Steam版Brass:Birmingham(白ブラス) ファーストインプレッションレビュー
※この記事は私がTwitterで書いた連ツイでのレビューを纏めた物になります。誤字脱字のチェックしてちょっと太字とか増やした位で、ほぼツイートのまんまです。
ゲームの概要
白ブラス(Steam版)。
アプデ入ってフリーズ(進行不能バグ)しなくなったので、漸くゲームの評価が出来る。
基本的に2人戦しかやってないのでそれ前提の話。ここは後述。
先ず評価としてはかなり面白かった。今年のボドゲアプリの弾が現状では延期延期なのもあってかなり少なくて小粒(スマホは7月1日現在で今年の新作は3本。去年の半分以下。)なのを考慮すると、現状暫定今年トップだと思う。
ゲームの説明
ゲームとしての根幹部分は既にアプリ/Steam化されてる旧ブラスと一緒。カードを捨てて該当する場所や産業に建物を建てる、輸送網を敷く、開発をする、販売をする、借金をする。全てカードを捨てる事で起動するのでターンアクション的なややこしさは皆無と言って良い。この辺は近々やる予定のガイアプロジェクトや何度かプレイしたテラミスティカの対局にあると言って良い。実にシンプル。
反面、各処理は結構煩雑な物も多く、それぞれが有機的に連動してるのもあって考える要素、悩ましい要素はかなり多い。ワレスらしい借金の要素も、旧ブラスよりは単純化されたけどきっちりある。
建物は6種類。旧ブラスより増えたのもあってややこしく感じるけど、蓋を開けてみると「盤面にコマ(リソース)を増やす建物(炭鉱、鉄工所、醸造所)」と「商品建物(紡績所、工場、窯元)」の2種類になってるので、寧ろ単純化されてる。
販売関連は旧ブラスより若干ややこしくはなった物の、まぁ旧ブラスやってれば対応出来る程度のややこしさではある。
基本戦略も旧ブラスと一緒。拡大再生産要素はお金しか無い&勝利条件は勝利点しかないので、お金(収入)を増やして勝利点稼ぐ部分は変わってない。炭鉱や鉄工所のジレンマなんかはほぼ旧ブラスと一緒だとは言える。
変わったのは新要素であるビール(醸造所)。これが特に後半はかなりデカい。
先ず商品販売にビールが必須になった。これによって前半(運河時代)でも商品販売をする場合ビールがほぼ必須(港にも若干あるので醸造所作らなくても販売は一応可能)。
特にキーになるのが後半。旧ブラスだと石炭とお金だけで出来た鉄道の敷設の2マス目が、白ブラスだとビールが一個必要になった。これによって「運河時代の終盤に借金しまくって鉄道時代になったら即鉄道を2マスづつ敷設しまくって陣取り&ネットワーク作り」がかなり厳しくなった。旧ブラスの鉄板戦術が通用しなくなってる(※効果が弱くなった程度)ので、そう言う意味でも選択肢は広がってる(絶対的な一強(実際は紡績&港型との2強)では無くなった)。
基本戦略は実はあんまり自由度が無い気がする。石炭か鉄のどちらかをメイン、どちらかをサブ程度に建築してビールを作る。販売商品は基本1種類。大体こんな感じで大枠は動くと思う。この辺は今後回数重ねていけば変わるかも。
ただ、大枠は同じでも毎回の展開はかなり異なる。カードの引きは当然として、他のプレイヤー(CPU)の動きによって輸送網の敷設と建築の優先度が変わるし、当然それによって開発の順番は変わる。
俺の場合は運河時代は初手黄色ゾーンの港に接続する水路→次の2手で黄色内輸送網の基本を構築→借金→開発×2~3からの紡績所建設→醸造所建設→販売、が基本。これに輸送網増やしたり借金増やしたり在庫減ってるリソースに対応する建物を建てて、9~10T目になったら借金で鉄道時代に備える、が運河時代の基本的な動きになる。
鉄道時代になったら可能なら初手醸造所からの道2本で、最初の2~3Tで黄色内の輸送網構築。後は運河時代と一緒で1~2回の紡績所販売を挟みつつビール+鉄道敷設を軸に、市場在庫が足りないリソースを建てたり借金したり、って感じの動きになる。
で、多分これは間違い(と言うか完璧な解答では無い)。恐らく運河時代の2T目位に商品打って基本収入を増やしてから動くのが正解だし、極端に「自分の輸送網」に拘る必要も無い(建築には独自の輸送網の方が良いけど)
ただまぁ「ビールだけひたすら作る」とか「石炭だけ作る」、「ひたすら工場を建て続ける」みたいな事は出来ない(意味が無い(ひっくり返らない=得点化出来ない))ので、そこの大枠は変わらないとは思う。
