[組織ブログ Ver.45]システム思考×メンタルモデル・インテグラル理論などを考えてみた
「システム思考」
この言葉をご存じの方もいらっしゃると思いますし、初めて目にしたという方もいらっしゃるかと思います。本当に最初は何のことかよくわからなかったのですが、学べば学ぶほど、本当に奥が深い。大げさな言い方をすると、
「システム思考を学ばなければ、視座が高くなる事は無いのではないか?」
と言うほど非常に重要だと思っています。
先週末にシステム思考を学ぶ機会があったため、個人的な頭の整理も兼ねてこちらのブログを記載したいと思います。
※割と専門用語が多く発生するためわかりにくいかもしれませんが、皆さまのためにはなると思ってるので、ぜひ読んでみてください。
0. システム思考とは
0-1. 「良かれと思って取り組んだことが、次の問題を発生させている」について
皆さまも経験があるかと思うのですが、相手にとって、チームにとって、組織にとって良かれと思って取り組んだことが、逆効果になったことはありませんか?
例えば、佐藤さんが疲れているかなと思って、シュークリームを買って行ったら、その直前にアイスを食べていた、など。
ただ、この事例はすごく小規模な事例なので、もう少し話を大きくすると、例えば人事制度の話をしましょう。人事制度の設計は本当に難しいです。なぜならば、重要視する項目が各メンバーによって異なる場合、全員に納得してもらえる人事制度を構築することは難しいからです。仮に、「株式会社山根ハウジング」という企業の評価項目が「バリュー体現評価」だったとしましょう。つまり、バリュー(行動指針) をどれだけ体現できているかによって、評価が変わるという内容です。そのバリュー評価を継続してきた山根ハウジングは、業績が順調に伸びていたのですが、市場環境の変化によって業績が悪化し、バリュー評価のみでは売上や利益を担保することができないという問題が発生した上に、メンバーからも「売上や利益を評価基準に入れたほうが良いのでは?」という課題提起もあり、評価項目に入れることにしました。
すると、業績は回復し、赤字に陥ることなく黒字で担保することができました。経営陣は一安心です。ただ、1年後くらいから若手メンバーの退職が始まりました。理由を聞いてみると、「社内における陰口が多くなった」とのこと。なぜか?と理由を言及してみると「わからない」ということ。
調査を続けてみると、陰口の内容は
「これまで積極的に実施されてきた『ナレッジシェア』の機会が減っており、佐藤さんが自分のナレッジを隠している」
という噂が流れたとのこと。なぜ佐藤さんがそのようなアクションをしていると思われてしまったかというと、「ナレッジシェア」というバリューが山根ハウジングにはあり、週に1回ナレッジシェアのミーティングをすることにしていました。ただ、バリュー評価がなくなったことによって、自分自身の売上を上げようという優先度の方が上がり、ナレッジシェアのミーティングはなくなりました。それゆえに、社員間のコミュニケーションが希薄になり、コミュニケーションの意思疎通が取りにくくなり、陰口が増えた、と思っているとのこと。
これは、人事制度の評価項目におけるバリュー評価から、売上の評価に変えたことによる問題発生ということになります。
0-2. 「その施策はすでに次の問題を発生させ始めている」について
前項と似たような話ですが、別項として記載します。
僕ら社会人は仕事においてPDCAサイクルを回しながら、前の1週間の課題点を見出し、そして何かしらの施策を実行します。そしてうまくいかなければ、次の施策に移るという手法は、概ね誰もが体験したことがあるかと思います。
ただ、何か新しいことに「変える」場合、既存のことを「捨てる」ことになりますが、変える予定の新しいことにスポットが当たることで、捨てられることにスポットが当たることはありません。
例えば、オフィスを清潔に保つために、就業時間が終わる10分前に業務を切り上げて、オフィスの掃除を全社で実施しようという施策があったとします。その施策には全員が合意し、掃除をし始めて1ヶ月後にはオフィスがきれいに保たれることになりました。オフィス衛生の満足度も上がり、良い効能が創発されていたのですが、1人の社員がこんなことを言いました。
「この10分間で社員100人がいたら1日1000分。1ヶ月で30000分になるよね。これは1ヶ月3人程度の就業時間を使ってるということになるよね。もし3人いたらもっと売上を上げられるのでは?当社赤字だよ?」
冷静に考えると、たかが10分、されど10分。
