【#ノンフィクションが好き】 加害者家族
平成20年の犯罪件数は253万3351件。被害者家族はマスコミ取材による二次被害で心の傷が癒える間もないが、実は加害者家族も凄惨な生活を強いられる。身内の犯罪を機に失職や転職を余儀なくされるだけでなく、インターネットで誹謗中傷され、写真や個人情報まで流出される。そんな過酷な現実を受け止められず、自殺する人も多い。事件への自らの非力を嘆き激しい後悔に暮れる加害者家族も多いが、そもそも身内の犯罪を未然に防ぐには限度がある。まさに他人事ではない実態を明らかにした、衝撃の一冊。
2010年に幻冬舎新書として出版された本です。
筆者は、鈴木伸元さん。
全国ニュースで大きな話題になった事件の『加害者家族』に焦点をあてた内容になっています。
一部を紹介すると、
①連続幼女誘拐殺人事件
逮捕された宮崎勤氏の父親は自殺。
②神戸連続児童殺傷事件
「少年A」の両親は離婚し、二人の弟は苗字を変えて県外に転居。
③秋田児童連続殺害事件
逮捕された畠山鈴香氏の弟は、勤め先を退職。その後も就職先は見つからず、生活保護を受給。
④地下鉄サリン事件
オウム真理教の教祖の四女。父親逮捕当時は6才。小学校でのイジメ、リストカット。
この本には紹介されていませんが、他にも無差別殺人を犯した実弟が自殺したり、
「妻の医療費のため」を理由に、誤った構造設計をして逮捕され、その後、妻が自殺した事件もありました。
今月8日に、安倍元総理が銃で撃たれて殺害される事件がありました。
容疑者が「母親が献金して生活が苦しくなり、恨んでいた」と供述していることを知りました。
理由がどうあれ、殺害は許されるべきことではありません。
ただ、やはり気になるのはこの容疑者の母親。
この一連の事件や報道をどれだけ知っているかはわかりません。
自分の息子が、取り返しのつかない重大な事件を起こした。
そして、きっかけは自分だと言っている。
どんな心境になるのか想像もつきません。
容疑者だけでなく、母親が信仰していた宗教団体への批判も目立ってきました。
もしかしたら、すでに宗教団体の中にも身を寄せる場所はなくなっているかもしれません。
容疑者自身が、自らの罪を償うのは当然と思います。
せめて母親が精神的に追い詰められて、悲しい末路をたどることがないよう願います。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。