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日本・世界を前進させるキーワードは「変容」なのではないか?
「最も強度を上げて取り組むべきなのは、人材の変容と組織の変容と、日本の変容なのではないか?」
そんなことを思い始めたのは、2024年の10月ごろでした。
当社にはGrow Up Venturesというミッションがあります。そして、当社のお客様にもそれぞれのミッションやビジョンが存在しており、その達成をするために「HR」という側面で当社はサポートさせていただいています。
HRとは、採用活動や人事組織全般の活動を指していますが、日本のベンチャー企業が世界と戦っていくために様々取り組むべきことがある中で、最も必要なのは、冒頭に記載した人材・組織・日本の「変容」なのではないか?と感じることが増えたため、元旦である今日にそれらの内容を記載してみたいと思います。
0. 変容とは
変容とは、これまでの固定観念や思い込みを脱却し、新しい視点や可能性を受け入れること。そして、それは単なる変化や改善ではなく、自分たちの存在そのものを再定義するプロセスでもあります。人材、組織、そして日本というレベルで考えると、変容はそれぞれに異なる課題とインパクトをもたらします。
0-1. 変容とは(具体的に)
僕にとって2024年はものすごく記憶に残る1年となりました。なぜならば、自己変容の体感を強く持ったからです。
これは僕の持論ではありますが、人間が「勝手に」変容することは、ものすごく難易度が高いことだと思います。
「変わらざるを得ない」
という体験をしなければ、人間は変容しないのかなと個人的には捉えています。
詳しく知りたい方は、こちらのブログをご覧ください。
そのため、仮に自分自身で「変わりたい」と思ったとしても、それを実現することは非常に難しいです。少し大げさな言い方をすると、半ばトラウマになるようなショッキングな出来事がなければ、深層的に自分自身を変えるというコミットはなかなかできないと思います。
そして、この自己喪失が発生した場合、「1人で(独力で)」成し遂げることは非常に難しいと思っています。そこには「誰かしらのサポート」が必要です。僕の場合は当社の創業メンバーの小原さんと組織コンサルタントの江上さんに助けてもらいました。
ちなみに今僕が話しているのは「学習で得られる成長」の話ではなく、「垂直的な成長」の話をしています。
詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
これらのステップを踏んで変容がなされていくと、個人的には捉えています。
0-2. 変容のステップ
変容にはステップがあります。様々な変容の種類があると思っていますが、発達理論を交えて説明をしてみます。
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上記の詳しい説明をしようとすると長くなってしまうので割愛しますが、この図(表)はSTAGESというテリー・オファロン氏の数十年にわたる教育経験と長年にわたる発達研究に基づいた人間発達のための最新の理論で、それをステップで記載をしたのが上記の図(表)です。諸説ありますが、自分自身の発達段階がどのフェーズなのかはわからないということも多いです。
改めて ですが、本ブログでは「変容」の一つの種類を「発達段階が変わる」ことを大ちゃんにして話を進めたいと思います。そして、なぜこの類の話をしているのか?それは、僕自身が長年 必死になり、そして苦しんでいたことが言語化されていたからです。
まず認識していただきたいのは、発達段階によって見える景色が異なります。誤解がないように申し上げると、発達段階が 後期 だから良いというわけではありません。あくまで景色が異なるということをお伝えしたいのです。
僕はHR界隈の人間なので、それに適用した話をしたいと思います。
例えば「スカウトメールの返信率が低い」という問題があったとしましょう。その問題の捉え方は以下のようになります。
※補足
イメージがしやすいように少々極端な表現をしている箇所もありますが、ご了承ください。
▼ 発達段階3.0:受動的な問題解決
感じ方:
問題の原因を外部に求める。
「返信率が低いのは、ターゲットが悪い、景気が悪い、応募者の意識が低いからだ」といった視点になる。
「どうしてこんなにうまくいかないのだろう?」と考えつつも、自分たちのやり方を根本的に疑うことはない。
振る舞い:
外部の権威や既存のやり方に頼る。
他社の成功事例やテンプレートをそのまま導入する。