社員が100人いた場合は、それほどまでに大きな時間を使っているということになります。もちろん、それ以上の効能があると思って、皆掃除をしているわけではあるのですが、「良い」という判断をして投じた施策でも、別の問題を発生させている、というのはよくあったりします。
0-3. 時間軸が厄介なポイント
「失われた20年間」というキーワードを聞いたことがある方は多いかと思います。これは日本経済について議論される際に発生する言葉です。20年前は2004年です。ただ、2004年に何か日本が投じた施策が、この20年間の経済停滞を生んでいるわけではないと思います。本項目は可能性ベースの話をしますので、事実ではないかもしれませんが、という前提で聞いてください。
わかりやすいように20年前を2004年としましたが、2004年前後はGDPが停滞していることは事実です。ただ、2004年よりも前、つまり1990年代から日本が当時行った施策が巡り巡って、2004年以降の経済停滞につながっていたらどうなのか?という視点が重要です。
僕らはある会社に勤めている方が多いと思います。そのため、フリーランスの方やスタートアップ企業の方は少人数で活動しているかと思いますが、例えば中堅企業の方でも30名から50名規模の企業さまに勤めているかと思います。ここで一度考えてみてください。
「あなたが今勤めている企業への不満が、数年前にあなたが投じた施策が発生要因だったらどう思いますか?」
例えば、当社の従業員数は50名程度ですが、この規模ではクイックにアクションを起こすことができます。とは言いつつも、50名という規模にはなるので、2年ほど前に投じた施策が、今になって「歪み」として現れることは多数あります。例えば、「組織構造を変える」という施策は、「今すぐに効果がある」とは全く思えません。おそらく「良し悪し」を判断するのは2年から3年後なのかと思います。
一方で「今成長している企業」に直近で入社した人は、5年ほど前に汗水垂らして努力をしたメンバーの方の影響で「今成長している」となっている場合がほとんどです。僕はHR関連が専門領域なので、よくお客さまにお伝えしていますが、
「成長中の企業にタイムリーに入社した人のスキルが高いのではなく、その土台を作った人、つまりそのシステムを作った人がものすごく優秀なんだと思いますよ」
とお伝えしています。
例えば、当社が最も成長したのは2021年から2022年の頃でした。なぜ一気に成長することができたのか?おそらく2019年ごろに汗水垂らして必死に働いてくれたメンバーのおかげだと思っています。その成果が現れ始めたのが2021年。そして2023年に当社は停滞した時期がありました。これはおそらく2021年から問題が始まっていると言えます。どの期間に勤めているメンバーにも感謝をしていますが、この「時間軸」というシステム構造を理解していない場合、上記のようなことを言ってもピンとこないメンバーが圧倒的に多いのです。
本項目でいくらでも事例の話ができてしまいますが、本ブログでは別の話をしたいので、次の項目に移りたいと思います。
1. 他者が作成したシステム思考のループ図を見たときの違和感
僕はシステム思考にそこまで詳しいわけではないのですが、「他者」や「他社」が作成したシステム思考のループ図を見たときに「きれいにまとまっている」という感覚は覚えましたが、「本当にそうなのか?」と思うことがありました。
例えば、「業績が下がっている」という状況があった際に、システム思考のループでは、その原因やつながりを要素として書いていきます。すると、下記のような要素(キーワード)が上がります。
行動量
戦略・戦術
若手メンバーの内面
組織カルチャー
ふむふむ、すべて要素の1つだと思いますが、仮にその議論を特定のメンバーと行った場合、「すべてそう思うけれども、どの優先順位が高いんだろう?」という話をしたとき、話が収束せず、システム思考のループ図がとてつもなく複雑になってしまうことは、私も過去に経験しました。
例えば、皆さんに1つ質問させてください。
(頭の中で30秒だけ考えてみてください。)
「あなたが勤めている企業のミドル社員の退職が止まりません。それは何が理由なのでしょうか?」
皆さん、どのような回答が思い浮かびましたか?
例えば、
キャリアの不透明性
年収
スキルアップができたので
会社の戦略・戦術の不透明性
会社のミッション・ビジョンへの共感
会社メンバーとの関係性
などが考えられます。これらはすべて理由としては存在すると思います。ただ、どの理由の優先順位が高いのか?それを調べるために「社員にインタビュー」をしてみようというメンバーがいます。これは素晴らしい施策だと思いますが、それで本当に解決するのでしょうか?
