ワーカーホリック 心酔する愚者2章-⑨

9階につくと、朝みたときのパネルからカトウアイがの映像が流れていた。廊下は暗く、店内にも暗い様子がわかる。
私は店内の受付に向かい黒服と思われる人に予約名をつげる。
「ご予約のサキコ様ですね。いまご案内いたしますので、コートお預かりいたします。」
わたしは受付傍の椅子に座りスマホを確認した。
今日のサキコさんの設定は28歳高級官僚の事務官。後からくる官僚役のボスの愛人。カトウアイとのやり取りでは今日初めてお店にいくこと、じつはお店のリアリティ動画で知っていたこと、好きなゲームが一緒なこと・・・いろいろやり取りしている中で、今日は9時出勤だから待っているねと言われて終わっていた。
この短時間でどれだけやり取りしているんだよ。と思っていたとき。
サキコスマートフォンをから通知で9時15分に着くととボスから連絡きていた。
通知を確認した瞬間、お店の店長から声をかけられた。
「こんばんは。いらっしゃいませ。本日はご来店ありがとうございます。お席にご案内いたしますので、こちらへどうぞ」
私は店長の後ろについて歩く、なるほどVIPと呼ばれる部屋は朝にMTGした部屋のことだったのだ。
私は朝と同じ右奥に通される。席に着くと左奥にも女性のお客様がいらっしゃったが、既に男の子と話しているようだった。

私は席に座り、おしぼりを渡される。そしてタブレットでメニュー表を見させられた。

ここはシャンパンを頼むものなのだろうか?と考えていたところ、Sから指示がきた。
「20万のシャンパン頼んで、もっと高いのはボスが来てから頼もう」
了解と小声でつぶやいた。
するとお席よろしいでしょうか?と若い男の子がグラスを持ってやってきた。
わたしはどうぞ。と伝えて彼は目の前に座った。
「はじめまして、夏樹と申します」
「はじめまして、飲み物頼んでも宜しいでしょうか?」
「はい。飲み物は何にされますか?」
「そうですね・・・この20万のシャンパンお願いします。」

「えっ、20万のシャンパンですか!?ちょっと待っててください」
夏樹は席をたち、バックヤードに向かっていった。
しばらくすると夏樹は戻ってきて、私に急いでつたえた。

「またカトウさんがいらっしゃらないようですが、先に開けてよろしいでしょうか?」
「えぇ、もう一人くる予定だから、先に飲んでも大丈夫?それとも後の方がいい?」
「いえ、大丈夫です。すぐにお持ちしますね」
そういうと夏樹はまたバックヤードに行ってしまった。

そのうち、ボスがお店の前に着いたと通知がきた。
ふむふむと思っていたら、夏樹とは違う男の子がきた。
「はじめまして、カイトです。ご一緒してよろしいでしょうか?」
「はじめまして、どうぞ」

カイトは席に座ると私の顔をみて、驚いていた。今日の朝、自分たちの失態を解決する人が目の前にいるのだから、カイトがえっとした表情でいると後ろから店長がボスを連れてやってきた。

「いっらっしゃいませ。こちらへおかけください」
ボスが私の隣に着くと、お疲れさまと声をかけた。
「・・・今日は逞しいお姿ですね」
「すごいだろ、最近ムキムキにきたえたのさ」
ボスは細身なのに急に全体的に筋肉質な体形になっていた。
Sからイヤホンで通信がはいる・
「ボスには特殊スーツをきてもらった。見た目からならムキムキに見えるスーツだから、ホストの男の子たちにはまず舐められることはないよ
まぁ顔のバランスが悪くなるから、少しメイクしてもらったけどね。」

たしかによく見るとメイクしている様子がわかる。

「久しぶりに君に会えるから、頑張って早く仕事終わらせてきたよ」
「うれしい。人気のホストクラブだからすごく楽しみにしていたのよ?」
「さっそくお酒をのもうじゃないか?もうシャンパンは頼んだかい?」

「とりあえず20万の頼んでみたのだけれど、どうかな?」
「じゃ先にそれで乾杯しよう。他に飲みたいものがあればあとで頼んでよいからね」
「ありがとう!たくさん飲みましょう!」

そのやり取りをしていると夏樹がボトルを持ってやってきた。

「シャンパンお持ちいたしました。いま開けますね」

夏樹がシャンパンを開けようとしているタイミングでボスが右手で机を2回たたく、これは周りを警戒する合図だ。
わたしは扉のほうをみると、カトウアイが一瞬だが、こちらをみていた。



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