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【後編】本屋の旅、福岡へ。
1日目は、MINOU BOOKSうきは店・久留米店に伺った後、宿をとっている博多に移動しました。旅行の予定を立て始めた時は、一人旅だしなるべく安く最低限安心して泊まれればいいやとチェーンホテルなどを見ていたのですが、たまたま広告で上がってきたホテルに目が止まりました。
”本でつながる”アーカイブホテル「BUNSHODO HOTEL」
それが、今回宿泊利用させていただいたBUNSHODO HOTEL さんです。「”本でつながる”アーカイブホテル」をコンセプトにしていて、共有スペースや客室には、自由に読むことのできる本が設置されているということに、本好きとしては興味津々。さらに、今回は「書店オーナー限定プラン」を使いなんとほぼ無料(1泊200円)で宿泊させていただきました…!
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室内に置いてある本は数冊だったのですが、個人的に楽しかったのは、その中に宿泊者が寄贈した本があり、寄贈した人からのメッセージが書かれた栞が挟まれていたことです。
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”本でつながる”や”本を通して何かと出会う”ということは、本屋としても日々模索していることで、正直そう簡単ではないよなと身をもって感じることでもあるのですが、こうした小さな工夫もその一つになることを実際の体験をもって感じることができました。
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ブックスキューブリック(赤坂けやき通り店・箱崎店)へ
2日目に伺ったのは、ブックスキューブリック さんです。店主の大井実さんの著書『ローカルブックストアである 福岡部ックスキューブリック』は、学生の頃から読み返してきた一冊で、ポトラを開店するにあたってもたくさんの刺激とヒントをもらってきました。まちに根ざした小さな総合書店でありながら、2店舗目の箱崎店ではパンの製造/販売・カフェ運営も行う複合型的な在り方にも取り組まれています。作家さんなど様々な人をゲストに迎えてのイベントも数多く開催されており、まちをあげての企画「ブックオカ」も主催されるなど、先駆けて本屋の在り方を模索し絶えず挑戦されてきた大先輩です。
1号店であるブックスキューブリックけやき通り店の広さは13坪、ポトラは(だ菓子の売り場面積も含めて)15坪なので、本屋の規模としては(おこがましくも)近いところがあり、そういった面でも実際に目で見て学べることを楽しみに伺いました。
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店内をじっくり見て回りながら、ここでも気づけば客として”本との出会い”に夢中になってしまい、この後伺った箱崎店でもうっかり何周も本棚の間を巡ってしまいました。店主の大井さんにお会いすることは叶いませんでしたが、店内には、大井さんが新聞に寄せた本の紹介コラムがポップのように掲示されていたりなど、この場所を通して知らなかった本と出会うヒントがさりげなく散りばめられていました。このまちで、この店で、この本と出会うということは、お客さまにとっては偶然でもありますが、そこには店主・書店員という本屋を営む人の存在があること、そしてそこに主張しすぎない形で強い意志があることも確かに感じることができました。
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気づけば、行きはすかすかだったリュックが、ずっしりと肩に食い込む帰り道となりました。それは購入した本の重みでもあり、また今回の旅で得た発見の重みでもあります。
また明日から、本屋として、お客さんを迎える側として、日々の店づくりを楽しんでいきたいと思います。また次なる旅を楽しみに。