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[組織ブログ Ver.46]「自己強化型ループの強化」は自分が発言することにおける効能なのか

「自分が発言することにおける自己強化型ループを、回したくはないんですよね」

そんな言葉が思わず口から出たのは本当に最近のことでした。これは僕が発した言葉なのですが、自分で言うのはアレですが、個人的には垂直的な自己成長を感じた事例といいますが、良い事象でしたので、ブログに書き留めておきたいと思います。




0. 自己強化ループとは

自己強化型ループの説明をする前に、システム思考について理解する必要があります。

システム思考とは:
物事の全体像を捉え、さまざまな要素とのつながりを把握したうえで、最も効果的な解決法へ向かうアプローチのこと

日本の人事部より

自己強化型ループとは、システム思考のループ図を書く際に用いる言葉(型)で、双方において影響しあっているループになります。
具体的には、Aが増えればBが増えるというものです。例えば、自分が少しイライラしてしまっているのが相手に伝わり、相手も理由がわからず、少しイライラしてしまう。そして、相手のイライラを自分も察知し、さらにイライラして、相手もイライラする。「火に油を注ぐ」といいますが、片方の要素が大きくなると、もう一方の要素も大きくなる、というイメージです。


1. 僕が発言することによる自己強化型ループが回る、とは?

僕は会社の代表です。
これまで7年半の間、多くの決断をして参りました。そのため、「最後は山根さんが決める」という無意識的な、潜在的な思いがほぼ全メンバーにあるのかもしれません。

そんな中「変革しなければならない」という時代に差し掛かっています。これは当社に限らず、どの業界の企業さまでも求められている内容なのではないでしょうか?そのきっかけになっているのは、生成AIが1つ事例として挙げられるでしょう。そんな中、これまでのやり方は何かしら変えなくてはならない中で、代表である僕が発言をすることによって、既存のやり方のループが回ってしまう可能性があります。
僕、そして創業メンバーの小原は当社のことを最もよく知る人物です。そのため、会社の文脈を知っているゆえに、正確な判断ができると思っています。

一方で、文脈を知っているからこそ、過去の体験にしがみついてしまう可能性もありますし、そして過去のしがらみが足を引っ張ってしまう可能性もあります。そのため、「過去にこんなことがあったから」という魔法のセリフを口に出してしまうと、自己強化型ループが回り、メンバーも納得せざるを得ない感じになったりします。そのため、僕が良かれと思って無意識的に発した言葉が、会社の変革を阻んでしまう可能性があると感じているのです。

誤解がないように言うと、僕は会社の代表としてメンバーにアドバイスをしたり、決断をするのが役割です。そのため、その責務は全うしたいという気持ちがありつつ、「会社は代表の器で決まる」という言葉は、本当に正確な表現なんだろうなぁと思っているのです。なぜならば、僕が言う言葉が、会社を自己強化型ループをさらに強化させることになるでしょうし、ある程度発言権や決定権があることから、会社が自己強化型ループを「強化せざるを得ない」と思ってもいます。

これは会社の代表としての事例ですが、チームのリーダーやグループのリーダー、事業部長も全く同じことが言えると思います。同じような立場であれば、自己強化型ループを回す立場の可能性があるでしょう。では、大事なことは何なのか?次の項目で説明していきたいと思います。


2. 「その言葉を言うことに責任を持ってほしい」と最近感じている

本ブログは多少右往左往しながら話を進めています。
右往左往というのは、

  • 「会社で責任を持つ立場であるメンバーは、自分の発言が自己強化型ループをさらに強める可能性もある」

  • 「会社で責任を持つ立場であるメンバーなんだから、発言しないとならないし、決断もしなければならない」

この2つのバランスが非常に重要だと思っています。
ちなみに、つい最近まで僕は「後者でなければならない」と思い込んでいました。ただ、後者であれば1つ絶対条件があることに最近気づいたのです。それは、「会社で責任を持つ立場であるメンバーは、自分自身を一生アップデートできており、かつ時代の変革にきちんと対応ができ、深い自己認識ができている」これに当てはまらなければ、あらぬことが発生してしまうと最近感じています。

2-1. 過去の成功モデルの自己強化型ループを強めてしまう

例えば僕は30代です。10年以上前から社会人を経験しています。そのため、何か問題が発生したりすると、過去の成功体験に無意識的に当てはめようとします。「過去にこういった施策がうまくいったからやってみよう」これは人間の心理として当たり前だと思うのですが、忘れてはならないことが2つあります。