例: 「とりあえず他社で成功しているスカウト文面をそのまま使ってみよう」といった改善策に終始する。
改善が見られなければ、「この状況は仕方ない」と諦める。
▼ 発達段階3.5:主体的な最適化
感じ方:
「何かが間違っている」「やり方を改善すれば結果が変わるはずだ」と考える。
他責的な態度を脱し、「自分たちでできる範囲で最適化すれば問題を解決できる」と捉える。
問題を部分的に理解し、改善意識が芽生える。
振る舞い:
自分でデータを分析し、仮説を立てて具体的な改善を試みる。
スカウトメールの文面やターゲットリストを調整し、試行錯誤する。
例: 「文面が長すぎるのではないか?」「もっとターゲットを絞り込もう」といった細部の調整に注力する。
チームメンバーと情報を共有し、意見を参考にして改善策を実行。
▼ 発達段階4.0:ビジョン駆動型の問題解決
感じ方:
「返信率が低いのは、採用活動全体の価値やメッセージが応募者に十分伝わっていないからではないか?」と捉える。
目の前の数字にとどまらず、「この問題を通じて、自社や採用活動のあり方を見直すきっかけにできる」と考える。
問題を「採用活動全体の意味」や「長期的な成長」に関連づけて理解。
振る舞い:
採用活動の全体像を見直し、ビジョンや価値観に基づいてアプローチを再構築する。
「求職者にとって魅力的なメッセージ」「採用活動を通じて伝えたい価値」などを問い直す。
チーム全体で「この問題をどう成長の機会に変えるか」を議論し、共通のビジョンを作る。
例: 「スカウトメールだけでなく、採用ブランディングや企業の存在意義をどう表現すべきか?」を検討。
▼ 発達段階4.5:システム思考型の問題解決
感じ方:
問題を個別の事象として捉えず、「採用活動全体のシステムの中でどのような相互作用が起きているか」を考える。
「スカウトメールの返信率が低いのは、ターゲット、メッセージ、採用プロセス、企業文化、市場環境など、複数の要因が絡み合っている結果だ」と理解。
問題を採用活動全体の構造的な課題として捉える。
振る舞い:
スカウトメールだけに注目せず、採用活動全体のプロセスを可視化・分析し、全体の最適化を目指す。
例: 求職者がどの段階で離脱しているかをデータで把握し、メール文面、ターゲット選定、面接プロセスまでを見直す。
「求職者のニーズ、社内のリソース、市場の変化」を統合的に考え、採用活動をシステム全体で再設計する。
他部門とも連携し、採用活動を企業全体の戦略に統合する。
▼ 発達段階5.0:自己超越型の統合的解決
感じ方:
問題を「自社や採用活動が果たすべき役割」を問い直す機会として捉える。
「スカウトメールの返信率が低いのは、自分たちの採用活動が社会や業界全体にどう影響しているかを見直す必要がある」という視点。
問題を超えて、「採用活動の本質的な意義」「自社が採用を通じてどう社会に貢献できるか」を考える。
振る舞い:
採用活動を、「人材獲得の手段」から「社会や業界全体に影響を与える取り組み」として再定義。
応募者、クライアント、自社、さらには社会全体の調和を目指し、採用活動を通じて新たな価値を創出。
例: 「採用活動を通じて求職者がキャリアを主体的に考えられるような場を提供する」「業界全体の採用文化を変える」といった長期的な目標を設定。
問題を超えた次元で、新たなモデルやフレームワークを構築し、社会全体に影響を与える活動を行う。
※(改めて) 補足
あくまでわかりやすい事例として表現をしていますので、少し表現が極端になっているかもしれません。また発達段階が後期であれば良いというわけではないため、ご認識+ご了承ください。
僕は会社の代表として、プロのHRパーソンとして、支援をさせていただいている企業さまに「示唆」「気づき」を提供しなくてはならない立場です。僕が言うこと=正解というわけではないのですが、HR という領域において巧者でなければならない自負もあります。
ただ「HR」という領域における巧者であると同時に「ビジネスマン」、そして「人間」としての巧者でなければ、顧客の課題解決は難しくなります。HRノウハウを振り翳し、自分が言ったことを顧客に実行していただくだけでは、その顧客が本質的な、そして深層的な成功をすることができないと強く感じています。
そんな中で、僕自身が、そしてポテンシャライト自身が「変容」をすることで、次のステップに進むことができる。そして、変容をした個人・組織が、顧客の変容に携わらることができる、というのは日本が成長・発達するレバレッジポイントになり得るのではないか?と考えているのです。
0-3. なぜ変容がレバレッジポイントになれるのか?
