National Economy Soloの紹介。

 National Economy Solo。ボードゲームのナショナルエコノミーのブラウザ上で動くプログラム版です。

このゲームはどんなゲーム?

 プレイヤーは企業家になり、労働者を雇って建物を購入し、労働者への給料で建物を差押えられたり未払い賃金で首が回らなくなったりしながら自らの企業グループの価値を上げていきます。

 一般的な拡大総生産よりはやや厳しいですが、建物の効率的な動きを考えて、実際に上手く回った時の楽しさや労働者への給料支払いまでも計算に入れた事業プランを練るのが楽しい、そんなゲームです。

ゲームの説明

 ボードゲーム版は1~4人でプレイ可能ですが、プログラム版の場合は一人専用。なので、ソロプレイ用のルールが適応されます。ちょっと特殊。

 ゲームシステムはワーカープレイスメントと呼ばれるコマを配置してアクションや資源を得るシステム。その中でもかなりミニマムです。



 各ターンに盤上にある建物カードにワーカーコマを配置、その建物の効果を発動します。盤上の建物カードは誰でも使える公共職場と個人の建物置き場に別れていて、公共職場は誰でも、個人の建物は建てた人しか使えません。

(学校にワーカーを配置して労働者を一人増やした所。ワーカーが増える事によって使えるアクション数は増えますが、良い事ばかりではありません)

 このゲームが変わっているのはワーカーに給料を払わないといけない所。しかもターンを経るに従って要求される給料が増えます。

 建物を建てるのは建設用の建物カードと手札を必要枚数捨てるだけで良いですが、ワーカーの給与は資金から差し引かれ、資金が足りないと自分が所有する建物を売って(しかもソロプレイの場合建物の価値の半額の資金しか得られない)公共職場に置き、差額を払わないといけません。そして、毎ターンワーカーが稼ぐ給料は家計に納入され、その家計の中からしか資金を捻出出来ないと言う最初っから最後まで自転車操業プレイを強制されます。とても辛い。

(ワーカーへのお給料が足りなくて工場を差押えられる図。ただし、工場は公共の物になっただけなので勝利点にはなりませんが自分で使う事は出来ます)

 大半のボードゲームは無借金経営が基本で借金はペナルティになるんですが、このゲームの場合ペナルティになるのは「未払い賃金」。資金不足で建物を売っても未だ払えなかった場合のみ。つまり、建物を売るのは何の問題もありません。と言うか要所で売らないと拡大出来ない。普通のボードゲームに慣れてるとこの辺の感覚に慣れるのにちょっと時間がかかります。プレイヤー側から見れば借金のカタに売られる形ですが、ゲーム全体で見れば独占されてたリソースをみんなで使える様になった、と言った感じでしょうか。

(未払い賃金は1$につき勝利点が-3されます。5$も未払い賃金があるとクリアは厳しいので、未払い賃金を出すのは相当リスキー。ただし、軽減する建物もあります)

 このゲームの基本はGDPの算出式の初歩、Y(国民所得)=C(民間消費)+I(民間投資)にあります。ゲーム内の用語に言い換えると手札を財と考え、Yが総得点、Cが家計→資金の変換、Iが建築(財の固定資本への投資)になります。これらをバランス良く行って総得点を増やしていく訳です。

 一般的な拡大総生産をテーマとする場合、ワーカーに経費がかからない物が殆どです。が、ワーカーへの給料の要素が加わって実体経済っぽさが増す形になって、より苦しく、より頭を捻る事になります。盤面もゲーム内で行われる動きも地味ですが、そこにはややドM向けながら確かな拡大総生産の楽しさがあります。

 また、これが神の視点(経済全体を見渡す視点)ではなく、プレイヤー単位で見るとあくまでも企業家の視点でゲームを考える事になるのもポイント。これにより、建物を所有する楽しさや自分(と公共施設)の建物を使って自社の経済を回す、ミクロ的な面白さもあります。

 ゲーム全体としてはマクロ経済を扱いながらもプレイヤー個人ではミクロな単位の経済を扱い、トータルプランを見据えつつ毎ターンワーカーの給料の支払いにあくせくしながらカード間のシナジーを構築する。そう言った幅の広さがこのミニマムなゲームにはあります。