前置きが長くなりました。
僕がシステム思考を学んだ際に感じたのは、システム思考のループ図は、
作成する人・グループによって姿形を変える
姿形を変える理由は、そのメンバー・グループのメンタルモデルやインテグラル理論、文脈などの要素が紐づいているのではないか?
ということです。
ここから具体的な話に移りながら進めていきたいと思います。
1-1. メンタルモデル×システム思考
さらに詳しくご覧になりたい方は、下記ブログをご覧ください。
端的に言うと「思い込み」「固定観念」だと思ってください。このメンタルモデルが非常に奥深く、そして厄介なのは「自分自身が無意識である」という点です。そのため、自分自身の思い込みや固定観念に自ら気づくことは簡単ではありません。
ちなみに、私自身のメンタルモデルとして、「器が小さい男」というものがあります。
「器が小さい男を隠すために、ブログを書いている」
「器が小さい男を隠すために、ウェビナーをしている」
と考えると、合点がいくのです。誤解がないよう申し上げますと、ブログやウェビナーは私がそのことを隠すためにやっているわけではなく、事例としてわかりやすいと思ったので書いています。
何を申し上げたいかと言うと、私たち社会人(人間)は、日ごろの生活や仕事において、自分自身の無意識的な思い込みや固定観念(メンタルモデル)によって判断を歪めてしまっている可能性があります。そして、複雑な話なのでさらっと説明しておきますが、メンタルモデルは個人にもグループにも組織にも存在します。さらには日本全体にもあるでしょう。
例えば、私のメンタルモデルとして「器が小さい男」という話をしました。当社には「成長していなければ価値はない」というメンタルモデルがあるかもしれませんし、日本全体には「自分の意見を言う前に、相手の意見を聞く」といったメンタルモデルがあるかもしれません(これは例として話しています)。
つまり、システム思考のループ図を書く際に、自分のメンタルモデルがそのループ図の要素に大きく影響を与える可能性があるのです。
例えば、採用支援の現場で「離職率の低下」を目指すとします。短期的に離職率を下げるため、「厳選採用」を徹底し、即戦力となる人材を優先して採用する方針を掲げたとしましょう。この取り組みは、確かに離職率低下には寄与するかもしれません。しかし、当社の「成長志向」というメンタルモデルが影響し、即戦力重視の採用に偏ると、「長期的な人材育成」や「社内ナレッジの共有」といった要素が軽視されがちになります。
実際にループ図を描くと、この流れは「短期成果圧力」のループに入り、採用方針が「即戦力重視」という要素に寄り、それが離職率に直接影響を及ぼしているように見えるかもしれません。
しかし、本来であれば「組織文化の醸成」や「持続的な育成環境」といった要素も含め、長期的な視点で人材をどう活かすかに焦点を当てるべきです。この視点を見失うと、短期的な成果が優先され、結果的に「短期的な採用方針に偏った組織風土」が生まれ、ループの見直しが必要になることもあります。
1-2. インテグラル理論×システム思考
インテグラル理論に関するブログについては、こちらをご覧ください。
インテグラル理論の存在は、誰しも必ず理解した方が良いと個人的には強く思っています。私もこれを知ってから視野が広がり、恐縮ながら視座を高くできた1つのツールだと感じています。なぜならば、抽象度が高く、複雑性が高い問題であればあるほど、このインテグラル理論の「4つの象限」で語られる視点がなければ、問題の本質までたどり着かないことがあるからです。
私が非常にお世話になっているオーセンティックワークスさまのホームページから拝借させていただいています。この図をご覧いただければ、インテグラル理論のインパクトを感じ取れるのではないでしょうか?
話を戻します。
システム思考のループ図を書くとき、各メンバーの意見が分かれます。例えば、前述した「ミドル社員の退職」という問題があったとしましょう。そこで、4名のグループで意見が出たとします。
佐藤さん:「当社は、経営戦略や事業戦略があまり明確ではないため、メンバーも自分がどのように仕事にスポットを当てれば良いのか、わかっていないのではないかと思っているんだよね。」
高木さん:「シンプルに、その企業で身に付けることができるスキルの上限に達したと思ったのではないでしょうか?当社は育成文化なので、3年在籍すればある程度スキルは身につくことができますし。」
柳橋さん:「最近、入社者も多いことから、当社の良きカルチャーが少し失われている気がします。そのカルチャーの変化がミドル社員にとって居心地の悪さを生んでいるのではないでしょうか?」
山崎さん:「当社は、もっと1on1ミーティングを増やした方が良いと思います。メンバーの内面で感じていることをキャッチアップする機会が少ないのではないかと考えています。」
いかがでしょうか?
