4話 カジノディーラーの日常
ガチャ
チップの戻る音だ
初回お預かりします!
10点お預かりします!
現金は黒服しか触れないので忙しそうに
回っている
お客から現金を預かるとテーブルから
お客にチップを出し
各テーブルの横にある2重伝票にいくらかを書いてバンクにお金現金と一緒に持っていき
チップと交換
そのチップをテーブルに戻すことによって
テーブルの収支が分かるようになっていた
新人はレートの低い1番テーブルを任される
サブには先輩ディーラーのIさんがいつも座っていた
サブは罫線(出目)を書く、途中で入ってきた
お客に罫線を渡さないといけない
1番テーブルはガジリが多く収支はマイナスになりやすいが大きく動かないので新人にはうってつけだ
新人の頃は収支を気にしてないし気にされない、ミスなくやり切ることが大事だ
テーブルの収支計算もIさんがやってくれる
ただ、よくマイナスになっていた
サービスチップのせいだなと思っていた
ミスなく落ち着いてできるようになった頃
ある事に気づく
ガチャ
Iさんがチップケースにチップを戻す
お客に100ドル10枚出したのにバンクから10枚戻ってきてない7,8枚じゃないか?
他のテーブルではバンクから戻ってきたチップを
ディーラーがチップケースに戻しているのに
1番テーブルではサブのIさんが直接戻している
中抜きしているは直ぐ分かった
追加チップの時は何点お預かりと言うが
初回の時は初回お預かりだけ
いくら買ったかは周りにはわからない
10点買ったかが伝票には7点と書いて
3万ポッケにいれてバンクに7万を渡す
チップも7枚しか戻って来ないが
Iさんが直接チップケースに戻して
ディーラーにわからなくする
新人だけに通用する技だ
(サービスチップはバンクからは戻ってこない)
Iさんがディーラーをする時は簡単だ
そのまま渡せば問題ない
黒服とグルなディーラーはもう一人いた
1番テーブルの横に置いてある伝票から
バンクまでは10歩程度その間に
お金を10枚数えているうちに3枚は左手の中
右手でバンクの小窓にお金を渡すと同時に
左手でポッケに入れる
度胸も凄いが神技である
この作業をどれたけやっていたかは知らないが、俺が1年間このカジノにいた頃時はやり続けていたと思う
ただ俺は見て見ぬフリをしていた
給料も十分貰っていたし、ちゃんと抜いたお金で夜の街に連れてってくれて可愛がって貰っていたからだ
お金も欲しかったがノーリスクで今までと違った世界を見れることを選んだ
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