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[組織ブログ Ver.54]「投影」という概念を知ると、人間的な器が一回り大きくなる感覚を得た話

「自分が相手に対して感じることは、本当は自分自身の内面を映し出したものかもしれない。」

この文章(説明)に出会ったのは、2024年の秋ごろで、最初はピンと来なかったのですが、この内容自体を深く知ることによって、びっくりするほど大きな気づきがありました。

この内容(概念?)を知るだけで、物事の捉え方や見え方がガラッと変わると言っても過言ではありません。

本ブログでは、「投影」について説明していきたいと思います。

※本ブログの内容は山根個人の解釈を大いに含めた内容になりますため、その点だけご認識・ご了承ください。



1. 投影とは

投影とは:
自分自身の内面的な感情や特性が、無意識のうちに他者や外部の状況に映し出される現象を指します。この現象は日常生活で自然に起こっており、多くの場合、私たちはそれに気づかずに過ごしています。

少し詳しく記載をすると、皆さまも下記のようなことを相手に感じたことはありませんでしょうか?

「どうして私は、〇〇さんの魅力や才能があんなに輝いて見えるのだろう?」

「なぜ私は、〇〇さんの言動にこんなにもイライラしてしまうのだろう?」

「どうして私は、〇〇さんが私の感情や考えを代弁しているように感じるのだろう?」

「なぜ私は、〇〇さんが持つものや特性が自分に欠けていると感じるのだろう?」

「どうして私は、〇〇さんに責任があると感じてしまうのだろう?」

いかがでしょうか?僕は子供の頃から、つい最近までこのようなことを思うことが多かったです。これらは本ブログのタイトルである「投影」と言う類が関係しています。先程の5つの箇条書きに文章を追加してみましょう。

 「どうして私は、〇〇さんの魅力や才能があんなに輝いて見えるのだろう?それは、自分の中にも似た可能性があるからかもしれない。

 「なぜ私は、〇〇さんの言動にこんなにもイライラしてしまうのだろう?それは、自分が認めたくない部分を相手に映しているのかもしれない。

 「どうして私は、〇〇さんが私の感情や考えを代弁しているように感じるのだろう?それは、私の感情を相手に押し付けているからかもしれない。

 「なぜ私は、〇〇さんが持つものや特性が自分に欠けていると感じるのだろう?それは、自分の理想を相手に投影しているからかもしれない。

 「どうして私は、〇〇さんに責任があると感じてしまうのだろう?それは、自分の中の未熟さを認めたくないからかもしれない。

いかがでしたでしょうか? この文章を付け加えることによって、一気にイメージが湧くというか、自分が無意識的に、潜在的に思っていたことが代弁されているかもしれません。 では、投影はなぜ生まれるのか?それにいつ気づくのか?などの観点で、次に進めましょう。


2. なぜ投影が生まれるのか?

投影は、私たちが無意識に抱える内面の特性や感情が、他者や外部に映し出されることで起こります。ただ、なぜ投影という現象が生まれるのでしょうか?ここでは、投影の背景にある心理的メカニズムについて説明したいと思います。

2.1 投影の背景にある心理的メカニズム

1. シャドウ(抑圧された自己)
投影の背後には、心理学で「シャドウ」と呼ばれる抑圧された自己の側面があります。これは、自分の中で「望ましくない」「受け入れられない」と感じた感情や特性が、無意識の領域に押し込められたものです。シャドウに蓋をしたままでいると、それが他者に映し出される形で現れます。例えば、自分の中にある「嫉妬心」を認めず、成功している同僚を「あの人はただ運が良いだけだ」と非難する、などです。

2. 心の防衛メカニズム
投影は、心理的な負担を軽減するための防衛メカニズムでもあります。自分の中にある不快な感情や特性を他者に外在化することで、自己否定の苦しみを軽減しようとするのです。例えば、自分の「失敗への恐れ」を他者に映し出し、「あの人は臆病だ」と感じる、などです。

2.2 投影を引き起こす要因

1. 自己認識の不足
自分の感情や特性に気づく力が低い場合、無意識のうちに投影が起こりやすくなります。自己認識が浅いほど、内面の課題が外部に現れる傾向があります。例えば、自分が「怠けている」と気づけないため、他人を「怠け者」と批判してしまう、などです。

2. 感情の抑圧
怒りや嫉妬、憧れといった感情を抑え込むことで、それが投影として外部に現れることがあります。特に、社会的に「否定的」とされる感情ほど投影の形を取りやすいです。例えば、自分の「権力欲」を否定し、上司を「支配的で権威的だ」と非難する、などです。

3. 発達段階の影響
心理的な発達段階によっても、投影の現れ方は異なります。成熟度が低い段階では、投影が頻繁に起こり、感情的な反応として現れやすいです。一方で、自己認識が高まるにつれて投影は減少し、内省的な対応が可能になります。例えば、自分と異なる意見を持つ人に対し、「あの人は偏屈だ」と感じるが、実は自分が柔軟性に欠けている場合が多い、などです。