1つ目は、時代が動いていること。
ユーザーのニーズも変わっていますし、トレンドも変わっています。物価も変わっています。そのため、必ずしも過去の成功体験が今日の時代においてうまくはまるとは限りません。
2つ目は、周りのメンバーが変わっているということ。
過去の成功体験は、その「施策自体」がうまくいった場合と、その施策を「実行した人」が当てはまっていた、という2つの要素があると個人的には思っています。そのため、リーダーである人たちが、過去の成功体験にしがみついてしまっていると、あまりよろしくない自己強化型ループが回ってしまう可能性があります。ちなみに、過去に成功したわけですから、もし仮にその成功体験を同じように実行した場合、そしてそれが失敗した場合は「環境要因」「メンバーの要因」にどうしてもリーダーはしてしまいます。なぜならば、失敗すると思っていないからです。

2-2. 自分自身の深い自己認識ができていなければ、決断基準がぶれる

本項目で1つ10,000字のブログが書けてしまう程度のボリュームになりそうなので、割愛しながら話を進めたいと思います。

本項目でお伝えしたいのは「メンタルモデル」です。メンタルモデルというのは、自分の無意識的な思い込みや固定観念を指します。つまり、僕らは無意識のうちに「隠したい自分」が存在しており、それを隠すための言動を無意識に取っているというものです。
これは自分自身でそれに気づくことはほぼ不可能だと個人的には思っています。気づく人もいるのでしょうけれども、無意識なので本当に気づきません。プロフェッショナルにお願いをして、自分自身が無意識であったポイントをサポートしていただきながら気づくという体験が必要になります。

話を戻すと、例えばリーダー以上の方が発言する内容について、「本当にその事象を観察した上で、正確に物事を把握し、発言をしているのか?」それとも「ただ自分が発言したいだけ、もしくはその事象に対して隠したい自分があるがゆえに発言をする」という場合があります。皆さまも経験があるのではないでしょうか?例えば、メンバーからの提案や、友人からの提案に対して、その提案が非常に良いものであったとしても、提案をしてくる「人」に対して固定観念があり、「この人の提案はあまり良くない」や「この人は自分より下の人間だ」という思い込みがある場合、本心でその提案を賞賛することができなくなってしまう、など。

また、これは「対象領域」についても同じようなことが言えます。
どういうことかというと、自分が今専門的に学んでいる領域や注力している領域にメンバーが土足で踏み込んでくると、それに対して意識的に拒否反応を起こしてしまうことも人間ならではの感情かもしれません。
例えば、20年間中華料理を熱心に研究していた方に対して、僕のような中華料理大好きマンが意見を述べたとしたら、その方はおそらく批判的な意見を言わざるを得ないでしょう。その人が人間的な器が非常に大きければ、また話は変わると思いますが。

何を申し上げたいかというと、本ブログの主題である「自己強化型ループ」と表現している内容ですが、リーダー以上の方々が発言する内容について、それが自分自身のメンタルモデルを隠すために発していたら、それは本末転倒であることはご理解いただけるのではないでしょうか?


3. では、どうすれば良いのか?

「山根さん、本ブログの話の内容は理解したけれども、結局意見は言えばいいのか?言わないで我慢すればいいのか?どちらですか?」というご質問がある方もいらっしゃると思います。まさにその通りです。僕もいつも葛藤しています。

結論としては、自分が発言をする内容について、それが既存の自己強化型ループを回しているのではないか?と少しでも意識してみること。これが僕の中での施策です。

どういうことかというと、ディスカッションやミーティングにおいて、発言権がある僕が声を発することによって、おそらく既存のやり方の自己強化型ループが回らざるを得ない環境になるであろうということを僕自身も認識しています。ただ、既存のループをさらに強化することによって状況が好転するのであれば良いだろうと思っています。例えば、組織のカルチャーにおいて絶対に毀損させたくないものが毀損し始めている場合、過去に回っていた自己強化型ループを強化するべきだと思いますし、一方で、新しい何かにチャレンジをしなくてはならない場合は、自分が思ったことを発することによって、何も変わらないのではないか?という可能性を自分自身で認識することが大事だと思います。

また、自分自身が発言しようとしていることがメンタルモデルを隠す行為ではないか?また、その発言自体が「会社のメンタルモデル」を隠すような発言になっているのではないか?ということを自分自身で把握しながらアクションを起こせるとさらに良いのではないかとも思っています。


最後に

皆さまも日々の業務の中で、自分の言動が組織やチームにどのような影響を与えているのかを考える機会があるかと思います。ぜひ、自己強化型ループの存在に意識を向けてみてください。自分の発言や行動が本当に組織のためになっているのか、それとも過去の成功体験に基づいて無意識に同じパターンを繰り返していないか。これを問いかけるだけでも、新たな視点が得られるかもしれません。

僕自身もこれから引き続き、このテーマについて深く掘り下げていきたいと思います。引き続き、皆さまのご意見やフィードバックをお待ちしております。

皆さんいかがでしたでしょうか。
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