ゲームとしての評価
プレイ人数に関してはBGGのベストは3~4人になってるけど、俺は2人(自分対AI×1)でやってる。
白ブラスにおける人数は、増えるとインタラクションが増して、減ると(輸送網&建物の建築の)自由度が増す、と考えて良いと思う。
俺は自由度の高い方が好みだけど、インタラクションが強い方が好きなら人数増やした方が良いと思う。この辺はゲームとしての完成度が人数で変わると言うよりは好みの問題と考えて良さそう。
ゲームとしてはかなり面白い。結構ややこしい&煩雑な部分はあるけど、考える要素も多くて陣取り的な面白さに拡大要素、開発要素もあって自由度も高い。
大まかなゲームの動きは変わらないとは言え、ターン毎の動きはかなり異なるので、旧ブラス(アプリ版)の時に感じた「CPUが港ー紡績所戦術をガメてるせいでこっちは鉄道ー造船所以外の選択肢が事実上無い」って事には先ずならない(2人でやってる分にはビールは比較的余裕があるし、 販売する商品自体は相手と被らない物に変えても問題が少ない、石炭と鉄は今作では市場売却による目先の金+基本収入を増やす(石炭)or得点源のサブ(鉄)なので、比重を変えれば対応可能)。
ので、旧ブラスに感じたゲームシステム的な不満点、大戦略が実質2択な事と軌道修正が難しい事に関してはほぼ解消してる。自分の打ちたい手を打ちやすくなってるので、まさしく(色んなレビュアーさんの仰られてる通り)現代風に進化したブラスだと思う。
アプリとしての評価
一方でアプリとしてはどうかって言うと、現状早期アクセス版では最低限+αが出来る様になった、って程度。
先ずアプデ前は論外。ほぼ100%フリーズする(13/14回)ので、マトモに遊べる代物じゃなかった。ゴミ以下。
アプデ後はそこは解消されたんだけど、
・カードを捨てる際にロケーションが見れない
・実績が無い
・ゲーム終了時に終了図が見れない(最終ターン=決算前に撮る必要がある)
・アニメーションが遅い(高速化機能が欲しい)
・ターンスキップ時の他プレイヤーの行動画面を消すのが小さい×マークを押すしかない(枠外をクリックするだけで消させて欲しい)
など、細かい問題点や不満点は多い。
ただ、はっきりと良い点もあって、それは
「ターンスキップが出来る点」
実はこれに近い動きが出来るゲームはかなり少なくて、スルージエイジとRftG位(どっちもスキップと言うよりは超高速化)しかない。ワイナリーの四季も似た事は出来るんだけど、毎回高速化ボタンを押さないといけないのでかなり面倒臭い。ここの待ち時間=デッドタイムにメスを入れた作品ってのはかなり少ないので、それだけでも評価に値する(アグリコラやテラフォを評価してるのはここをほぼ無視出来るソロモードがあるからで、この問題への対処は全くしてない。ので、ソロ以外はかなり時間が増えて微妙になる)
プレイ時間は約30分ちょい。アニメーションを高速化出来て捨てるカードのロケーション表示が出来る様になってスキップ時の画面を枠外クリックで消せる様になれば、2人プレイなら20~25分で遊べる様になるんじゃないかな。ここまで来ればほぼストレス(デッドタイム)無く遊べる様になると思う。
現状だとボドゲとしての面白さは8.5~9点+アプリの完成度が7点、って感じ。今年は抜群に面白かった、と言えるゲームでもアプリ的にダメ(ロレンツォの文字小さ過ぎ問題とか)ってのもあったりするので、総合評価では現状暫定今年トップと言って良いと思う。ただ、去年の5強と比べると現状では1~2段落ちるな、と言うのが正直な所。去年で言うとブルゴーニュの城(ソロモードかCPU高速化さえあればベスト級)の評価くらい。
それ位去年やったゲームはストレスや引っ掛かりを出来るだけ感じさせない様な丁寧な作りのゲームが多かったと言える。スルージエイジズは別格としても、RftGや7Wonders Duelと比べると今の白ブラスではちょっと勝てない。あそこまでゲームに没入出来ない。
テラフォやアグリコラみたいに抱えた問題をソロモードがほぼ解消してくれる、ってのも無理なので、地道なプレイアビリティを上げるアップデートに期待したい。
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