自己肯定感って別に高めなくてもいいんじゃない?
最近は自己肯定感ブームみたいなところがある。
書店に行くと、自己肯定感を高める方法みたいな本をよく見かけるし、noteにもそういった文章は無数に散らばっている。
なんか、違和感がある。
軽くググってみたところ、自己肯定感とは「ありのままの自分を肯定する感覚」だそうだ。
ありのまま、ということはつまり、何か努力したりして無理やり取り繕っていない、まっさらな自分自身ということだと思う。
現在の自分そのものを肯定し受け入れることで、精神的に安定した状態になる、というのは、確かにその通りかもしれない。
自己肯定感を高めたい、というのは分かる。
だけど、自己肯定感を高めようとするのは……だいたいの人がうすうす気づいていると思うけど、明らかに矛盾している。
「ありのままの自分」というのはつまり、誰かと比較して落ち込んでしまったり、誰かからの承認を欲してしまったり、誰かの目や意見に左右されてしまうという……そんな弱い自分そのものを指している。
それを肯定しないといけないのに、それを改善しようとするのは、そもそもどうやっても不可能だ。
これは多分、悟りを開こうと修行している僧侶が、「悟りを開きたい」という欲を捨てることができずに停滞してしまうのに似ているかもしれない。
ありのままを受け入れるということは、本当にそのまま、ありのままを受け入れなくてはならない。
……などと書いている僕もまた、かつては精神的に落ち込み、自己肯定感を高めようと色々な試みをした。
しかしどれも全くうまくいかなかった。
その後、僕は人生において様々な失敗を重ねてきたが、どういうわけか、自己肯定感はかつてよりも安定しているように思う。
どれだけ失敗しても、失敗している自分自身を受け入れることができている。
その理由について明確なことは分からないが、少なくとも言えることは、僕が現在「自己肯定感を高めよう」などと全く思っていないことだ。
自己を肯定するには、自己を肯定できていない自己そのものを、肯定しなくてはならない。
もし「自己肯定感を高めたい!」という強い意思を持ってこの記事にたどり着いてしまった人に、僕からできるアドバイスはたった一つしかない。
こうした啓発系の記事を読み漁ることから、ちょっと距離を置いた方がいい。
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