2020.11.30(mon)金山駅
中央本線でひたすらゆられた25分
19歳とハタチの若者ふたりで
赤い鉄格子におおわれた駅構内はだだっ広く
どんなに広くても欲しいものは見つからない
この先にドンキがあると言って
好きだった人と歩いた一駅がとんでもなく長かった
結局なにが欲しかったのかは思い出せないままだけど
それもチャチな思い出にすぎない
もうずっと大人になってしまってから
好きだったんですよねと伝えた語尾には「笑」がついている
そこに切なさも未練もなくただ笑い話だった
ときどきひとりで訪れた美術館も今はなくなったらしい
みんなで行った劇場も名前が変わっている
高速バスから降ろされた冬の早朝
街に取り残された他人たちとどうしようもなくデニーズに向かった
かき集めてやっと15行のほとんど通過する駅
今生きているこの街にもそんな場所が増えて
思い出になるたびノートやディスプレイを塗っていくのだろうか
こんなガラクタ
文字に起こしたところでなんの感情も生まれないのだけど
(時間の浪費)
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