どれもそれらしい意見ですよね。むしろ、これをご覧いただいている読者さまの在籍する企業でも、ほぼ当てはまっているかもしれません。
仮に「ミドル社員の退職」という問題からシステム思考のループ図を書くと、こうした意見がたくさん出てきます。最初は「拡散」しても良いと思います。何が正解で何が不正解かをさておき、これらの意見を収集し、システム思考のループ図を描くことができるのか?と言われると、かなり難易度が高いと私は感じています。
そんな中で、もしシステム思考のループ図を書くワークに参加しているメンバーがインテグラル理論を理解していたらどうなるか?ということです。
佐藤さんは、「集団×外面」
高木さんは、「個人×外面」
柳橋さんは、「集団×内面」
山崎さんは、「個人×内面」
それぞれ話が偏重していることがわかるかと思います。本人たちも、自分自身の視野がインテグラル理論の4つの象限に偏っていることを理解するかもしれません。
少し話が逸れますが、仮にここで「ミドル社員にインタビューしてみよう」と意見を聞きに行ったとします。その際、退職した佐々木さんが「いや、なんか組織のカルチャーが変わってきて辛かったんだよね」と言ったとします。この意見を聞いた人事たちは、「カルチャー醸成」という施策を投じるかもしれません。しかし、この意見は佐々木さんが「集団×内面」の視点から偏重している可能性があります。また、佐々木さん自身にもメンタルモデルが存在します。そのため、この意見は大事なものとして記録しつつも、過信してはならないのです。
さらに「組織のカルチャーが変わってきた」という話がありましたが、佐々木さんからすると「自分の範囲外で勝手に起こっていた」と思っているかもしれません。そこで、佐々木さんにこんな質問をしてみます。
「組織のカルチャーが変わっていったのはいつからだと思いますか?」
「組織のカルチャーが変わっていった理由は何だと思いますか?」
「その変化が、あなたのあるアクションが起因していたとしたら、何だと思いますか?」
少し乱暴な質問の進め方ですが、こうした質問はある程度効果的だと思います。何を申し上げたいかというと、
「自分が不満に思っている事は、自分の過去のある言動が原因になっている」
という可能性があることを理解しなければならない、ということです。
不満を感じるとき、人は一気に当事者意識を失います。当事者意識を失うと、すべてが他責になります。なぜ他責になるかというと、その不満の「原因が自分ではない」と思い込んでいるからです。ただ、残念なことに、その原因はあなたがシステムとしてつながっている可能性が高いのです。
話を戻しましょう。
システム思考のループ図を作成する際、少なからず、自分自身がインテグラル理論の4つの象限を理解し、「このループ図はどの象限に関する話か?」「偏重しすぎていないか?」という部分を認知しておく必要があると思っています。
1-3. 文脈×システム思考
これは私の独自の意見ですが、システム思考に限らず、さまざまな問題や課題を取り扱う際に「文脈」は非常に重要な要素だと思っています。
なぜそれが発生しているのか? について「文脈がそうさせている」と理解することで、納得がいくこともあります。
例えば、私たちが海外旅行に行くとポジティブなカルチャーショックを受けることがあります。日本とは異なる文化に驚くこともあるでしょう。しかし、その行動を起こしている人たちはごく自然に、無意識に行っています。なぜなら、それまでの文脈がそうさせているからだと思います。
システム思考に話を戻しましょう。
ループ図を作成する際、「時間軸」が重要であるという話をしました。もし仮に、その組織におけるシステムのループ図を書いていた場合、その組織の歴史や文脈がわかっていればいるほど、要素は多数出てくるかもしれません。また、本質的に理解しやすくなる可能性もあります。
システム思考において「文脈」を理解することの意義は、現象の裏側にある隠れた構造や、組織全体の歴史的な連続性を捉える力にあると感じています。たとえば、組織を一見したところ、抱えている課題が、実は数年前の戦略転換や組織改革の余波であることも珍しくありません。現状だけを切り取って解決しようとするのではなく、過去の経緯とその後の積み重ねを振り返ることで、問題の本質に近づくことができるのです。
