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車ディーラーのDXを考える

ある自動車販売会社さまにお話をうかがう機会をいただきました。
1台の車から広がるDXの可能性は壮大です!


DXで解決したい!直面していること

直近で、DXで解決したいと思っていることは以下だそうです。

①手作業のデータ移行をやめたい

経営側へ提出するための数字をつくるとき、表示されたデータをエクセルに移していくという「手作業」が発生しているとのこと。
データがあるのに、いったん紙になって、またデータに戻るケースもある。
この「ヒト」を介して行われてしまっている作業をデジタル化したい、と強い要望でした。

②経営・マネージャー層も現場の動きをリアルタイムで把握したい

経営側がみるデータは「月次」となっているそうで、現場で何が起こっているのかをリアルタイムでみたいとのこと。データの内容としても、たとえば「車の売上1件」とあるだけで「どういうやりとりがあって1件につながったのか」という情報がない。「廃車1件」もどういう状況で廃車になったのか、背景の情報がない
各販売店における顧客ひとり一人への心行きを経営側では把握できずに双方でズレが生じかねず、さらには店舗ごとにリアルタイムの現場の情報が得られれば、何かあったときには上層部がすぐに気づけて、アラートを出せるようにしたいとのことでした。

③お客様へのベストなサービスを提供したい(例:車検)

たとえば車検。
車検の前に「次の車検はいくらくらいになりますか?」と聞かれると、販売店としてはてんやわんやになってしまうとのこと。
事務スタッフはわからないので、メカニックに聞くしかない→メカニックはほかの件で対応中→折り返しの電話をするにも時間がかかって、お客さまはまた電話をかけてくる……。
おおむね、同じ販売店で車検する傾向にあり、所持年数、走行距離当、過去のデータをすでに持っているから概算は予測が可能だろうに、それをデータとして生かしきれていないのが悩みの種だそうです。車検で「タイヤ交換に1か月かかります」という事態も、事前のデータ予測で防げるはずとのことでした。

④大量すぎるデータを活用したい

1台の車について、販売会社が持っているデータは膨大なものだそうです。以前、とあるエリアで何社か統合しようという話があったそうですが、一社にしてしまうとバッチ処理が回らないほどのデータ量になってしまうことが予想されて断念。
スマートカーになるにつれて、自動車1台そのものが持つデータも増え、それ以外にも累積されたデータや車検、修理、顧客情報等が紐づいて、相当なデータを持っているそうです。これらをDXに活用できたら……という思いでした。

1台の車に関わるデータの数とDXの可能性


車両のタイプや装備、メーカーによって異なり、数百から数千種類にのぼるそうです。特に、最新のコネクテッドカーや自動運転車では、搭載されるセンサーやシステムの多さから、リアルタイムで収集されるデータポイントはさらに増加。500~1,000種類以上のデータが車両から取得できる場合もあるとか。

◎データの種類の例◎

エンジン関連:エンジン回転数、温度、燃費、排出ガスデータなど
運転操作:ステアリング角度、ブレーキの踏み込み具合、アクセル操作
安全関連:エアバッグ作動状況、車間距離、車線維持情報、衝突警告
環境データ:外気温、天候、路面状態
インフォテインメント:ナビゲーション、オーディオ操作、スマートフォン連携

◎車から得られるデータを活用したDX例◎

一般的に
①車両メンテナンスの自動化と予測保守
②コネクテッドカーによる運転支援と安全性向上
③運転者の行動データによるカスタマイズサービス提供(運転スタイル、音楽、ナビ履歴などから)
④所有する車とリンクした保険サービスやリース契約のカスタマイズ
⑤交通インフラの最適化(渋滞緩和、道路設計、駐車場管理、公共交通との連携など)

が挙げられます。

車両点検や保守の事例としては、Boschのソリューションがあります。車の状態をリアルタイムで可視化し、最適なメンテナンス作業の計画と実行もサポートしてくれます。

自動運転では、ホンダが2026年に向けて、国内の自動運転タクシー事業化を目指しています。

コネクテッドカーとしての機能は各社が続々と出していますが、ここではBMWをご紹介します。快適なドライブを実現するための仕組みが詰まっています。Apple CarplayやAmazon Alexaカー・インテグレーションも、車内のパーソナライズドなサービスとして人気があります。

https://www.bmw.co.jp/ja/topics/offers-and-services/bmw-digital-services-and-connectivity/bmw-connected-drive-overview.html

自動車ディーラー向けの、カスタマーエクスペリエンスの向上を目指したソリューションとしてはクアルトリクス社の事例があります。顧客とのやりとり、フィードバックなどを社内の経営情報と結びつけるなど、ユーザフレンドリーな点で人気があるようです。

運転状況と保険のサービスを組み合わせているのはSnapshot。運転の仕方や運転量に基づいて保険料を支払い、ほとんどのケースで自動的に割引が適用されるため、ドライバーの節約につながるそうです。


自動車販売会社のDXについては引き続き着目していきたいと思います!