナ禍でどう戦ってきたか、どう戦っていくべきか、飲食店のこれからについて。

飲食店だけに留まらず、たくさんのヒントが詰まっています。

朝ディナーをやった理由は?実際やってみての気づきは?


緊急事態宣言が始まる中で夜の時間のマネタイズをどうやってかわしていくかと考えたときに『朝時間にディナーコース体験を』というコンセプトで #朝ディナー と言う新しい体験価値を思いついた。
食べ終わっても11時前、体も軽いし仕事もやる気が出る。かなり可能性を感じた。朝会食がありに朝ディナーを定期的に予約するお客様も増えている。

これはsioだからできたのではないかという意見もあるがどう思いますか?

日本ではもっと朝食がどうにかできると言う意見がすごくある中で気持ちはわかるけどビジネスとしては難しい。その理由としては、コンビニや牛丼チェーンの『朝の強さ』があるためだ。
ホテルは朝が強い、数千の朝ご飯を食べたいと言う人もたくさんいる。そっちの朝体験と言うニーズは以前からあることを秋の取り組みを見て改めて感じた。また朝ディナーと言うワードセンスが素晴らしい。言葉のフックの書き方が絶妙。そういう意味ではsioでしかできないこととでもいいと思う。(子安さん)

コースの文脈の作り方はレストラン運営してきた僕らだからこそできたことであり、だから #朝ディナー にチャレンジできたと思っている。

テイクアウトについて

大事にしているのは、作る商品のジャンル選び。

そこそこ知られているけどまだ圧倒的奏者がいないマイナースポーツ、比較対象があると定番の料理、誰も食べたことない新ジャンルの料理。テイクアウト商戦の中で自分たちが考える料理をどこに置くかが重要。

お客さんが食べるときに何があったら嬉しいかから考えるのがsioの凄いところ。
冷めても美味しいを考え抜く人があまりいなかったのではないかと思っている。(子安さん)

デリバリーの時点でいつ食べるかコントロールできないことを大前提に、1番最悪の状況を想定して美味しいもの作った。8時間後食べても美味しいかどうか、実際に食べて実験しながらテイクアウトの料理を作り上げていった。

テイクアウトテイクアウトと言う料理のジャンルであることを認識することがめちゃくちゃ大事である。そうしないとテイクアウト商戦を勝ち抜く事はものすごく難しい。

子安さんから見たsioの印象は?

お客様とスタッフの距離が近いこと。それをすごく感じた。アルコールもノンアルコールも、ものすごく丁寧に説明してくれる。少し不器用に思える位だけどそれがまた人間ぽくて良いと感じた。(子安さん)

朝はそういうことを意識してるんですか?

とことんお客様と向き合うことを大事にすると決めた。そもそも僕たちが料理を作る理由はお客様に喜んでもらうため。シンプルな動機だからこそ、動きが早いし、スタッフもついてきてくれると思っている。

レシピを公開した理由はなんですか?


お客様が単純に喜んでくれると思ったからである。するとものすごくSNSで喜びの声が聞こえ届いてそれに1つずつ返していく中でものすごく価値があることだと気づき続けていこうと思った。

スペインのサンセバスチャンもシェフ同士がレシピの共有をしている。レストラン自体のエントランスを下げるかが重要。接点を増やすと言うのはこれからのキーワードになる。幸せの分母を増やすとは、裾野を広げると言うことだと思っている。

コンビニ商品のシェフによるレシピ監修は、これまではディスブランディングに思われてしまうようなこともあっただろうが、今の時代、みんなが食べるものをシェフが監修することの意義はとてもある。

コンビニのレシピ開発力はものすごいものがあり、だからこそシェフとコラボする理由がある。

みんなが食べている食事をめちゃくちゃ美味しくすることには、ヒントがある。それを誰とやるか、そこの目利き力非常に重要になってくると考えている。

テイクアウトの利益はどう考えるか?

テイクアウトで儲けないと決めている。テイクアウトはレストランのエントランスを下げる名刺代わりとなる。あくまでPR、プロモーション。だからテイクアウトの料理はレストランのイズムが詰まったミニマムの名刺。

その前提があるからこそ8時間たってもおいしいというテイクアウト専門の料理を作るという発想になるのですね。切り分けて専門の料理を作るっていうのが大事って言う事ですね。(子安さん)

新しいことをやる時って現場がなかなかついてこないという声も聞きますが、鳥羽さんはどうしていますか?

飲食店の基本的な原理は、食べる人がいてそれを作る人がいる。そこに儲けが出る。お客様が答えを持っている。お客様が求めていることをやり続けるシンプルな経営判断の連続だから、わかりやすいしあまり間違えることがない。

大きさ関係なく、シンプルな経営判断があると言う事は非常に重要です。

給料をきちんと払っていると聞きましたが実際どうですか?

環境を良くするために何ができるかはものすごく考えている。やったらやった分、給料面、福利厚生面などで返せるような会社にしていきたいと思っている。

関西3月、4月連続出店をする心、さらに居酒屋という難しい業態にチャレンジする理由は?

