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[組織ブログ Ver.44]「電車待ちの行列を抜いて電車に乗る小学生」をさまざまな自己内省的側面で振り返ってみる

今朝、僕の最寄り駅からある電車に乗ろうとしていたのですが、電車を待つ列を抜かして、電車のドアが開いた瞬間に電車に乗り込む小学生がいました。そして椅子に腰掛けていました。僕は一駅で電車を降りるので、1番後ろのほうに並んでいたのですが、「どうしたものか」と思考した結果、椅子に腰掛けている小学生に話しかけることにしました。

「いま、悪いことをしたのはわかってるかな?列を抜かしたと思うんだけど、明日からはやってはいけないよ。その理由わかるかな?」

即座に首を縦に振っていました。この時間に電車で通学をしている小学生ですから、おそらく私立の小学校に通っているお子様だと思います。賢いでしょうし、僕が何を伝えたいかわかったかと思います。

本ブログでは、「山根が小学生に話しかけたんだよ」と言う話を伝えたいわけではなく、この事象においてどのような捉え方をできるのか?をさまざまな観点で記載をしてみたいと思います。




0. 表層的な・限定的な事実だけを捉えないこと

本件においては、「電車を待つ行列を追い抜いて、最初に電車に乗り込み、椅子に腰掛けていた」という事象でした。これだけ見ると、その相手が芳しくない行動をしている事は皆さんご理解いただけるかと思います。
ただ、「表層的に」「限定的に」これだけの事象を捉えるのではなく、相手の文脈や、感情や、ニーズや、その他にも複雑に絡み合う感情などをきちんと考慮した上で、この事象を捉えられるのではないか?と感じたのです。


1. 文脈観点で捉えてみる

文脈と言うのは、その相手のこれまでの人生で体験したことです。
おそらく8歳くらいの方でしたが、これまでの人生において、あのアクションを起こさなければならない経験があるのでしょう。
また、おそらく今朝のアクションが初めてではないはずです。そのアクションは慣れていましたし、おそらく数十回、もしかしたら数百回アクションを繰り返しているのかもしれません。それに対して、周りの方々は特に注意もしないでしょうし(反論されては困りますしね)、そのため「このアクションをしても大丈夫なんだ」と思っていたのでしょう。

また、この方の人生の中で「相手を出し抜く」「相手より前に行く」「手段を選ばずに前へ進む」と言う影響を与えている方が周りにいたとしたら、このアクションは合点が効きます。


2. 日頃の「反発」な可能性もある

では、友人やご両親と一緒にいる際に、このようなアクションを起こしているのか?と言うと、それはわかりません。もしかしたら友人たちやご両親と電車を待つ列を追い抜いているかもしれませんし、ただ僕も人生においてそういった方はほとんど見たことがありません。そのため、友人やご両親と一緒にいる際は、あのアクションは起こしていない可能性の方が高いでしょう。

その場合、日ごろの「反動」と捉えた方が良いかもしれません。僕は3歳の娘がいるので、もし自分の娘がこのアクションを起こしていたらショックです。おそらく割と強い指摘はするはずです。ただ、もし仮に父親である僕から娘へのコミュニケーションが、このアクションを創発していたとしたらどうなのか?と言う視点も必要です。娘に対して圧迫的な対応をしており、娘が家ではリラックスして過ごせていない。それゆえに、何かの心のモヤモヤの反動としてこのアクションを起こしていたら?と考えると、合点がいきます。
もしかしたら、この小学生の方がこのようなアクションを起こしたのは、自分自身のみが関係しているわけではなく、日頃コミュニケーションをとっている周りの方々のアクションが起因して、その反動としてこのアクションを起こしている可能性も十分にあると感じています。


3. NVC観点

この方は、何のニーズを満たしたかったのか?という探求は面白いと思っています。前述した通り、この方のアクションは何かの文脈が紐付いていたり、そして日ごろの反動としてこのアクションを起こしている可能性があります。そんな中で、どのような背景でこのアクションを起こしているのか?次第だと思うのですが、おそらく何かしらのニーズがあるはずなのです。

例えば、前項目で記載した通り、何かしらの反動でこのアクションを起こしていた場合、仮に「小学校や家庭の中で多くの叱責を受けていた」という場合は、自分の承認欲求が満たされずに、電車を待っているその行列を追い抜いて先に乗ることで、優越感を得たいのかもしれません(あくまで仮の話です)。
仮に「小学校では自分が王様になっており、何もかも周りのメンバーが自分に譲ってくれる」という場合は、「列に並ぶ」ということ自体に不満を持ち、「何もかも自分に譲ってくれる」と思い込んでしまっている可能性もあります。この場合は「自分が思い通りにことが進む」というニーズがあるのかもしれませんね。

繰り返しになりますが、この方のアクションを表層的に、そして限定的に見ると、芳しくない行動であることが理解できるのですが、本ブログでここまで記載をした通り、様々な視点でこの方の行動を捉えてみると、様々な捉え方ができると思っています。


4. 「状態」が非常に悪かった

ここで言う状態というのは、「体調的な状態」と「精神的な状態」の2つを内包しています。
前者の「体調的な状態」というのは、体調が悪く、発熱をしており、頭痛があるという類です。確かに、体調が悪いと、長い通学時間であれば、椅子に座りたいのは当然の心理です。優先席の目の前に立って、自分が体調が悪い姿をアピールして、誰かに代わってもらえないものか?と僕もアクションを起こすかもしれません。そういった類です。

「精神的な状態」というのは、モチベーションだったり、気分が乗らなかったり、そういった類です。もしかしたら、今日の体育の授業でダンスの発表があって、すごく気分が重いのかもしれませんね。そういった状態が、このようなアクションを生み出しているという可能性もなきにしもあらずだと思っています。


