アニメや特撮の世界を軍事のプロがガチ論じる本『ゴジラvs.自衛隊 アニメの「戦争論」』に期待
日本人なら誰もが知っているであろう怪獣映画の王、ゴジラ。作品によってその大きさは様々ですが巨大であることは共通しています。そのゴジラが日本に上陸したら、映画で描かれてきたように当然ながら日本中はパニックになります。
近年のゴジラ映画では、庵野秀明監督の『シン・ゴジラ』や山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』 がイメージされやすいと思います(すでに『シン・ゴジラ』はもう9年前の作品ですが)。
『シン・ゴジラ』ではゴジラが上陸した場合、日本政府はどのように対応するのか?
作中では人間ドラマをほとんど排除してゴジラ対策の意思決定プロセスから実行までが淡々と描かれています。『シン・ゴジラ』はポリティカル・フィクションに分類することもできるでしょう。
その一方、『シン・ゴジラ』より前に公開されてきたゴジラ作品の多くは、怪獣が出現した場合の日本政府の対応はリアリティが詳細には描かれなかったと思います。
これには異論反論もあると思いますが、少なくとも政治家と官僚の意思決定に焦点が当たっていませんね。もっとも、ゴジラ映画は子供がメインターゲットである場合が多いので、庵野的な『シン・ゴジラ』が異端といえば異端なんですが。
ゴジラという存在はシリーズを通して核による厄災の象徴とされてきました。また、ゴジラは日本を襲う大災害に喩えることもできます。
特に、2011年3月11日に発生した東日本大震災は地震、津波、そして福島第一原発の原発事故という核災害の要素も持ち合わせていました。その5年後に『シン・ゴジラ』が公開されたわけです。
実際に日本国内にゴジラが出現したら最前線で対処するのは自衛隊になるわけです。警察の装備では到底、対応はできません。
しかし、日本国内において自衛隊を出動させるにも、何を根拠に出動させるのかを決めなくてはなりません。つまり、防衛出動なのか治安出動なのか、災害派遣なのか。『シン・ゴジラ』では、そこもしっかりと描かれていました。
これは映画の話ですが、現実にゴジラが東京に上陸したとして政府や官僚がどのような意思決定をして、どのように自衛隊を使うのか個人的にとても興味があります。自衛隊を出動させたはいいけれど、陸海空の自衛隊が持つ様々な武器の使用をどこまで許可するのか。これを考えるのは面白いですね。
ところで、ゴジラだけではなくアニメ「機動警察パトレイバー」や「新世紀エヴァンゲリオン」などアニメ作品の世界のあれこれを軍事の専門家がガチで論じた『ゴジラvs.自衛隊 アニメの「戦争論」』なる本が文藝春秋から1月17日に発売されます。
僕も予約購入しました。いやぁ、これ、とにかく内容が気になります。なにせ軍事については超オタク級の知識を持ってる小泉悠先生や防衛政策のプロ高橋杉雄先など名だたる面々が書いているので内容の質が保証されているし、何よりもテーマが面白すぎます。僕も読み終わったら感想を書いてみようと思います。