カジノディーラーの日常 錦編 12話

閉店する前日の出来事である

まだ閉店は聞かされていない

給料もちゃんと出ていたし、お客が少ないのも慣れて気が抜けている

その日の終わり頃店長が責任者のNAさんと
Fさんを呼ぶ
それを聞いて2人の表情がこわばる

となりの事務所へ行ってくれ

となりのビルがオーナー(ヤクザ)の事務所だ

2人は表情をこわばらせながら
店を出て行った

1時間ぐらいしたら顔面蒼白の2人が
店に帰ってきた
一言も喋らず荷物を持って帰っていく
そして店長から閉店することを告げられる

これは後にKさんから聞いた話だ

事務所に着いた2人は
ノックをして部屋に入る
そこにはオーナー1人が奥の椅子に座っている

座れや

その声のトーンから怒られる覚悟をした

手前にあるソファーに座ろうとした時

そこじゃねぇだろ!と言った後
机を蹴り上げる

この段階で物凄い剣幕だったらしい

ソファーじゃなかったら床しかないと思い
その場でひざまずく

これだけ俺に金を出させてお前らは
どう責任とってくれるんや

木刀を出しカンカンと机を叩く

どう責任とってくれるんや!

バリーンッ

ソファーの前の机はガラス製
そこにおもいっきり木刀を振る
ガラス片が飛び散る

2人は恐怖でガクガクだ

どう責任とってくれるや!
と言いながら机を木刀でおもいっきり
叩き続ける

2人はすいませんでしたと何度も頭を下げるしかない

しばらく罵声と木刀で威嚇されるが
手を出される事はなかったらしい

気が済んだオーナーは
椅子に座り、初めのフェイスオープンがよくなかったなと言い閉店を告げる
2人はすいませんでしたと言って
事務所を出た

ほんとに殺されるかと思ったと
Kさんに話したらしい

第二章 完

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