また、文脈に注目すると、表面的には同じように見える問題が異なる原因によって生じていることがわかります。例えば、同じ「離職率の増加」という問題でも、それがリーダーシップの欠如に起因するのか、評価制度の見直しによって発生したのかでは、取り組むべき対策も異なります。文脈を無視すると、全体像が見えなくなり、短期的な対症療法に終始してしまう危険があります。しかし、過去と現在をつなぐ流れを理解することで、長期的に持続可能な対策が見出せるのです。
システム思考では、このような文脈を意識することで、組織が本来持つ力を最大化するアプローチを探ることができます。結果として、見過ごされがちな要素や複雑な相互作用を掘り下げ、組織の全体最適を目指す思考へとつながっていくのです。
1-4. 社会的文脈×システム思考
前項目は組織やそのメンバーの文脈を指していましたが、ここでは社会的な文脈について話をします。
少し遠回りをして説明しますが、私たちが所属しているHR業界は2022年以降、「競合企業の増加」というパラダイムが発生しています。私は当社ポテンシャライトで独立するのは2回目ですが、1回目は2011年、2回目は2017年です。2011年当時と現在2024年を比較すると、HR業界での独立の難易度は肌感覚で3倍以上に上がっています。その理由はシンプルで、競合企業の増加です。そのため「あの企業がうまくいっているから独立してみようか」というのは危険な行為であり、かなり綿密な準備が必要だと感じています。
何を申し上げたいかというと、社会的な、業界的な文脈をきちんと認識していなければ、本質的な問題にたどり着けない可能性があるということです。もちろん、「競合企業数が増えたなんて関係ない、自分たちのスキルがあれば勝てる」という意見も理解できますが、影響は出てしまうのです。
また、社会情勢なども当然影響しますよね。
例えば、アメリカではトランプさんの話題が出ていますが、アメリカの政策が変わることで、日本にも影響が及ぶ可能性は非常に高いです。大手企業(グローバルカンパニー)からじわじわと影響が発生し、時間をかけて中小企業に影響が波及することも十分にあり得ます。
例えば、2027年時点で日本の中小企業の売上が平均10%減少したという事象が発生した場合、それがトランプさんの当選に伴うアメリカの新政策が起因している可能性もあるのです。
ただ、現場で発生している話としては、
「行動量が足りない」
「組織カルチャーが変わった」
「戦略が曖昧だ」
といった話が起こっている可能性も十分にあるでしょう。
2. 12のシステムの原型について
以下はシステム思考の「12のシステムの原型」に関する追記です。
これらの原型は、組織やプロジェクトにおいて見られる典型的な問題構造を理解し、根本的な解決策を見つけるためのフレームワークです。システム思考を活用するうえで、これらの原型を知ることで、目の前の課題が繰り返し発生するパターンである可能性を認識し、適切な対策を講じるヒントとなります。
限界のある成長
成長しようとする力が働いても、内部または外部の制約によって成長が止まるパターンです。新規市場の拡大が進む一方で、サポート体制が追いつかない場合などが典型例です。問題解決のシフト
表面的な解決が根本的な問題を隠してしまうパターンです。対症療法的な対応を続けると、長期的な影響を見逃し、同じ問題が再発する原因となります。目標の浸食
短期的なプレッシャーや困難により、本来の目標や基準が徐々に引き下げられてしまうパターンです。たとえば、売上重視のために品質基準を緩和するなどが該当します。成功者が独占する
成功している要素や人物がリソースを集中して受け取り、他の成長機会を抑制してしまうパターンです。特定のプロジェクトや人材に資源が集中することで、他の分野やメンバーが影響を受けます。投資の遅れによる成長の制約
成長を支えるための投資が遅れると、成長そのものが阻害されてしまうパターンです。たとえば、設備投資が遅れ、増産体制が整わないまま需要増加に対応できない場合などがこれに当たります。相手を打ち負かす
競争によって自社や相手が不利益を被り、双方に悪影響を与えるパターンです。過剰な競争が発展し、共倒れになるケースです。過剰な拡大
急激な成長がシステムに負担をかけ、バランスを崩すパターンです。たとえば、急速な従業員増加が組織文化や管理体制に悪影響を及ぼす場合があります。不都合なフィードバック遅延
結果が遅れて現れることで、原因の特定が難しくなるパターンです。たとえば、新しい戦略の成果が見え始めるまでに時間がかかるため、評価や判断が難しくなることがあります。他者に問題を押し付ける
