阿修羅像

オリンピック柔道をみていた。永山選手の試合だった。いつも代表として試合にのぞむまでの、その人の道程を思う。そういう表情をしていた。道を歩いてきた人の顔だった。柔道、とはよくいったものだ。柔術ではなく、道だから。負けたときに、永山選手は納得がいかず、求められた握手をしなかった。判定、審判にあってはならない問題があったのだろう、と思った。
まっすぐな顔で怒っていた。まっすぐな怒りであった。興福寺の阿修羅像のような怒りの表情をしていた。銅メダルを獲得したが、もちろん、のぞんでいたメダルの色ではなかっただろう。
道、ということを理解せず、競技としてのみ、勝ち負けとしてのみとらえる人も多だろう。そういう人が審判に立つこともあるだろう。
永山選手が、ここから始まって、道をきわめ、道を教えることのできる柔道家になることを祈る。

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