なないろライブ
親と話すために家に帰った。
戦う気満々で帰ったが最初の2日くらいは何も話さなかった。少しリラックスして冷静になって親と話した。
とにかく落研を続けたいと言った。続けることは周りも望んでないかもしれない。先輩からも止められ、病院からも止められ、同期も無理しないで欲しいって言ってるのに続けるっていうのは完全に自分のわがままだ。それで周りを心配させて振り回すことになるのは分かっていた。
それでも続けたかった。ただ後悔したくなかった。一緒にやってきた同期、何回も助けてくれた先輩、ついてきてくれる後輩、今辞めたら全部失うって思ってた。
それに一緒に勝ちたいって思う人が増えすぎた。勝って一緒に喜びたいし、先輩に教えて貰ったことで勝てました。って言いたかった。
もっと色々言ったけど中略。
すると親は笑っていた。人に興味無くてどうせ会わなくなるからしか言ってこなかった俺がこんな風になるなんて思ってなかったみたい。
「そこまで言うならやってこい。死ぬまで帰ってくるな。」
そう言われた。後もう一つ。
「お前が無理してやって反対してる人は応援してくれない。そんな状態で勝っても何も意味ない。やるって決めたなら全員に認めてもらえ。周りの人に勝たせてもらえ。」
らしくないこと言うから少しびっくりしたけどここまで言われて燃えないわけがない。
改めて決意して東京に戻った。
そして東京に戻ってたけしと話し合った。隠さずに全部話した。続けることが良くないと分かってることも、自分が続けることが悪影響だということも、それでもたけしは足を引っ張ってでも続けたいという俺のわがままを聞いてくれた。そして一緒に勝とうって言ってくれた。
このなないろライブで初めてコンビで勝つことの意味が分かった。
今までだってコンビで向き合おうとしてきたけど今回は初めての感覚だった。
お互い信頼し合う。結構当たり前のようなことだが本当の意味で出来る人達は多くないと思う。仲が良いとかの問題じゃない。
2人で決めた目標に本気で補い合いながら戦った。2時間祈り、このライブに勝つこと。これが同志という存在だと気づいた。
そして先輩にも話した。映像しながら勝てることを証明する約束をした。まぁ俺が一方的に決めた約束だけど。
3食報告するか聞かれたけど断った。3ヶ月報告しながらだけど食べれたから報告無しでも食べれる気がした。そしてやる気があったし、もうこれ以上迷惑かけれないと思ってた。
だから木金土日の4日間で3食1回でも食べれなかったら報告する約束をした。
結果4日間で2回しかご飯を食べなかった。
人間なかなか変われないことを実感した。
クズやな。
正直に言ったが先輩は想定内だったらしい。
クソめ。勝てるのはまだ先の先か。
けど今回のライブは明らかに違った。
初ネタ見せに手応えを感じた。
対決ライブもスプートニクには勝てなかったが手応えを感じた。しかし落とし穴があった。
中間ネタ見せ前日歩けなくなった。
初めてだった。両足が朝から痺れて麻痺していた。足に力が入らず麻痺して歩けない。
ヤバイ。ネタ見せもだけど歩けないのが初めてでかなり焦っていた。とにかく痺れが取れるのを待った。授業も行けずに夜になっても歩けなかった。
たけしはとにかく安静にしてと言ってくれたが何も出来ずに横になるのは辛かった。
ボラが来てくれたがネタ練りもあるからあまり気を使わせないようにしようとしてたがボラは寝た。
おいっ!何しに来たんだ!っと心の中で思ったがそんなこと言う気力が無かった。
すると先輩から連絡が来た。ご飯を食べなかったからだけど食べる余裕も無かったし歩けないことを言った。
そしたら先輩が家にご飯を買ってきてくれた。多分0時回ってたと思う。改めて思うけど助けてもらってばっかりやな。情けない。
そこからずっと話し相手になってもらい痺れが取れるのを待った。
痺れが取れたのは次の日の朝10時くらい。
病院に行ってとりあえず大丈夫だったらしいんだけど忠告された。
「もう歩けなくてもおかしくないくらい足に筋肉も無いし力が入ってない。精神力だけで立ってる危険な状態。本当に言うこと聞かないと保証が出来ない。」
返事した。
「分かりました。ライブが終わったら考えます。」全く話しを聞いてなかった。
さっさと帰ってネタ見せに備えたかった。
たけしに歩けるようになったことを言うと中間ネタ見せは休もうと言われた。
駄目だ。自分の意地で出るというより後輩に示しが付かないと思った。ネタ見せに出ない演者はライブに出る事が出来ない。
そのルールもある上に最上級生がネタ見せを飛ばすことなんて許されない。最近内輪笑いが多いこともあってネタ見せの大事さが薄れてるからこそ余計に重みを伝えるためには休んではならないと思った。ネタ見せ無理なら休んでいいんだって思ってほしくなかった。
だから出ると言ったが反対された。
「勝つために休もう。本番の時に舞台に立てなかったら勝てない。大丈夫だから。」
そう言われて色々話し合った結果休むことにした。
悔しい、もどかしい、情けない。色んな感情あったが全部押し殺した。ずっと泣いていた。
その後デスコ含めて3人で話した。
決起で皆んなに言ってほしいって言われた。
「部会に来なくて不審がってる後輩もいる。
こんなに1人で戦ってるのに悪く言われるのが悔しい。だから皆んなに言ってほしい。それにこんなに戦ってる人の話しを聞けば皆んなの士気が上がる。」
ちょっと俺の思い込みが混じってるかもだけどそう言ってくれた。
人に迷惑かけたくないと思ってたけど結局隠す方が迷惑をかけると思い知らされた。
だから言うことを決めた。
決起当日また足が麻痺したが5時間くらいで取れた。授業は行けなかったが結果には間に合った。俺の前にたけしが色々言ってくれたから気は楽だった。
結果言って良かった。
冬まで戦うことを皆んなに言った後、反対していた人達が応援するって言ってくれた。
そして本番、午前中に病院で痛みをほぐしてもらい挑んだ。1位は取れなかったが次の日、芸会はこのネタで行こうってすぐに決まった。