問題を一時的に他のシステムや人に「移す」ことで解決したように見せかけ、根本的な解決にはならないパターンです。これは、問題を先送りするに過ぎず、別の形で再発する可能性があります。負のフィードバックループ
問題が自己強化的に悪化していくパターンです。たとえば、業績悪化によるコスト削減がさらなるサービス低下を招き、業績が一層悪化する場合がこれに当たります。成功への執着
過去に成功した方法に固執することで、新しい可能性や変革の機会を見逃してしまうパターンです。成功体験が重荷となり、柔軟な対応ができなくなるリスクがあります。均衡を保つための逆効果
ある要素の調整を行うことで、逆にシステム全体に悪影響を及ぼすパターンです。たとえば、業務効率化のためのツール導入が、逆に従業員の適応ストレスや操作時間の増加を招く場合などが該当します。
※参照:「学習する組織」を参考に作成。
これらの原型を通じて、システムが持つ構造的な問題を俯瞰し、問題解決のための視座を広げることが可能です。システム思考を深めるためには、このような典型的な問題構造を理解することが、より持続可能な組織作りの第一歩だと言えるでしょう。
2-1. 個人や組織の特性×12のシステム原型
私がこのシステムの原型を学んだ際に、特に感じたことは「個人や組織の特性」によって発生しやすい原型が異なるのではないか、ということです。たとえば、私は社会人になってからベンチャー企業で働いていたため「成長」が軸にあります。そのため、1番目の「限界のある成長改革」は発生しやすいと思います。4番目の「成功者が独占する」についても「活躍しているメンバーが、その分社内では恩恵を受ける」のは当たり前だと思い込んでいるため、私の中で発生しやすいシステムの原型だと考えています。
つまり、「個人や組織の特性」によって発生しやすいシステムの原型は異なるのではないか?と思い、下記のような調査をしてみました。
※11/13以降に添付予定の図
こちらの表は、私が現在携わっているグループメンバーの適性検査の結果をシステムの原型に絡めて数値化して表形式にしたものです。
ご覧いただけるとおわかりになるかと思いますが、各メンバーによって、発生しやすいシステムの原型が異なります。これを教えることで、メンバー間でシステム思考のループを作るワークをする際に、「なるほど、だからそのような意見なのか」と感じることができると思っています。
3. システムの介入(レバレッジポイント)について
レバレッジポイントとは、システムにおいて、少しの変更で大きな影響を与えられる「てこの支点」のような場所です。システムが複雑で相互に影響し合う要素から構成されている場合、どこに働きかけるかによって、全体への影響力が大きく変わります。システム思考では、このレバレッジポイントを見つけ、適切に介入することで、少ない力で大きな改善を達成することが可能とされています。
たとえば、組織運営の場面で、ただ人員を増やすだけではなく、情報の流れを変えるといった根本的な介入を行うことで、全体のパフォーマンスが大きく向上することがあります。レバレッジポイントの見極めは、システムの本質を理解し、効果的に働きかけるための重要な概念です。
最後に
ここまで長文のブログにするつもりはなかったのですが、気づけばこのように長文になってしまいました。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
冒頭に記載した通り、システム思考は当事者意識を持つための強力なツールであり、視座を上げるために必要なツールだと考えています。
私は現在39歳になりますが、メンバーの視座を上げるためにはどうすれば良いのかと考え、これまでさまざまな施策に取り組んできましたが、すべてが定性的な施策になってしまい、仕組み化されたトレーニングを提供するのが難しいと感じていました。
しかし、システム思考に出会ってからは、この領域においてメンバーと切磋琢磨していけば、自分の視座を提供できる可能性があるのではないか、つまり「視座の共進化」ができるのではないかと思い、ワクワクしています。
ということで、システム思考に興味がある方はぜひご連絡ください。
共に語り合いましょう!
皆さんいかがでしたでしょうか。
※当社の採用/人事組織系支援にご興味がある方はお気軽にお声掛けください。
今後も採用/人事系のアウトプットを続けていきます。
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