4. ストレスや環境の影響
ストレスが高い状況では、投影がより顕著になります。心理的な余裕がなくなることで、自分の内面を冷静に見つめることが難しくなり、他者への投影が頻発します。例えば、忙しい時期に、「あの人は全然役に立たない」と他者を非難するが、自分が効率的に働けていないことに気づいていない、などです。

2.3 投影に気づく重要性

投影は無意識のうちに起こるため、自分で気づくのは簡単ではありません。しかし、投影の仕組みを理解し、「自分の中の何が映し出されているのか?」と問いかけることで、自己認識を深める第一歩となります。このような気づきがあると、他者との関係性にも変化が生まれます。


3. 投影の種類

投影にはさまざまな種類があると思っています。僕がこれまで投影について学んだ内容を整理しながら説明してみたいと思います。

3.1 否定的投影

否定的投影とは、自分の中で「認めたくない」「受け入れられない」特性や感情を他者に映し出し、批判や非難として表れるものです。これは、心の防衛メカニズムとして機能し、自分自身と向き合うことを避ける役割を果たします。

具体例
自分の「怠惰」を認めたくないため、他人を「怠け者」と批判する。
・自分の「嫉妬心」を否定し、他人を「競争的で意地悪だ」と非難する。
・自分の「弱さ」を受け入れられず、他人を「頼りない」と見下す。

否定的投影は、否定的投影が起こるとき、私たちは「その人が悪い」「その人に問題がある」と思いがちであること、しかし、それは本当は自分自身の内面の反映であることが多いです。

3.2 肯定的投影

肯定的投影とは、自分がまだ気づいていない「ポジティブな特性」や「可能性」を他者に映し出すものです。憧れや理想として現れることが多く、否定的投影とは異なり、表向きには心地よい感情を伴います。

具体例
自分の「創造性」を認められず、他人を「天才的でクリエイティブ」と強く感じる。
・自分の「リーダーシップ」に気づけず、他人を「完璧なリーダー」と理想化する。
・自分の「自由を求める気持ち」を抑圧し、他人を「自由で縛られない人」として羨む。

肯定的投影は、「まだ気づいていない自分自身」を他者に映し出すことです。この投影を受け入れることで、自分の可能性や強みに気づくことができます。

3.3 同一化的投影

同一化的投影は、自分の価値観や行動基準を他者にも当てはめ、「みんな同じはずだ」と無意識に期待することです。この投影は、他者との違いを受け入れるのが難しい場合に発生します。

具体例
自分が「真面目」であるため、他者も「真面目に違いない」と思い込む。
・自分が「計画的に行動している」ため、他者も「同じように計画的であるべきだ」と考える。
・自分が「親切」であるため、他者も「親切であるべきだ」と期待する。

同一化的投影は、自分と他者を同じ基準で判断するため、違いを認識したときに衝突や失望を引き起こしやすい傾向があることです。

3.4 理想化の投影

理想化の投影は、自分が成し遂げられなかった夢や理想像を他者に映し出し、過度に美化するものです。この投影は、自己の未達成感を補う役割を果たします。

具体例
自分が達成できなかった「自由で独立した姿」を他人に映し出し、その人を「完璧な自由人」として理想化する。
・自分の持つべき「自信」を他者に投影し、その人を「自信に満ちた完璧な存在」として見る。
・自分が憧れる「社会的成功」を他者に映し出し、その人を「全てを手に入れた成功者」として美化する。

理想化の投影は、一時的には満たされた気持ちをもたらしますが、過剰な理想化は現実とのギャップを生み、後の失望につながる可能性があります。

3.5 防衛的投影

防衛的投影は、自分の不安や恐れを他者に押し付ける形で現れます。この投影は、自分の弱点を隠そうとする無意識の行動です。

具体例
自分が感じている「不安」を抑え込み、他者を「落ち着きがない」と批判する。
・自分の「責任逃れの傾向」を否定し、他者を「無責任」と非難する。
・自分の「失敗を恐れている」ことを認めず、他者を「慎重すぎる」と指摘する。

防衛的投影は、内面の脆弱さを認めず、他者にその責任を転嫁することで生じます。

3.6 対立的投影

対立的投影は、自分が持つ攻撃的な特性や敵意を他者に映し出し、「相手が問題だ」と感じるものです。この投影は、敵意や衝突の原因となる場合が多いです。

具体例
自分が「強い意見を持っている」ことを認めず、他者を「対立的だ」と批判する。
・自分の「感情的になっている」ことを抑え込み、他者を「感情的すぎる」と非難する。
・自分の「押し付けがち」な態度を認めず、他者を「押し付けがましい」と見なす。

対立的投影は、内面の攻撃性を他者に投影し、自分を守ろうとする無意識の行動です。

少し混同しやすい項目があるため、下記にて説明を補足させてください。

「否定的投影」と「防衛的投影」の違いについて
否定的投影と防衛的投影は、どちらも自分の内面の感情や特性を他者に映し出す点で似ていると思います。ただ、目的や動機、プロセスが異なる、と言うニュアンスが伝わりやすいかもしれません。
否定的投影:
自己の内面の「受け入れたくない特性」を他者に映し出して批判する行為。
防衛的投影:
自己の「不安や責任」を他者に押し付け、責任逃れや自己防衛を目的とする行為。