「同じモノ・コトを、見ているのに触れているのに、解釈のが異なる」
この言葉は、僕が39年間生きてきた中で、最も感銘を受けた、そして気づきを提供してくれた言葉の1つです。これを理解しているのといないのとでは、組織におけるコミュニケーションがガラッと変わるのではないかと捉えています。
想像してみてください。目の前にりんごがあるとしましょう。もちろん「りんご」と認識すると思うのですが、仮にりんごを見たことがなかった人は、それをりんごと認識しません。おそらく「赤い丸いもの」と表現するかもしれません。
もう一つ事例を挙げます。目の前にりんごがあるとしましょう。もちろん「りんご」と認識すると思うのですが、「そのりんごの真後ろ」からそのりんごを見ると、そのりんごは腐っていた。正面から見るときれいなりんごで、真後ろから見ると腐っていたとしたら、どちらが本物なのでしょうか?いや、これはどちらも本物になります。
人や組織も、前述したりんごと同様です。
僕ら人間は、目の前にいる人の「ほんの1部」しか見えていないのに、その目の前にいる人の「全て」を理解したような気になってしまいます。僕もそうです。
僕ら組織人は、自分が所属している組織の「ほんの1部」しか触れていないのに、その自分が所属している組織の「すべて」を理解したような気になってしまいます。これも、僕自身もそうです。
本項で僕が記載したのは、前項の発達段階の説明とはやや異なるのですが、視座や視点の話を含んだ内容を選びました。
話を戻します。
変容がなぜレバレッジポイントになるのか?というと、前項と本項で説明したことを理解することができれば、様々なことを解決できる1つの杖になる可能性を大いに秘めていると思っているからです。
1. なぜ年初に、このようなブログを書いたのか?
僕は今39歳で社会人17年が経過しようとしています。新卒の頃から一貫してHR業界に所属し、仕事をしているわけですが、
「日本をより成長させるためには」
「世界をより豊かにするためには」
これらを深く考えた場合、「目の前の顧客の課題を解決し続けること」が非常に重要だと個人的には捉えています(と捉えていました)。僕らのようなHR界隈における支援をしている側の企業としては、目の前にいる顧客の課題解決に対して微力を尽くすことが最も重要であって、それに必死になって邁進していくことが重要だと思っています(思っていました)。
ただ、日本を成長させていくために、世界をより豊かにするために「根っこの部分」は何なのか?と考え続けてきたわけなのですが、本ブログで書いた内容を認識していただき、発達段階の後期の方々が増えてくると、日本はより成長していくのではないか?そして世界はより豊かになるのではないか?と思っています。
それは何故か?
発達段階が後期の方が増えてくると、「本来見えていないことが見えるようになるから」だと思います。
僕は、採用活動中心に、人材・組織開発の支援をこれまでして参りました。
ミッションビジョンの構築
バリューカルチャーの文言化・浸透
入社オンボーディング支援
マネージメント研修・育成
人事制度設計
福利厚生の設計
など、採用活動に限らず、人事組織にある活動の支援も多数行ってきたつもりです。そして、組織が良くなることもあれば、ぬかに釘を打つといいますか、組織がなかなか良くならないことも目の当たりにして参りました。
「皆 一生懸命取り組んでいるのに、なぜ組織(事業)が良くならないのか?」
これについて頭を悩ませることも多かったのですが、競争的な目の前にある問題・課題を解決するだけでは、組織(事業)が良くならないという感覚が強くあります。その答えの1つが、本ブログで書いてある内容なのだと個人的には感じており、日本が成長していくために、世界が豊かになるためには、僕ら人間の「変容」が大きな鍵を握るのではないか?と考えています。
👆 こちらにも同じ内容を詳細に記載をしておりますので、ご興味をお持ちの方はご覧ください!
長くなってしまうので割愛しますが、本ブログは「人材(個人)」の変容にスポットを当てています。
ただ、1人の個人の変容の重要度が非常に高いと同時に、「組織」の変容も重要になってきます。言わずもがな個人の変容も非常に難易度が高いですが、組織やグループの変容はさらに難易度が高いです。そのため、これについてご興味をお持ちの方はご連絡いただければと思います。
結論が最後になってしまいました。
なぜ年初にこのようなブログを書いたのか?
その背景は、「僕ら人間が本気になって変わらなくてはならないタイミングが訪れている」と僕が強く思っているからです。
VUCAの時代において、非秩序なことがこれから頻発します。そんな中で僕らは変容していく必然性が非常に強くなっていると年々感じています。そして、日本・世界という範囲において、これはレバレッジポイントになり得るだろうという思いが芽生えているため、2025年一発目はこのブログにしました。
本内容については、この文字数で詳細に語ることが難しいため、また追い追い別のブログとして記載したいと思います。
では、皆さま。
2025年もよろしくお願い致します。