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脱エクセル化!シリーズ③~SaaS(CWMツール)はアメリカでは流行るのに、日本では流行らない理由~
前回は古い日本の企業文化から離れるために好都合のCWM(Collaborative Work Management Tools)ツールについて、JALの事例をご紹介しました。
今回は、CWMツールなどのSaaSがアメリカでは流行るのに、日本では流行らない理由と背景についてです。
ITエンジニア:日本→IT部門に多く、アメリカ→非IT部門に多い
米国においては事業部門の現場に技術者が在籍し、
IT化を推進することが一般的だとされています。
ITエンジニアの在籍する場所を調べてみると
日本ではエンジニアの7割がIT部門やITベンダーに所属し、
アメリカではほぼ同割合の6.5割が非IT部門などユーザ側に所属しています。
こういった状況から、日本のDX推進では、それぞれの企業の事情に即したカスタムコード開発になりがちで「Fit to Business」が重視されています。
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アメリカはシステムをいじれる人が現場にいます。「Fit to Standard」が重んじられ、システムの内製化(セルフサービス化)がしやすいSaaSが拡大してきたのは、そのためだと考えられます。
ちなみに、1社あたりのSaaS導入数では
日本が8.7個に対して、アメリカは80個。
10倍に迫るほど、日米でのSaaSへの理解・浸透に差があります。
SaaS市場:日本→0.9兆円、アメリカ→9兆円。ホリゾンタルとバーティカルSaaS
ホリゾンタル(Horizontal:水平)SaaS
さまざまな企業で使えるよう、業務別に設計されているようなSaaS
を指します。
マーケティングのためのクラウドサービス、人事のためのクラウドサービス、会計のためのクラウドサービス、などです。
バーティカル(Vertical:垂直)SaaS
特定の業界向けにカスタマイズされたSaaSを指します。
医療業向け、銀行向け、などです。
それぞれのSaaSカオスマップが以下です(Onecapitalさんからお借りしました)。
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一方で、アメリカでは毎月数百のSaaSが生まれ、ホリゾンタルやバーティカルに分けきれないほどになり、ニッチなポジショニング競争が行われています。そして、アメリカでは複数のSaaSを横断するようなインテグレーションの重要性が増しています。
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カオスマップを見てもわかるように、日米差は明らかです。
アメリカでも当初は、ベンダー側の営業戦略を立てやすくシェアをとりやすいホリゾンタルSaaSから浸透し、やがてバーティカルSaaSへと発展していきました。
日本もそのような現象が起きるだろうといわれていますが、まだSaaSの発展途上にあるといえます。
ちなみに、グローバルのSaaS市場は20兆円、アメリカでは9兆円、日本は0.9兆円といわれています。
SaaSの認識:日本→「クラウドサービス」、アメリカ→「業務プロセスのパーツ」
日本ではSaaSをクラウドサービスの1つだと認識し、
DX推進を「クラウドサービスの導入」と誤解している節があるといわれています。
Teamsを導入しました、Salesforceを導入しました
という、いくつかのSaaS導入だけでDX推進に満足してしまい、その先にあるデータ連携や業務改善等までには至っていないケースが多くあります。
グローバルにおいては、
SaaSは業務プロセスのパーツやインフラだと認識され、
それらを組み合わせていくSaaSインテグレーションが主流です。
これは今後日本が目指したいDX推進のカタチに近いものです。
その潮流の中で、CWM(Collaborative Work Management Tools)は
どの業界や組織でも使われ、人気を集めているそうです。
Asana、Adobe、Service Now、Smartsheetなどで
熱い競争が繰り広げられています。
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次回はCWMの中でもアメリカで人気のSmartsheetについてお伝えします。