ワーカーホリック 心酔する愚者2章-⑩

22時になり、ボスが席を立つ。そのタイミングでスマホを開いた瞬間、カトウアイが戻ってきて、私の隣に座る。

「サキコちゃんってお酒強い?」
「どうだろう。最近あまり飲んでいないから良くわからないけれど、仕事で会食も多いから苦手なお酒はないよ」
「そうなんだ。サキコちゃんシャンパンこんなに飲んでいるから、てっきり強いかと思ってたよ」
「でも飲むお酒にもよるかな?日本酒はお水飲まないとすぐ酔っぱらうし」

「そうなんだ。俺あんまりお酒飲まないからな。あっレモンサワー頼んでいい?」
「どうぞ、レモンサワーすきなの?」
「うん。レモン系のお酒好きなんだよね・・・サキコちゃんって今日って夜ご飯食べてきたの?」
Sから指示が入る
「今日はまだ食べていないよ。すこしお腹空いちゃったかな?」
「そしたら、このあと」

「サキコちょっといいかな?」
「どうしたの?」
ボスが戻ってきた。ここから私の仕事のはじまりだ。
「ちょっと急な仕事が入ってね。僕はもう出かけないといけないんだ」
「えっちょっと急すぎない?」
「ごめんね。このお金でこの後飲んでいいから、もう行くね」
「えっ」
わたしは手に持たされた200万をみて、わざとらしく驚く。
「こんなお金よりも、わたしはあなたと・・・」
「ごめん。今日はもう行かないと。もしお金が足りないなら渡しておいたクレジットカードで支払ってくれ」
「そんな・・・・」
「ごめんサキコ」
颯爽と出ていくボス。
私は呆然とした表情をしながら、顔をすこしうつむく。
うつむく振りをしながら、カトウアイは動揺した表情をしていた。
「サキコちゃん。大丈夫?」
「うん・・・ごめんね。急にあの人いつもいなくなることがあるの・・・、びっくりしたよねごめんね。それより、さっきなにか言いかけていたけれどなあに?」
「えっあぁ・・サキコちゃんもしお腹すいていたら、このあと一緒にご飯たべたいなと思ったのだけれど、どうかな?」
「えっごはん??いきたい!」
「やった!そしたらお店予約するね、何が食べたい??」
「そうだな・・・お魚系食べたい!」
「おっけ。予約してくるから、ちょっと待っててね」
そういういと私の太ももをちょんと触って席を立った。

わたしは嬉しそうな表情をして、夏樹たちと話そうとしたが、Sからイヤホンでトイレにいく指示がきたので、いったんお手洗いに向かうことに

お手洗いにいくだけでも、ホストが先導してくるのはなんか気まずいけど、これがホストクラブのルールなのか・・・と思いながらトイレにはいった。
トイレにいく途中かなり酔っているお姉さんがホスト2人に抱えられていたが、この状況でも酔っぱらうこともあるのだなと思った。

トイレに入り、用を足したあとにSにマイクで話す。

「どう?初めてのホストクラブは楽しんでいる?」
「知らない若い男の子と話すのって、すごく疲れる・・・・気を遣うというか」
「そんなものか、てっきりデレデレになっているのかと思った」
「そんなわけないでしょう。とにかくアフターまで取り付けたけどボスは?」
「いま横にいるよ。このままアフター終わるまでサポートするから安心しろ」
「あと2時間も話すのか・・・疲れるな・・・」
「がんばりたまえ、話がつまったまた指示するから任せろ」
「それより、この200万とカバンの300万あわせて500万今日使いきるの?」
「あぁ、そのお金だが、ボスは任せるといっているけれど」
「わたし、シャンパンタワーみてみたいと思ったけど、あれって予約制なんだね」
「なんだ、急にお金使う気になったのかよ」
「そういう訳じゃないけれど、面白いことしたいと思った」
「それなら、テキーラ観覧車かコカボムか・・・強いショット飲めばいいんじゃないか?」
「ふーんいろんなお酒があるんだね」
「500万も使うのもったいないから、100万だけ面白くつかってよいかな?」
「・・・ボスが良いだとよ、酔っぱらって盗まれるなよ」
「わかったよ、それじゃ席に戻るね」
「おう」

わたしはマイクをきって、鏡でメイクを直して、扉をあけた。
そこには夏樹が待っており、VIPルームまで先導してくれた。









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