「肯定的投影」と「理想化の投影」の違いについて
肯定的投影
理想化の投影はどちらも他者に対するポジティブな感情や特性を映し出していますが、動機心理的な働きに違いがあると思っています。
肯定的投影:
自己の内面にある「気づいていないポジティブな特性や可能性」を他者に映し出し、憧れや羨望として感じる行為。
理想化の投影:
自己の「理想像や未達成の目標」を他者に映し出し、過剰に美化したり崇拝する行為。


4. 各投影の特徴と影響要因

投影は、心理的な発達段階だけでなく、その時々の心理状態、ストレス、自己認識の深さ、環境といった要因によってもその現れ方が変わります。この章では、6つの投影の種類ごとに特徴を整理し、発達段階や状態別の影響を詳しく解説します。

4.1 投影の発生に影響を与える主な要因

投影がどのように現れるかは、以下の要因によって大きく左右されます。

  1. 発達段階

    • 初期段階(3.0~3.5)では、無意識的な投影が頻繁に起こり、批判的な態度が目立つ。

    • 中期段階(4.0~4.5)では、理想化や憧れといった肯定的投影が表れやすい。

    • 後期段階(4.5以降)では、投影を自己統合に活用する意識が芽生える。

  2. 心理的状態

    • 心に余裕があるときは、投影をポジティブな自己理解へと繋げることができる。

    • 不安や緊張が強いと、否定的投影や防衛的投影が顕著になる。

  3. ストレスの度合い

    • ストレスが高い状況では、他者を責めたり非難する投影が増加する。

    • ストレスが低いときは、肯定的な投影が現れやすい。

  4. 自己認識の深さ

    • 自己認識が低いと、投影が無意識に現れ、他者に強い感情を抱きやすい。

    • 自己認識が高まると、投影を意識し、統合する能力が高まる。

  5. 環境や関係性

    • 安全で信頼できる環境では、投影に気づきやすくなる。

    • 対立的な環境では、否定的な投影や防衛的投影が増えやすい。

4.2 投影の種類と影響要因


最後に

僕がこの「投影」という存在を知ってから、自分自身の言動に対して振り返りがかなりしやすくなりました。

なぜならば、シャドウの存在を知れたことも大きいです。前述した通り、シャドウとは、自分が無意識に抑圧している感情や特性のことを指します。僕も「自分が本当に思っていることを抑圧する癖」があったりするので、その抑圧している「内容」を相手に投影したりしているのだろうなぁ、という気づきを得たときに、雷に打たれたような感覚を覚えました。

また、投影の種類を知れたことも、ものすごく大きなポイントになりました。
特に、否定的投影に関しては「自分の中で認められない・受け入れられない」という感情を他者に映し出していること。これは自分の中でのパラダイムシフトでした。自分の怠慢を認めたくないために他人を怠け者と批判したり、自分の弱さを受け入れられずに他人のことを頼りないと見下したりする…。これはすごく腑に落ちるというか、自分の器が小さいなぁと感じるポイントでした。

また、同一化的投影についてもすごく知れて良かったと思いました。自分の価値観や行動基準を他者に当てはめて「みんな同じはずだ」と無意識的に期待していることはよくありました。たとえば、自分が年末年始に〇〇をしているから他者も〇〇をする気持ちがあるだろう、だったり、自分が〇〇だと思っているから他者も〇〇と思うに違いない、など。
口に出すことはないですし、潜在的に思っているわけではないのですが、意識的にそれを思っていること自体はすごく感じる事例ではありました。

最後に、先日僕がすごく尊敬している方からいただいたメッセージの中で、とてつもなく気づきが大きかった言葉をお伝えします。

「自分の知らない自分を他者が見ているのを知っている」

という言葉です。これは、STAGESモデルの4.0(Integrated Mindset)の特徴的な説明である「I see you see me subtly」というフレーズを日本語にしたものです。
「自分の知らない自分」とは、文字通り自分が知るよしもない自分です。
一方で、その「自分の知らない自分」は「他者のほうが知っている」ということ。続いて、ジョハリの窓、盲目の窓などの話に該当しますが、「自分が見えている景色が正解ではない」「自分が見えていること、知っていることを絶対視しない」という段階で発生する言葉だと個人的には解釈しています。

僕は、これに気づくまでに35年かかりました。
自分が見えていることや知っていることは絶対だと思っていましたし、何より、自分が当事者として見たこと、聞いたこと、触れたことについては、絶対的な信頼をしていました。ただ、「人によって見えている景色が異なる」「自分以上に目の前にいる相手が自分のことを知っていることもある」という事実に出会うことができたことで、世界が変わったというか、そんな感覚を持ちました。

投影についても同じ種類だと思っており、自分が無意識的に感じていること、つまり気づいていないこと自体を相手に投影してしまっていることを知ることができれば、相手とのコミュニケーションもガラッと変わるんだろうなぁと思った、という内容でした。

皆さんいかがでしたでしょうか。
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