おうちでsioをやる中で関東に足を運べないというお客様の声をたくさんいただいた。だったら関西に出す、シンプルな経営判断。料理のジャンルにこだわりは無い。

すき焼き屋さんはまだブラッシュアップする余地があると考えている。コースの文脈を緻密に設計することですき焼きと感動体験をより強固にすることができるのではないかと思っている。だからめちゃくちゃ楽しみ。

店づくりをするときにコロナの影響を考えていますか?

基本的には全く考えない。が、7月に北青山で出す新しいレストランはコロナも色した上でお店作りをしている。2ヶ月営業して1ヵ月休むという新しい営業スタイルを計画している。収支が成り立つのであれば素晴らしい、固定費をどう払っていくかが重要になっていく。新しい飲食店の形として提案できたら。新しい働き方の提案ができるかもしれないと思っている。レストランで働いている人こそがレストランに行けないと言う矛盾が生まれている。そこを改善できるのではないか。

レストランをパッケージ化してホテルと一緒に展開していくと言うビジネスも出てくるのではないかと考えている。レストランの可動域がめちゃくちゃ広がることでいろんな人が働く場所も増えるだろうし、働き方を選んでいけると思っている。すると飲食店の可能性がますます広がっていく。

飲食店を一言で言うと何ですか?

幸せを作る場所。

これからのアルコールの消費は変わっていきますか?

ノンアルコールの素晴らしさをsioで体感して、これからアルコールだけに頼る事は厳しいのではないかと感じた。アルコールはもちろん大事にしなければならないが、アルコールに依存しないようにせねば、未来がないのではないかと思っている。(子安さん)

コロナについてどこまで想定していたか?

全然想像していなかったが、ニューノーマルの話を最近あるが、結局目の前のお客様が何を求めているかを突き詰めていった結果であると思う。お客様を見続けていくことにしか飲食店が生き残っていくヒントは無いのではないかと思う。


飲食店はこれからどうすればよろしいでしょうか?

飲食店事業だけで会社を経営するのは非常に難しくなっていくと思っている。昔の会社と言うものの中に飲食店授業があるという発想が大事。食をもっと広いものに捉え直す。レストランだけで収支を見ていくとどうしても自転車操業に立ってしまう。食をプラットホームにしてもっと幅広くつながっていけるようなビジネスを展開していかないと続いていかないと危機感を感じている。
相対的評価で選ぶのではなく、もっと主観でクライアントワークができて、お客様が求めるものを作れるかどうかが大事。

一流のシェフが一般の主婦のニーズを捉えられているか?違う話になるし非常に重要である。

鳥羽さんは一流のシェフでもありプロデューサーでもありヒットメーカーでもある。そんな人なかなかいないから争奪戦にはなりますよね。(子安さん)

新しいレストランの朝ご飯のシェフは24歳の女の子をキッチンに立ってもらおうと思っているが、まずヘアバンドをどうするかを考えた。料理だけではなく全てをプロデュースしていく総合力が大事。

#新レストラン考 というテーマだがこれからの飲食店をどう捉えているか

どうやってトランスフォーメーションしていくか。今までの飲食店の経営者はどうやって飲食を戦っていくかだけで考えてきたが、それだけではなく視点を広げて、飲食体験をどうやって売っていくかを考えていく必要がある。

胃袋の数は変わらない。

外食が流出した、代わりに内食や中食が伸びていった。sioを見ていると全体を面で捉えて戦っていることが非常に理解できた。


場所とかサービスが入らないよと言う方も増えてきた。本当にお客様が求めているものは何かをやはり考える必要がある。デリバリーはおいしさのニーズだし、レストランは全て兼ね備えている。

ゴーストレストランに興味があるか?

単品であれば可能性があると思っている。飽きられる前にどんどん生み出すと言うやり方であれば可能性はある。ゴーストレストランとD2Cの決定はリアルの体験できる場所がない。あくまで稼ぐところはその2つでも良いかもしれないが、リアル拠点としての店舗は超重要であり、その掛け算であれば非常に広がる。

どこで稼ぐか、どう設計するかのバランスはチームによって違う。

食体験を作り出すために必要なソフト・ハード面を全部押さえて、その一つとしてレストランがあるというチームを作っていきたい。

チェーン店の未来は?

チェーン店も個人店も関係なく、新規事業立ち上げるようなチャレンジし続けなければジリ貧である。

店舗があるからこそできる波及力・影響力もあるはず。(例えば今ある店を全て需要のある単品勝負にモデルチェンジするなど)スピード感を持ってやり抜くのが大事。

最後に一言

お客様をどうやって喜ばせるか、越境した者同士でチームを作ることが重要。まだ飲食店は可能性が無限大である。

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鳥羽も申し上げましたが、聞いて/読んでくださった皆さんと一緒に何かできることを心から願っています。

お問い合わせは下記アドレスにご連絡ください
info2020@sio-inc.com
折田宛


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