5. 入れ子構造について

これは、本ブログの1番に記載した内容の拡張した内容だと思ってください。
「入れ子構造」と記載しましたが、その一つについてご紹介します。本ブログの目次の1番目に記載をした「文脈」と表現したものは、その当事者の文脈(人生や原体験)を指しています。一方で、その当事者の「周りの方」との文脈もあるでしょうし、もしかしたら「電車」という文脈もあるかもしれません。

「周りの方」というのは、前述した通り、ご両親や小学校の友達などです。それらの方々との文脈がこのアクションを引き起こしているかもしれません。
また「電車」というのは、何かしら電車にあまり良いイメージがなく、その文脈がこのアクションを創発させる可能性もあります。例えば、毎回、電車で行列に並び、椅子に座る争奪戦を周りの通勤者・通学者として、惜しくも座れなかった。もしかしたらお尻で弾き飛ばされてしまい、すごく嫌な気持ちになった、そんな体験をしている可能性もあります。
この文脈がアクションを引き起こしている可能性もあります。

話を戻して、「入れ子」と表現しました。
では今、本項目で僕が記載をした「ご両親」「小学校の友達」「電車」にはどのような入れ子の構造があるのか?

例えば、「ご両親」の話を仮の話としてしてみましょう。(何度も申し上げますが、仮の話を本ブログでは伝えていることが多いのでご認識ください。) 今朝、アメリカにおいてトランプさんの当選がほぼ決まりましたよね。おそらく日本にも影響が出るはずです。まだ確定はしていないと思うのですが、輸入品においては少し関税の率を上げるというニュースも舞い込んできています。もし、アメリカへの輸出がメインで売り上げを作っている企業に、そのご両親がお勤めなのであれば、それは死活問題になる可能性もあります。利益がさらに下がってしまい、赤字に転落してしまう可能性もありますね。そうなると、もしかしたらその企業が外資系の企業である場合、リストラの対象になってしまう可能性も考えられます。
そこで家庭内でネガティブな会話が発生し、それが子供に影響を及ぼしている可能性もあります。

次に「電車」が及ぼす入れ子構造について。
記憶に新しいコロナウイルス。それによってリモート勤務が増え、小学生はぬくぬくと通学をしていたと思います。ただ、出社回帰の企業が格段に増え、今の小学生が経験したことがない満員電車が再開。そのため、その満員電車に慣れておらず、イライラを募らせてしまっている可能性もありますよね。ただ、コロナウイルスの発生や、出社回帰については、小学生が影響を及ぼせる範囲を超えており、それは致し方ないと思います。


6. シャドウについて

シャドウとは、個人の無意識の中に隠れている、普段は意識に上がらない側面を指します。
原体験を積むにつれて、シャドウは蓄積されると個人的には解釈しておりますが、小学生にも「シャドウ」は存在します。シャドウは年齢に関係なく、誰にでもある心理的な側面と言われています。小学生の場合、大人ほど深く複雑ではないかもしれませんが、心の中で抑え込んでいる感情や認めたくない性質を持つことはあります。
たとえば、小学生は「怒り」や「悲しみ」などの感情を持っていても、周りの大人や友達の前でそれを表現することをためらうこともあると思います。学校生活では、「いい子でいるべき」や「他人に迷惑をかけてはいけない」というルールを守ろうとするうちに、自分の本当の気持ちを抑え込んでしまうことがあります。そういった抑え込まれた感情や性質が、小学生にとってのシャドウにあたると言えます。

小学生のシャドウの例

  • 勉強が苦手だと感じていても「周りにばかにされるかも」と思い、自信のなさを隠す。

  •  友達がうらやましいのに、その気持ちを表現せず、冷たくしてしまう。

  •  悲しいことがあっても、「泣いてはいけない」と思い、感情を抑える。

話を戻しますと、この小学生の方にもシャドウがあったのだろうなと。
本ブログで様々な側面から記載して参りましたが、自己肯定感や承認欲求というシャドウがある可能性があります。小学生は成長過程で自己肯定感や承認欲求が高まっていきます。家族や学校での評価が気になる年齢であり、他者から認められたいという欲求が強くなることがあります。彼が列を抜かして座席を確保した行動は、自己の存在や優越感を感じたい、あるいは「自分は特別だ」と思いたいという欲求から来ている可能性もあります。


7. 発達段階について

小学生の対象のブログにおいてこんな話をするのか?という話はさておいて、僕ら社会人は一定の義務教育を終えており、その後、高校、専門学校や大学など様々かと思いますが、一定の社会性を身に付けています。日本の教育カリキュラムにおいて、ある程度同じ時間に学校に来て、同じ授業を受けたり、掃除をしたり、給食を食べたり、一緒に遠足に行ったり、修学旅行に行ったりします。規律を乱したり、輪を乱したりすると注意を受けるという教育を僕も受けてきました。
そのため、高校を卒業した18歳や大学を卒業した22歳になると、何が好ましくないアクションで、何が好ましいアクションなのか?については、学んだ状態になります。

一方で、8歳の小学生に目を向けると、まだそれらの発達がし切っていない可能性があります。何が好ましいアクションで、何が好ましくないアクションなのか?も見極められていない状況だと思っています。これについては、自分が8歳の時に正確な判断ができたかと言うと、全くその自信がありません。

何を申し上げたいかと言うと、「普通はさ」という会話が相手にとっては普通ではないことをきちんと僕らが認識しなくてはなりません。もちろん、社会的にNGなアクションについてはきちんと指摘をしなくてはならないと思いますが、そういった指摘や育成を受けてこなかった場合については、あの行動に合点がいきます。僕は今39歳ですが、今回のアクションが好ましくなかった事はもちろん理解していますが、「相手の靴」を履くと、別の視点で、物事が見えてきますよね。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
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