とんぼ
この間、古本屋で、知り合い人が書いた本をみつけました。
ずーっと昔の、小学生のころの、いわゆる幼馴染です。
読んでみて、彼女はこんなにすごい人生を送っていたのか、とおどろきました。外国に暮らして、そこで認められて、どんどん世界を広げているのです。
同時に、自分がせまいせまい地域で暮らして、毎日の暮らしに追われていること、おそらくこのまま死んでいくことをしみじみ思いました。もやもやが霧のように広がりました。
暑い午後、明日のごはんの買い物に出て、少し遠回りをして帰りました。
空は秋のそらなのに熱風がふいています。熱風の中、トンボが飛んでいました。トンボはこんなに暑くても飛ぶより仕方がないのです。自分はここで、見慣れた風景のなかで、食べて、寝て、食べて、寝て、死んでいくのです。
トンボをずーっと見ていました。すーってまっすぐ飛んで、ふと止まる。
ふっと前を横切りました。しおからとんぼでした。雲がきれいです。