 ソロの目標は100点を取る事。私は最初3点でしたw
 ソロプレイはちょっと運の要素が強いですが、慣れれば結構到達可能な点数です。最初の内は超強力な「二胡市建設」と「自動車工場」の建設を目指しましょう。

(二胡市建設は同じコストであれば同時に二軒建物を建てる事が出来、自動車工場は3枚手札を捨てて7枚引ける強力なドローエンジンです)


 難点はゲームの終了時に盤面が見れない所。これのせいでSNSなんかで呟く時にちょっと不便。

 
このゲームの最大のメリットはブラウザでプレイ出来る、と言う事。しかもスマホ(Android)のスモールアプリのブラウザでプレイ可能です。

 これにより、某お空の古戦場フルオート放置中だったり魔界戦記っぽいRPGのアイテム界に潜ってる時などのデッドタイムを全てナショナルエコノミーのプレイ時間に充てる事が出来ます。

 勿論普通にPCなどのブラウザでもプレイがあるので、興味があれば一度プレイしてみて下さい。1プレイは10分程度で終わって中毒性も高いので、軽く数時間は吹っ飛びます。是非是非。

ちょこっと攻略


 最後に1~2回やったけど全く点数が取れなかったよ、と言う方の為に、軽く100点を取る時の私のパターンを紹介。

 1T目は工場が出るまでリセットしましょう。ソロだとドローエンジンの有無が死活問題。で、工場が出たら学校→大工で工場を建てて即売り。

(1T目の理想図。ワーカーを増やしてドローエンジンもある状態です。)

 2T目は農場→工場での4枚ドローまでは確定で、2~3コストの建物があれば大工で建設。ベストはレストラン。これも即売り。

(2T目の農場→工場での4枚ドロー時の図。ここで3コストで価格が14$以上の建物があれば、次のターンの資金が露天と合わせれば12$になるので4人目のワーカーを3T目でスムーズに雇えます)


 3T目はレストラン引けてれば農場→露天→学校で綺麗に進めて、以降はレストランを資金のエンジン、工場をドローエンジンにして製鉄所や化学工場などのより強力なドローエンジンを建てます。二胡市建設や自動車工場引けてれば背伸びしてそっちを建てるのも手。自動車工場を信じて大農場を建てるのも悪くないです。
 二胡市建設を建てられたら後は同一コストの建物を並べられる様にドローエンジンを回しつつ給料を何とかして払います。二胡市建設さえあれば終盤で1つ2つ建物を売っても100点達成は可能。

 注意点としては

給料が上がるターンは要注意
3・6・8T目は家計収入<ワーカーに払う給料になるので普通にやるとほぼ確実に資金不足になります。基本的には建物を売る事でフォローする必要があるけど、事前の家計→資金変換の調整で何とかなる場合も割とあります。売る為の建物を建てるのも手。ソロプレイの場合あくまでも建物は上からしか潰れないので、ドローエンジン系を売ってもほぼ問題無く自分で使えます。

ワーカーは早めに取る。
私は初手で取ってますがこの辺は人それぞれ。とは言え序盤で3人、最終系で最低4人にはしておかないとドローエンジン/建設/家計→資金変換を同時にこなすのはほぼ不可能です。二胡市建設と自動車工場はこれらの要素を圧縮出来るのが強い。

施設を取る。
このゲームで20点以上の高得点はほぼ4~5コストの建物なんですが、例外が施設です。条件さえ整えば(ワーカーの人数を増やす、工業系の建物を増やすなど)20点以上をあっさり叩き出すので、大体5~6軒建てるのが精々のこのゲームで100点を出す為には必須に近いです。例外は中盤で二胡市建設+自動車工場+大農場/製鉄所/化学工場のシステムが組めた場合。

 最後にクリア時の終了図の一例とクリア時のプレイ動画へのリンクを貼っておきます。

 それでは良いナショナルエコノミーライフを。


プレイ動画:
https://twitter.com/Heidern0901/status/1226035671598419968?s=19


National Economy Solo
https://t.co/1oTkVYmaHv

開発者の方のTwitterアカウントはこちら。
Revinさん (@rev84) / Twitter
https://t.co/GcIACGQxqZ





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