SaaS会社が84億ドルで買収される時代
数回にわたってご紹介しているローコードアプリケーション、Smartsheet。
ローコードツールとしての使い勝手のよさ、機能の豊富さはご紹介のとおりですが、このたびVista Equity PartnersとBlackstoneにより買収。
その額、なんと84億ドル(約1.3兆円)。
この動きは、SaaSのさらなる拡大と競争激化、ポテンシャルの大きさを示しているのではないでしょうか。
株主には$56.5も!
アメリカの投資会社、Vista Equity PartnersとBlackstoneが、Smartsheetを84億ドル(約1.2兆円)で買収することに合意しました。
この買収額は、Smartsheetの過去90日間の平均株価に対して41%のプレミアムがついたものです。
これにより、株主は1株あたり約56.50ドルを受け取る予定です。
Smartsheetの特徴とこれまでの成長
Smartsheettは、Microsoft Excelに似たインターフェースを特徴とし、プロジェクト管理やタスク管理などができるSaaSです。より詳細なデータや予算管理に強みがあります。大規模プロジェクト向けに適しており、エンタープライズ需要が高いプロダクトです。
2005年に設立され、初期は使いにくいとの声もあったそうですが、大幅な改良を経て急成長。2010年にはユーザー数が100万人を超え、現在ではFortune 500企業の85%が利用しています。
直近の2024年第2四半期の決算では、売上高が前年比17%増の2億7,640万ドルとなり、年間売上見込みは11億ドルを超えると予測されています。
このような業績の好調さが買収交渉に有利に働いたと見られています。
VistaとBlackstoneの狙い
両社は、Smartsheetをエンタープライズ向けのポートフォリオとして、さらなる成長を見込んでいます。特に、グローバル化やリモートワークの普及、部門の横断化などが世界中で進むにつれて、Smartsheetのソリューションは業務効率化、大規模なコラボレーションに欠かせない存在になると考えています。
活発化するマーケット
EYのデータによると、2024年第2四半期には民間の投資活動がここ2年で最も活発化し、全世界で1960億ドル規模の取引が行われたそうです。
この流れの中で、VistaとBlackstoneはSmartsheetの技術と市場シェアを活用し、さらなるイノベーションを目指していくとみられます。
ちなみに、日本のSaaS市場は2023年に1.4兆円。2027年までに2兆円を超えると予測されています。今回の買収の大きさが明白です。