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詩『誰か』
冗談じゃない。
ほとほと愛想がつきた。
助けを呼んでも誰も来ない。
人に助けを呼べる身分でもない。
それは寂しいことだと思う。
この境遇を選んだのは自分自身だった。
どん詰まりの果てにある本当の袋小路。
薄い記憶はハリボテのように倒れていく。
気づけばここは狭い舞台の上だった。
観客はおらず、一人俺はのたうっている。
誰か。
意味の無いつぶやきをする。
誰か。
押さえても漏れる。
誰か。
それはもはや言葉でさえない。
新しい音楽も映画も文学もない。
新しい出会いも豊かな可能性もない。
惨めで穏やかな時間が円環の中で続く。
最初から始まりがなければと思う。
しかし、もう遅い。
全てが手遅れだった。