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[前編] iPaaSの基本を学ぶ! DXプラットフォーム勉強会~Boomi第1回前編~

多くのSaaS利用が進む海外では、より効率的なデータ・サービス連携が可能となるiPaaSの導入が進んでいます。そのパイオニアとなったBoomiのハンズオン研修を、Boomi Japan中川氏、同社倉部氏、パワーソリューションズ高森氏のもと実施しました。前編はiPaaS全般についてユースケース等のご紹介、後編はBoomiのサービスについて詳しくお伝えします。


前編

なぜ今iPaaSなのか?


皆さんの中でも、iPaaS(アイパース)という言葉を聞かれた方がいらっしゃるかと思います。
様々なシステムやサービスが溢れる中で、データやシステムの連携ニーズは顕在化します。iPaaSは「Integration as a Service」の略で、クラウド環境の中でサービスを統合し、より良い環境を提供するソリューションを意味します。
しかし、このソリューションの意味は、長い歴史の中で、変わってきています。
当初は、サイロ化(分断)され、縦割りとなった企業レベルのシステムやデータを、横断的に利用可能にする「連携」が中心でした(図1)。そして、サイロ化によって起こる、業務効率の低下やサービスの品質低下を改善することを目的としていました。

図1 勉強会資料より

システムやデータを連携する場合、タスクとして、転記、一括転記、データ授受が発生します。そのタスクは人が実行してもいいのですが、データが大量であったり、それぞれのデータフォーマットが異なっていたり、あるいはそのデータを1つのシステムがデスクトップで作業できなかったりなど様々な実行のためのハードルが発生します。また、システムやアプリケーションをどのように接続するのか(基幹システム、オフィス系アプリ、グループウェア、CRM、データベースなど)、どのようなデータフォーマットの統合や整形が必要かどのようなタイミングで実行するのかも決める必要もあり、「連携」には様々な調整事項が発生します。
調整事項はプロジェクトの状況や現況、あるいはそのシステムのシステム環境などに依存するなど、その時々でタスクの性格は変わる可能性を含んでいます。これらを考慮して「連携」する基盤を決めていく必要があります。

図2 勉強会資料より

インテグレーションの歴史


こうした連携を含む広義の意味でのインテグレーション・タスクは、当初は、個々に開発して対応していましたが、1970年代後半頃からETLやEAIといった専用ツールを使う手法が現れ、2000年に入ると日本でもData Spiderなどといったデータ連携ツールが使われるようになりました。その後、クラウド環境の普及に伴い、2000年代に入ると、オンプレミスとクラウドのハイブリッド環境でインテグレーションを行う動きが出てきました。この頃、BoomiWorkatoMulesoftなどに代表されるサービスが現れ、iPaaSという言葉が生まれました。
直近、iPaaSの世界はどんどん広がっています。データを連携から統合し活用するというデータマネジメントの流れが強まり、iPaaSの考え方を取り込んだ異分野サービスも続々と参入し、概念の拡張が続いています。ビジネスインテリジェンス(BI)との融合もその1つとなっています。そしてAIの登場によって次世代のiPaaSを展開し始めています(図3)。

図3 勉強会資料より

ハブ&スポーク型でサイロ化を解消する


このようなiPaaSは実際どのような形でタスクを効率化し、データ統合を果たしているのでしょうか?

先にお話したように連携や統合というタスクは、どうしても分断された世界それぞれで実施されがちです。例えば、会計システムと営業支援システム、在庫管理システムと生産管理システムといったデータ連携は、プロジェクトも、担当部署も、そして連携する手法もバラバラになりがちです。

本日紹介するBoomiは、こうしたデータ連携に様々に関わる手法を統合し、個々のタスクやジョブも管理することで、様々なシステムをハブ&スポークで統合連携・データ管理・ジョブ管理を実施することで、スパゲッティ状態を解消していきます。(図4)。

図4 勉強会資料より

こうしたiPaaS導入事例は、日本では私たちの目に見える形でユースケースを見ることができません。それだけ黒子役だということです。しかし、海外だとユースケースとして紹介されており、黒子役としてTCO削減手法として重要視されています。以下では、そうしたユースケースをいくつか紹介していきたいと思います。

ユースケース

①部門サイロ化の解消

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