十四才の青空
二〇一七年六月三日土曜日
晴れ
帽さんのおねえさんの暮らすまちまできいろい車に乗ってゆく。
のんさんとほぼ同じ月齢のお家はあたらしい家という匂いがした。新芽みたいな芝生がひよひよと並んでいて鉄ぼうとブランコがあるお庭。のんさんのいとこにあたる二人が (ゆきのへや) (そらのへや)と案内してくれる。ガイドがひつようなほどしきりと空間がある。
(そらのへや)というのは、いま四才の彼のへや。押し入れには使わないものがしまわれていて、タンスには彼が紙粘土でつくったかえるなんかが飾られている。へやのまんなかにはトランポリン。彼のいろになっていくのはこれからというそのへやが今宵の寝床。青空の壁紙が貼られた天井を見上げながら、中学生になった彼のことをなんだか思った。いまはまだまっさらなこのへやにロックバンドのポスターなんか貼ったりするんだろうか、「この箪笥どけてくれ」と相談したりして模様替えをする日も来るんだろうなあ、なんて。このへやで送る思春期ってどんなものなんだろう。
夜ごはんは、アスパラベーコン巻き、辛子蓮根、トマトとチーズ、とりハム、手巻き寿司。
おかあさんおねえさんに準備していただきほぼなんにもしないの夜ごはんでした。
のんさんはうれしそうに駆けまわったり、スリッパを履いて登場したり、「ジ、ジ」と書く道具を呼んでいとこの彼女たちと絵を描いた。興奮と覚醒は夜更かしになって、帽さんのほうが先に眠る。
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